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syrup16g「Tour 2019 SCAM:SPAM」一日目@BIGCAT

 こんにちは。

 みなさんは最近、ライブに行きましたか?私は行きました。昨日と今日(※執筆現在10/26)、syrup16gというアーティストのライブに行ってきました。
 みなさんは、何のためにライブに行きますか?手段は違えど、目的は一致するはずなのではないかと思います。「好きなアーティストの音楽を生で聴くため」だと。
 私はこの二日間で、初めてその目的を純粋に達成できた気がしています。

 まずは一日目から。
 SCAM=詐欺というコンセプトでセトリを組んでいる……との情報があったのですが、「詐欺というコンセプトでセトリを組んでいる」ってなに???と思いつつ、開場1時間前にBIGCATへ到着。物販が開いていたので、連れの分と自分の分で詐欺T・迷惑Tをそれぞれ×2買いました。
 自分、この時点でかなり動揺していて、(※「syrup16gのライブがある」という事実に)食べかけのクリーム玄米ブランをフタもせず直接カバンの中に突っ込んでました。帰宅した時に気づいた。「なんかカバンからクリーム玄米ブラン臭がする!」。
 整番は100番代。連れが開場より後に来たので少し遅れての入場。ハイボールをもらい、連れが物販で「全て」(※本当に全て)を買い、余計なものはロッカーに全部ち込んでから中へ。
 初めはやや右側、つまり五十嵐寄りかな?くらいのところにいたのですが、終焉した頃には最右端にいました。これは推測なんですけど、お前ら五十嵐が見たいからって右に寄りすぎ。
 開演して、virgin suisideが流れる。最初のフォーンという音ですぐにピンと来て、ということは一曲めは「天才」か、とはすぐに予想がついた。
 以下、一日目のセットリスト通りのプレイリストを貼ります。ネタバレなのでご注意を。

 ……セトリ通りに組んだはずなんですけど、どうもApple music経由でインストールしてない曲は弾かれてしまうみたいですね。解散前のアルバムはほとんどCDで買ったので……。

 本当はこう。

 まあいいか。話を戻します。ここからはセトリに触れていきます。


1.天才
 最強。一曲目から最強をするな。
 というのも、私、syrup16gを好きになったきっかけがこの曲だったので、問答無用でテンションがブチ上がります。あの、イントロのドラムのスティック叩くのが好きなんですよ。ギターソロもかっこいいし……。そして五十嵐、調子がいい。声も出てるしギターも弾けてるし。

2.ソドシラソ
 流れェ!!!
 いきなりcoup d'État曲3連続は心臓に悪い。この曲は歌詞が好きですね。あと最後に「ソドシラソ」と何度か歌う場面がありますが、あのあたり音程が低いので、落ち着いた五十嵐の声が聴ける。叩きつけるように叫ぶ五十嵐の声ももちろんたまらないんですけど、低めの五十嵐の声も好きだなあ。

3.神のカルマ
 助けてくれ。
 coup d'État曲4連続……。助けて。最初に五十嵐がジャラーンとコードを鳴らす、その音がめちゃくちゃ好き。そしてそこからすぐバックサウンドと化すギターとベースのメロディ。ライブハウスで大きな音で聴くと全身が浸る。こんな調子で書いてたら1万字超えそう。

4.Sonic disorder
 この辺りから記憶がない。テンションがあがりすぎていたんだと思う。
 「だから先生/クスリをもっとくれよ」という歌詞がちゃんと五十嵐の口から聴けたのが良かった。

MC。中畑さんが「こんばんはー」×5。「おかえりー」の声に「ただいま戻りました」とのこと。ちょっと不思議そうではあった。「今日初めて来た人ー?」。ちらほら。「はじめまして」×5。「楽しくないかもしれませんけど、楽しんでいってくださいね」もちろん。

5.君待ち
 まさかのここでCOPY曲!歌詞そのまんまなのに、ぱっと曲名が思い浮かばなかったのが悔しい。コーラスをちゃんと歌う五十嵐。あと「真理なんてでたらめ」を若干噛む五十嵐。言いづらいよね。COPY曲はサウンドが激しいというわけではないんだけど、広がるみたいなギターのサウンドとその上で目立って聴こえるドラムが好きだ。

6.Honolulu☆Rock
 出た!!!!Free throw曲。サブスクが解禁されるまで、解散前で唯一持ってなかったCDですね。サビがあんなにポップなのに、イントロのコードがものすごく不穏。「なんで?」

7.回送
 これはレアなのでは!?mouse to mouth今日。このアルバム自体がかなり好きでずっと聴いているので、回送も当然好き。メロディの開放感が「翌日」を想起させる。でも歌詞は( ・ิω・)ノ ิマユゲトレタ なんですけどね。「すべてはここにあって/何もかもがなかった」。五十嵐はこういう、無常的な価値観というか、今見えているものや存在しているものは、実は本当ではないんだというコンセプトで歌詞を書いていることが多い気がするなと、今回のライブで思った。いわゆる観念論?

8.ex人間
ここでか……。MV含めて好きな曲です。多分ここのコーラス、メンバー三人で歌ってたよね?違いましたか?中畑さんはともかく、キタダさんがコーラスしてるのってわりと衝撃でした。
 HELL-SEEの曲は比較的ボーカルのキーが落ち着いているので、ここでも五十嵐の低い声が聴ける。「これは僕の作品です/愛すべき作品です」のところで何かしらのジェスチャーを五十嵐がしていた気がするけれど、もう記憶がない。本人がそう思ってくれているなら、それに越したことはない。

9.イマジン
 まさかのシングルカップリング曲!「窓から差し込むのは朝日または夕暮れ」のところで、オレンジの照明がキタダさん側から五十嵐の方へ揺れ動いていたのが綺麗だった。あと、「空はこの上/天国はその上」あたりで五十嵐が天を指さしていた、ような気がする。この辺りからボーカルのキーがどんどん高くなっていき、五十嵐の声の切実さも増していく分、より強力に歌詞が突き刺さる。

10.テイレベル
 あああああーーー!!!!!!やるって噂は聞いてたけど、まさか本当に聴けるとは……!!!恐らくカップリング曲の中で一番好きな曲。なぜならガレージっぽいから……。
 もうぜ〜〜んぶがかっこいい。イントロで爆発的なサウンドを奏でたと思えば、歌が入った途端いかにもsyrup16gというようなサウンドになって、サビでまた爆発する。サビで「俺のせいじゃない」というネガティブな歌詞を繰り返すとんでもなさ。そしてギターソロもいいしなあ……。ドラムもいい。ベースもいい、全部良い。最高。

11.ハミングバード
 静かな曲なので、五十嵐の声がよく聴こえる。あと五十嵐、アコギ弾く時親指で弾くんだね……めちゃくちゃ手震えてるしね……。
 40万のギブソンのアコギを弾きながら「40万のギブソンのアコギを買いました」と歌う。歌詞がすごい曲だ。「優秀じゃない」と、自分にも相手にも言えてしまう。実際、そうなんだけど、それを受け入れるのには時間がかかる。「嫉妬、ひがみもあんまり長続きしない」というのもそうだ。怒りのエネルギーが持続しないのは気力がない人間の特徴だと思う。

12.scene through
 実は自分、アルバムのsyrup16gを聴くのを敬遠していました。録音の経緯とこのアルバムが出た理由を考えると、どうしても悲しくなってしまうので。再結成後に追いかけ始めた身で何を言っているんだという感じなんだけれど。
 改めて聴いて、やっぱり良い曲だなあと……今更なんだけども。本当に。syrup16gにしては珍しい、恥ずかしくなるほど真っ直ぐなエイトビート。「春は遠すぎて/風のリボンを解いていた」「夏は遠すぎて/古いアルバムめくるみたいだ」という歌詞が好きだ。AはBみたいだ、という比喩表現は、それが生まれた瞬間に、AとBの間の関係性がこの世の中に生まれるのだという。私には「夏」と「古いアルバムをめくること」の関連性はまだ見出せない。五十嵐にはきっと見えていたのだろう。「確かなものは何一つない」。ここでも。 

本編終わり。恐らくここからアンコールあたりのどこかの曲終わりで、五十嵐が勢い余って足でタブレットを蹴飛ばす。「無事です」とのこと。何より。

en1.(I'm not)by you
 最後のギターソロは音が非常に高い。だからか五十嵐はうずくまっていた。比較的静かな曲だから、そこまで力が入るようなことはないのでは、なんてことも一切ない。そういうところが好きだ。

en2.変態
 ここで!!??
 この時点で「アンコールまだ終わらないのでは…?」という予感があった。まさかここからあと2曲もアンコールが続くとは思わず。

en3.パープルムカデ
 「さなぎからムカデになります(いきます、たったかな)」というよくわからない五十嵐の言葉からスタート。虫繋がりということだろうか。確かに。
 「行け」とシャウトするところはやっぱりエネルギーがすごい。思わず手を伸ばした。

en4.リアル
 アンコールが長いよ!しかもよりによって最後が「リアル」!やばい!
 リアルのイントロはかなり早弾きだと思う。あれを見るたび、五十嵐ってすごいギター上手いのでは……と思う。そしてドラムソロ。ハァーーーーーーかっこいい。思えば初めてsyrup16gを見た時に惚れたのは中畑さんのドラムプレイだった。曲のリズム的に「ここに音が来て欲しい」という位置ぴったりに音を入れてくるからすごい快感。あと叩いてる時に頭が揺れるのが好き。
 「でも命によって俺は救われた/いつかは終わる/それ自体が希望」。ハッとした。いつかは終わるのに、何を悩む必要があるんだろうか。最近ちょっと嫌なことがあったけど、どうせみんなコンクリートの塊で殴ったら死ぬし、そうでなくとも勝手に死ぬのに。
 syrup16gは鬱バンドだなんて言われるけれど、それは絶対に違うと断言できる。syrup16gは、たとえ這々の体であっても、生きている。その飾らない生き様が、このバンドの魅力なのではないかと思う。

 アンコール終了。syrup16gのワンマンライブに来るのはこれで3回目だけれど、手拍子をしている時、人々は恐ろしいほど静かだ。ただ異様にそろった手拍子だけが響き渡る。みんな今さっき見たものについて静かに考えているのだろう。それほど間もなくダブルアンコールへ突入。

w/en.根ぐされ
 五十嵐、飛び跳ねながら登場。なんで?「楽しそうだね」と中畑さんに言われるほどの躁状態。カニピース。本編中盤で「そろそろ緊張も解けるかなと思ったんですけど、増すばかり」と苦笑しながら言っていたのと同一人物とは思えない。しかも中畑さんの言葉を聞いているのかいないのか、「えっ?」と言ったっきりそのままイントロを弾き始める。緊張でおかしくなっちゃったのかな?
 もともとはほとんど五十嵐の弾き語りみたいな曲だから、三人で出てきたということはまた構成が変わるんだろうなと思ったけれど、ちゃんとバンドバージョンになっていた。これ、新しくアルバムに入れてくれないかなあ。買わせてくれ。元の音源では最後に歪みきったギターの音が続いて終わるけど、そこの五十嵐のギターソロは圧巻だった。鬼気迫る、という言葉がまさにぴったり当てはまるような。ていうか、この曲の時完全にアコギからエレキの音出てなかった?機材に詳しくないからなんでか本当にわからない。
 
 とんでもない余韻を残して、ダブルアンコールも終わる。「ありがとう」。100万回言わせろ。カニピース。もしかして通天閣のカニイメージ?

 ダブルアンコールも終わり、鳴り止まない拍手。スタッフの方に帰れと促され、一際拍手が大きくなって、正真正銘の終わり。時計を見たら10時だった。1時間半。体感20分。
 タイムマシンがなくてもタイムスリップできるし、薬がなくても自律神経が整うし、アルコールを入れても一瞬でシラフに戻る。アルコール特有の酩酊感はみじんもなかった。心神喪失。
 帰り。サイゼリヤ。ビール。連れが「五十嵐はいつ見ても必死で、泥臭くて、客も一人一人が周りと同調なんて一切せず、ただステージのほうにエネルギーを注いでいる、すごく正しい形だった」と言っていて、同意のあまりなにも言えなくなった。「五十嵐がいつ見ても歯を食いしばって死に物狂いでギターを弾いてるのが、そうであってほしいと思わされる」。私の心の中読んだ?

 うまく言えないんだけど、正しいかそうでないかはともかくとして、本来ライブっていうのは、アーティストが音を出して、それを客が聴くためにあるもので、はじめに音楽ありき、のものだと思うので、曲中のモッシュ類などの肉体的なムーブっていくのは、ライブの純粋な体験を損なうんじゃないか、とは思う。
 人間、本当に集中してたら多少なりとも棒立ちになると思います、やっぱり。どれだけ激しい曲がかかってたとしても。ノってると頭が揺れて音が聴こえなくなるから、意識的に身体を止めた瞬間が何度もあった。鼓膜と視神経に全部を焼き付けたかった。
 私は、自分で言うのも恥ずかしいけど、やっぱりジャンルとしてはロックンロールが好きで、ロックのなにが好きかって、やっぱり泥臭いところだと再認識した。目に見えるもの、見えないもの、わからないけれど、何かを削って、叩きつけるように演奏された音楽が、私は好きだ。踊る余裕なんてないよ。
 「本当のリアルはここにある」と、今日五十嵐は歌っていた。実際にあったのだと思う。あの、唇を噛み締めて、拳を握りしめて、ただ見入るしか、聴き入るしかない音楽体験が、リアルでないはずがない。

 一日目終了。帰宅。帰ってからも幻聴。幻聴。幻聴。神経系が冴えまくって眠れない。記憶を頼りに絵を描いたら少し眠気が来た。アウトプットは大事だ。睡眠。

 二日目へ続く。

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