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syrup16g「Tour 2019 SCAM:SPAM」二日目@BIGCAT

 こんにちは。
 一日目の続きです。

 二日目。またも開場1時間前くらいにBIGCATに到着。今度は私が「全部」を物販で購入。ラジカセから「生活」が流れていたのだけれど、その音がデカすぎて物販のスタッフさんと全然意思疎通が取れなかった。趣。
 そのあとしばらくはレコ屋を回ったりなんだり。紫髪で全身真っ黒のいかにもバンギャみたいな人が地上〜地下あたりに多かったけれど、この人たちよりもよっぽど音楽に人生を支配されている人が4階に集まっているんだろうなと思った。
 今日はSPAM=迷惑の日。余談。その日はちょうど心斎橋でハロウィンパーティーをやっていたらしい。ハロウィンで浮かれる若者たちと、「迷惑」と漢字で書いてあるTシャツを着ている人々。非常に風刺的。

 今日は連れが開場してすぐにやってきたので、比較的スムーズに入場。比較的スムーズにロッカーに荷物をぶち込み、あまりスムーズでなくハイボールを注文。瓶じゃない飲み物は時間がかかるのだ。でも私はハイボールしか飲まない。というか、飲めない。
 昨日とあまり変わらない位置に入場した。比較的中央寄り。昨日も今日も、メンバーが全員見える位置だったのは本当にありがたいことだ。
 開演時間になって、virgin suisideが流れる。昨日のセトリから「今日は再結成後の曲が中心になるんだろうな」と思っていたので、ちょっと意外。てっきりsonglineあたりが流れるかと思っていたので、一曲目が何か想像つかなくなった。
 以下セトリです。ネタバレ注意です。






1.生きているよりマシさ
 「まさかとは思うけど、生きているよりマシさ、やったりしないよね?」と、開場前にツイートした。やった。それも一曲目。
 嘘です、すいません。本当はやってません。なぜなら五十嵐が、緑色のグレッチ(たぶん)を構え、1音目を鳴らして、その瞬間弦がブチ切れたから。後ろを向いて右手を上げる五十嵐。演奏ストップ。ざわつく観客。スタッフさんが出てきて、ギターを回収していく。手持ち無沙汰になった五十嵐が、「一曲目の1音目から……」。めちゃくちゃ沸く観客。中畑さんが「弦が切れたの?」と聞くと、五十嵐が「うん」と返す。その後代わりのギターが来るまで、居心地悪そうにしている五十嵐。ギターがなくなるととたんにしょんぼりしてるみたい。なんか唐辛子みたいな模様の服を着ているなと思ったら、あれは木葉柄だったらしい。観客「がっちゃん!」。手をあげる五十嵐。
 ギター到着。再開。
 この曲のMVがほんとにほんとにほんとに大好きで……。再結成後に初めて出たMVだと思うんですけど、ラスサビで初めて一画面に三人が揃う構成になってるんですよね。それが、今は、三人がそろって、目の前で演奏している。感慨の具現化。

2.赤いカラス
 好きすぎて一時期狂ったように聴いていた。そのあとにdelaidbackが発売されたので、狂ったように買いに走った。
 「許せなかった私怨も/今は雪のようです」に歌詞が変わっていた、ような気がする。気のせいかも。そういえばこの曲も、「永遠はない」と謳っていますね。最後の夢シャウトはいつ聴いても胸が締め付けられる。恋かも。40代後半になってこんなに血が出るほど叫び歌うなんて。

3.ゆびきりをしたのは
 ギターがうまいじゃない……。一発目から弦が切れたことに動揺することはなかったみたいで安心。プロだなあ。
 「はっきり断言する/人生楽しくない」。もう何回も言っているけれど、それをはっきりと歌えてしまうというのが、五十嵐隆のすごいところだと思う。みんな思っていることだけれど、案外言えなかったりはするものだ。「勇気を使いたいんだろ」のところは、ワンフレーズが終わるたびに音が上がっていき、切迫感も上がっていく。この切迫感はsyrup16gのライブの特徴な気もする。聴く時にずっと体が強張っていたからか、帰宅してから肩こりがひどい

3.Stop brain
 途中で一瞬歌うのを諦めていた気がする。2番Aメロ入りかな。すぐに復帰できたので安心。聴くところによると演奏面でわたわたしてたとか。わたわたする五十嵐……。

4.Find the answer
 始まりかたが好きだ。洋楽っぽい。五十嵐の「うたかた」の歌い方が独特な気がして好きだ。滑舌が良くないだけ?そんなことないよね。「双極性に挟まれて〜」からのメロディが不穏で好きだ。

 恐らくこのあたりでMC。中畑さんが昨日と同じく「こんばんはー」。こんばんは。「今日初めて来たよっていう人」。ちらほら。「はじめまして」×手を挙げた人数分。「本物です。笑」。まるで偽物がいるような言い草。続いて「昨日も来たっていう人」。ほとんど全員。私もそうだった。「うわ〜……よくもまあ……」。よくもまあ。そらみんな来るよ。セトリも違うっていうし、そもそもライブ自体がレアなバンドなんだから。「今日は、一発目からレアな感じで……予定通り弦が切れて」。予定通りだったらしい。そっかあ。「楽しんでいってください。よろしくお願いします」。続いて五十嵐も「お願いします!」元気。

5.Star Slave
 始まった瞬間、曲名がパッと思い浮かばなかった……。delaidbackは腐るほど聴いたのにな。最初、ベースラインと五十嵐の歌が同じメロディになってるところが好き。「満天に光る/プラネタリウムを/座って見ていた/本物みたいに」。五十嵐は本物/偽物のこともよく歌詞に書いている、気がする。delayedbackの曲はベースラインが素敵な曲が多い。キタダさん、いついかなる時も涼しい顔をしていらっしゃるのに、指と手の動きがえげつない。崇める。

6.I'll be there
 1音目を聴いた瞬間にフラッシュバック。syrup16gを初めて聴いたのはこの曲だった、と思う(the telephones主催フェスに出演した時。紗幕がかかっていて、三人のシルエットだけが見えていて、曲も相まって綺麗だと思った)。そのあとTKと対バンした時も演っていた、はず。記憶が……。音も歌詞も綺麗な曲だ。「生き急いでいるような景色」って、どんな景色なんだろう。生き急いだことがないからわからない。最初のリバーブかかった音、一回しかコード鳴らしてないのに二回音が鳴ってたけど、PAさんがなんかしてくれてたんだろうか。ラスサビ前のギターがジャキジャキってなるところは原曲よりもめちゃくちゃかっこよかった。ギターの演奏法の名前がわからない。

7.share the light
 \中畑さんが立った/
 これもTKとの対バンの時に見たなあ。立つの!?それで叩くの!?と思って、すごいびっくりした記憶がある。立ってるからというわけじゃないんだろうけど、ものすごい重たいドラム。シューゲイズっぽく低音から高音へ推移するギターの音。かぁ〜〜〜っこいい。どこを聴いてもどこを見てもかっこいい。手拍子。歌メロとギターで弾くメロが同じっていうのも結構衝撃的。2番の時はギターの音より半音くらい五十嵐の声の方が高くなってた気がするけど、すぐに修正されていた。よかった。再結成後、五十嵐の歌声は全体的にキーが高くなっていたと思っている。中畑さんの雄叫びがめちゃくちゃに好き。毎秒叫んで。嘘。

8.vampire's store
 患者〜。いつも思うんですけど、この曲名の「store」ってどういう意味なんだろう。備蓄って意味かなあ。「夕暮れの空」のところは、当然のように照明がオレンジ色。

9.Murder You Know
 「物語なき毎日」「ああそうか/そうやってやればいいんだ/ああなんだ/考えたこともなかった」「新しい出会いや出来事がもたらせるのは混沌と後遺症だけ/そう思っていた」決して具体的ではないけれど、それゆえ心当たりがありすぎる歌詞。心が当たっていた。「これじゃない」と歌い続けて終わるっていうのもすごい。

10.変拍子
 ここでまさかの変拍子!?と思ってちょっとびっくり。delaidbackの中でもレア曲的な位置づけだと(勝手に)思っていたので、まさか聴けるとは。この曲だったかはもう記憶がないけれど、背景が紫、スポットライトが緑色になっている時があって、なんだかすごく現実感のない色だったから、「待てよ……。もしかしてこの五十嵐隆、VRか?」となった。VRじゃなかった。
 「冷めているのではなくて/諦めているのでもない/わかり合えた日々が眩しすぎて見れないだけ」。ライブに来ると、五十嵐の口から直接この歌詞が紡がれるのを目撃することになる。それでさらに、syrup16gの曲の歌詞の良さに気付かされる。感情をそのまま表出するのは難しい。ライブはそれができる数少ない場所なのかも。

11.宇宙遊泳
 「次が最後の曲です」と五十嵐が言う。ここまで体感20分。タイトル通りどことなく浮遊感のあるギターのメロディから始まるんだけど、ドラムとベースが入った瞬間それがちゃんと定着する。すごいな。「まばゆいものは/全てまやかし」。歯を食いしばったと思いきや唇を一文字にひきしめるギターソロ。ギター弾いて歌う五十嵐が好きだ。そこに一切の妥協はない。余裕もない。ロックバンドというのはそうであってほしいと思う。

 本編終わり。静かな客席に手拍子が鳴り響く。実のところ、ここで嫌な予感がしていた。ツイッターで「syrup16g」と検索をかけていたら、「二日目は本編が再結成後で、アンコールが解散前っていうセトリかも」というツイートを見かけたから。しかもアンコールに持ってくる曲となると、かなり有名どころというかライブ定番曲というか、そういうのが持ってこられるだろうなあ、と。
 その予感は見事に的中する。

 照明がつき、メンバーが入ってくる。五十嵐は左からめちゃくちゃ走ってきてそのまま右手奥へ消えていった。帰ってきて〜。帰ってきた。笑いながらスタッフさんにギターをもらう。「楽しいー!」。テンション高い。赤いテレキャス。……なんだか迷惑Tの一部も赤い気がする。あれギターのパーツじゃないよね?目を凝らす。赤いテープで誤字を修正してあった。せめて白にしなよ!目立つよ!そうこう思ってたら曲が始まった。

誤字。

en.1イエロウ
 始まりがアレンジされていて、最初どの曲が始まったのかわからなかった。わかった瞬間、「嘘でしょ!?」と思って、全身の血液が沸騰する思いだった。ぶわっと。syrup16gを好きになってすぐの頃、どのCDを買えばいいかと迷っていた時、「HELL-SEEは名盤だ」とインターネットのみんなが口を揃えて言うので購入した。あれだけ名盤と言われてたアルバムの一曲目、いかほどのものか、と思いつつも聴いて、思ってたより500倍くらい「いかにもこの曲は名盤の一曲目です!!!!!!!!」という感じでぶん殴られたのを、とても覚えている。同じ時期にsyrup16gを好きになった(というか、私がハメた)友人に聴いたら「ほんまそれ」と言われた。そんな、曲が、アンコール、一曲目。気絶するかと思った。当然のように照明もイエロー。憎いなあ。

en.2 生活
 気絶した。嘘。発狂はしかけた。とりあえず喉から怪鳥みたいな声が出た
 イエロウ→生活って……?????なんだ?、?、???このあたりで現実が処理できなくなっていく。最後の「hear me」で叫ぶ五十嵐。ちゃんと聴いてる。ちゃんと聴いてるよ。全身で聴いてる。ギターソロ、うまっ。ラストの「そこで鳴っている〜」あたりからの転調、ヤバっ。生活が終わって、まだアンコールを続けそうな気配だったので、「イエロウ→生活を超えることなんてもうできないよ!!!!」と思っていた。

en3.落堕
 あっさり超えてきた。K点を超えてきた。ドラムソロから始まった時点で血液の温度が200度になった。落堕はライブ版がかっこよさすぎる。ドラムとベースソロ〜〜〜ああ〜〜ー〜ー。ベースラインがうねるうねる。キタダさん本人は涼しい顔。崇める。無理だ。良すぎる。助けて。五十嵐のギターがちょっとずつ入ってくる。はや〜い。一回目のサビ、「寝不足だって言ってんの」の前、五十嵐がマイクをつかむ。声が途切れる。そのまま下を向いて、ぐるっとマイクを客の方へ向けられた。「寝不足だって言ってんの」。興奮しすぎて半ギレの声になった。まさか五十嵐がそんなことを……!無理だ。助けて。このあと五十嵐がなぜかマイクを手に持って(!!!)歌い始める。心臓が止まるかと思った。五十嵐はギターボーカルなので、普段ハンドマイクで歌うことは絶対にない、だからこれは絶対にレアだ。まさか五十嵐がそんなことを(part2)……!助けて。音が鳴ってブレイクしてを三回挟むところ、中畑さんに煽られた。そういやここで客はいつも絶叫してた気がする。絶叫していたら終わっていた。まだやるの?もう無理。もうこれ以上はない。ないってば。

 アンコール一回目が終わった。この時点で、なんか身体がてんかんを起こしそうになっていた。アイドルのコンサートとかで失神する人の気持ちが分かった。がんばって息をしながら、ダブルアンコールを待つ。一日目と同じように、あんまり間を開けることなく照明がついた。
 五十嵐、マイクの前に立つなり野球の素振りを3回する。なんで? すごい笑顔。楽しそう。カニピース。私はもう無理だ。助けて。

w/en1.翌日
 なぜか最初のイントロを五十嵐が焦らしてきたんだけど、そんなの一部分だけでもすぐに「翌日」だ!ってわかるし、わかった瞬間喉が「ヒュッ」っという音を出した。倒れなくてよかった。聴いている時ずっと、メンバー3人を視界に入れながら、ああsyrup16gには明日があるな、と確信していた。このままずっと音楽続けてくれるんだろうな、と思った。

w/en2.coup d'État〜空をなくす
 「声が聞こえたら神の声さ」。五十嵐はギターを弾かずに自分の胸の辺りを触っていた。またフラッシュバックする、syrup16gを好きになるきっかけの一つだった曲。TKとの対バンの時に、一人スポットライトを浴びて、「声が聞こえたら神の声さ」と、歌う。私は、神がいる、と思った。確かに。気持ち悪いけど。実際、この二日間でも同じようなことを思った。BIGCATはスピーカーが比較的上の方にあるので、五十嵐の声が自然と頭上から降ってくる。「大昔に『神の言葉を聞いた』とか言ってた預言者ってこんな気持ちだったのかな」と思った。あの瞬間、確かに私はいろんなものを授かっていた。
 空をなくすが始まった時の記憶がない。ドラムのシンバル叩くのが相変わらずめちゃくちゃ速い(そして正確)なっていうのと、ライブのときはベースラインと同じメロディで五十嵐が歌うのがいいなって思ってたら歌が始まった。私は今塾でアルバイトをしているので、塾から帰るガキのくだりはちょっと親近感がある。別にガキとか思ったことあんまりないけど。
 2番の歌詞は「地球の自転に酔った」だった。「流れるビルに」のところが原曲とちょっとだけメロが違うのがすごく好き。半音ずつ下がっていく感じ。そこで一回ブレイクが入るところも好き。それと、「定めに釘を刺す」ところが「自分に釘を刺す」になってた気がする。これも気のせいかもしれない。あと終わる時にフレーズを3回繰り返して終わるのも好き。五十嵐が叫ぶのも好き。全部好き。感情が処理しきれなくなってる。助けて。流石にもう終わる?終わる?

w/en3.真空
 終わらない。終わらないし超えてくる。イントロ始まった瞬間もうおしまいだと思った。何がかはわからない。はやーーーい。中畑さんが「ロックンロール!」と叫ぶ。syrup16gは間違いなく最高のロックバンドだよ。「本当はぼくわかってたんです/全部」のところ、「全部!」ってすげえ叫んじゃった。恥ずかしい。clash TV〜のところ、多分違うこと言ってたと思うんだけど、わからなかった。2サビで客の「オイ!オイ!」が聞こえだす。今だけ男の声帯になりたいなと思う。女の声だとあんまり締まらない。いつの間にか終わっていた。五十嵐はカニピースをしながら帰っていった。中畑さんは手を振ってくれた。キタダさんも手をあげててくれたらしいけど、見えなかった。
 茫然自失になった。本編の記憶が全部なくなった。帰り、ライブハウスの廊下の隅っこを見ながら、「ここに住みたい」と言っていた。廊下の隅に蹲って今日のことをずっと考えていたいと思っていた。外に出ると、ハロウィンの心斎橋のきったねえイルミネーションも、自己主張の激しい看板群も、その光を反射する車(渋滞している)も、全部めちゃくちゃ綺麗に見えて、連れと一緒に大爆笑していた。

 これで二日間のレポートは終わりです。次は2月、新木場コーストでsyrup16gを見る予定です。それまでは生きるし、それからはどうやって生きていけばいいのかよくわかりません。以上、終わりです。

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