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バリュー投資家の系譜 Part2(ウォーレン・バフェット編)

1.目的

この記事は、「バリュー投資家の系譜」の概要を掴むことで、資産形成で成功するためのヒントを探すことを目的として作成しています。
今回のPart2では、ウォーレン・バフェットを取り上げます。

2.バリュー投資とは

「バリュー投資」とは、割安株(企業の利益や資産等から判断し、株価が過小評価されていると考えられる株式)に投資を行う手法のことをいいます。
これと対になる投資手法として「グロース投資」というものがあります。これは、成長株(市場平均成長率よりも高い成長率が期待される株式)に投資を行う手法のことをいいます。

①世界三大投資家の一人であり、「オマハの賢人」の異名を持つウォーレン・バフェットや、②同じく世界三大投資家の一人であり、「冒険投資家」の異名を持つジム・ロジャーズ、③「テンバガー」(株価が10倍になる株式)の名付け親であり、「レジェンド」の異名を持つピーター・リンチなど、世界の著名な投資家の多くが「バリュー投資」を行っています。

この記事では、世界三大投資家の一人であり、「オマハの賢人」の異名を持つウォーレン・バフェットの①基本データ、②投資家人生のターニングポイント、③投資手法を整理し、バフェットの投資手法の中から、資産形成で成功するためのヒントを探していきます。
この記事は「Part1(ベンジャミン・グレアム編)」の続きとなります。

3.ウォーレン・バフェットのバリュー投資

(1)基本データ

基本データは以下の通りです。

生年月日:1930年8月30日
国籍:アメリカ合衆国
学歴:ペンシルべニア大学ウォートン・スクール中退→ネブラスカ大学リンカーン校卒業→コロンビア大学ビジネススクール卒業
職歴:父の証券会社→グレアム・ニューマン→バフェット・アソシエイツ(独立して設立)→バークシャー・ハサウェイ(買収)
異名:「オマハの賢人」

(2)投資家人生のターニングポイント

バフェットの投資家人生のターニングポイントとしては、以下の二点が挙げられます。

①6歳の頃のビジネス経験
バフェットの初めてのビジネス経験はなんと6歳のときでした。雑貨店を経営していたバフェットの祖父から、チューイングガムやコカ・コーラを買い、それを売り歩くというビジネスを始めました。ビジネスの形態は極めてシンプルで、「安く買って、高く売る」というものでしたが、バフェットは6歳にして既にビジネスのイロハを自らの経験として学んでいました。

②17歳の頃のビジネス経験
バフェットは、その後、新聞配達のアルバイトなどを行っていましたが、17歳のころには、一つのビジネスで大きな成功を収めました。それは、ピンボールマシンビジネスでした。中古で購入したピンボールマシンを理髪店に置き、理髪店に来店したお客さんに順番待ちをしている間、お金を払って遊んでもらい、その売上を理髪店の店主と折半するというビジネス形態でした。このピンボールマシンビジネスは、複数の理髪店に設置するまで拡大し、最終的には、退役軍人に売却をするまでに成長しました。

(3)投資手法

①「バリュー投資の父」ベンジャミン・グレアムの影響
バフェットは、19歳のときに、ベンジャミン・グレアムが書いた『賢明なる投資家』という本に出会いました。グレアムは「バリュー投資の父」や「ウォール・ストリートの最長老」との異名を持つ投資家で、証券を数学的に分析するバリュー投資に定評がありました。そんなグレアムが書いた本に感銘を受けたバフェットは、グレアムが教鞭を取っていたコロンビア大学ビジネススクールに進学をし、グレアムから直接、証券分析の方法やバリュー投資について学びました。さらには、グレアムが経営をしていたグレアム・ニューマンに証券アナリストとして入社をし、グレアムとともに仕事しました。
バフェットは、グレアムに強い影響を受け、バリュー投資家の系譜を継いでいきます。

②バリュー投資の修正
上述のとおり、バフェットは、グレアムのバリュー投資の手法に強い影響を受けましたが、グレアムのバリュー投資の理論には弱点もありました。それは、企業を財務上の数値でしか評価することができないという点でした。
バフェットはこのことをバークシャー・ハサウェイの買収の際に認識しはじめます。バークシャー・ハサウェイはもともと繊維事業を行っていましたが、業績不振で大赤字を出していました。バークシャー・ハサウェイを買収したバフェットは、多くの投資を行い、再建を図りましたが、その努力もむなしく業績不振は続き、遂には紡績事業からの撤退を余儀なくされました。
この経験から、そこそこの企業の株式を割安で買えたとしても、その後企業が成長をせずに、株価が低迷したまま上がらないということもあり得ることを学びます(例えば、事業規模が中小規模の企業である場合、その企業に注目をしている人が少ないため、比較的割安になりやすいということがありますが、それゆえに株価が低迷したまま上がらないということがあります。)。

そして、「そこそこのモノを安く買う」というグレアムの数学的分析に基づくバリュー投資だけではなく、「優れたモノを適正な価格で買う」という投資手法を織り交ぜていくことになります。いわば「修正バリュー投資」です。

バフェットは、「優れたモノを適正な価格で買う」ために、事業内容そのものや、経営者の資質、企業の姿勢、ブランド力、ネームバリューなど、数値では表せないような事柄を重視しました。これはグレアムの数学的分析とは対になる定性的分析であるといえます。

のちに、バフェットは以下の四つを投資基準として挙げていますが、数値では表せないような事柄を重視していることが分かります。
①事業の内容を理解できること
②将来にわたり長期的に業績が良いことが見込まれること
③経営幹部が誠実かつ有能であること
④魅力的な価格で購入できること

4.まとめ

バフェットは、グレアムのバリュー投資手法を基に、自身の経験を加味してそれに修正を加えていき、独自の投資手法を確立しました。
「投資の神様」も過去の偉人の上に成り立っているといえるでしょう。

5.参考文献

「マンガでわかるバフェットの投資術」(2022年第3刷)

6.免責文言

本記事は記載内容の正確性・妥当性の確保に努めておりますが、記載内容の利用によって利用者等に何らかの損害が生じた場合にも、一切の責任を負うものではありません。

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