ルヴァンカップG大阪戦レビュー

公式戦5連敗…

まあ、負けに不思議な負けなし、と言ったところでしょうかね。

お久しぶりに、ベルマーレの試合を振り返ってみるとしましょう。

スターティングメンバー

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リザーブ:GK後藤、DF岡本、DF大岩、MF古林、MF松田、MF茨田、FW岩崎

キーパーの富居は7月18日以来の公式戦出場。

3バックの左には、公式初先発の田中聡。

ボランチの一角には、レノファ山口から加入した三幸秀稔がベルマーレ移籍後初スタメンを記録。

山田直輝が8月1日のセレッソ大阪戦以来の先発。

ボランチが本職の田中聡を最終ラインで使うとは、驚きましたね。

(前半まとめ)
・侮るなかれG大阪のU-23チーム。
ベルマーレに掛かった新しい"虹"。

この試合は、結果如何によってはプライムステージ進出の可能性が出てくるホームのベルマーレと、既にグループステージ敗退が決まっており、週末にはリーグ戦のアウェイゲームが控えていた為に、普段はJ3リーグを闘うU-23のチームで消化試合に臨んだアウェイのガンバという構図となっていました。

(週末に行われるはずだったガンバのアウェイゲームは、対戦相手のサガン鳥栖が新型コロナウイルスの影響で活動停止となってしまったため、中止・延期が発表されました)

富居大樹・大野和成・齊藤未月・馬渡和彰・中川寛斗・山田直輝・大橋祐紀といったリーグ戦のメンバーに居てもおかしくない面々が揃ったホームチームと対照的に、アウェイチームはスタメン組の平均年齢が22.3歳という、文字通りの23歳以下のチームを組んでスタートしたこの試合、試合前の悪天候の影響で開始が30分伸びるというアクシデントが起こったものの、序盤はホームのベルマーレが勢いを持ってガンバのゴール前に侵入します。

しかし、前半12分にセットプレーの流れからガンバ大阪の17歳のストライカー、この試合が公式戦初先発という唐山翔自(とやま・しょうじ)に公式戦初ゴールを喰らうなんともお粗末な失点を頂戴してしまうベルマーレ。

ベルマーレもすぐさま反撃を行い、ガンバの先制点から2分後に、こちらもセットプレーの流れから山田直輝がオーバーヘッドシュートを決めて同点に持ち込みます。

タイスコアに持ち込んだ後は、右からスピードと力強さの畑大雅、左から技巧派の馬渡和彰が再三サイド深くまで侵入を行えるようになり、最前線の大橋祐紀が強靭なスピードとパワーを持ってゴール前に迫る場面が増えます。

そんな彼らを中盤の底の位置から操っていたのは、"和製ピルロ"こと、三幸秀稔。

齊藤未月や金子大毅のように広い距離を走ってとにかく相手の攻撃の目を摘む!ということはあまりありませんでしたが、緩急のつけたパス交換近くも遠くもよく見えている視野の広さビルドアップの際には周囲の選手たちに的確な指示を与える、といった具合に、これまで公式戦未出場だったのが嘘のように、七色の軌道を繰り出す"レインボーパス"を武器に、レジスタ(指揮者、演出家の意味)として躍動。


ベルマーレのレジスタとしてタクトを振っていた三幸秀稔の姿は、様になっていたとしか言いようがありませんでしたね。




話が少し逸れてしまいました。笑

ガンバのプレーのクオリティが"いつもの"ガンバと違って少し劣っていたのにも助けられましたが、三幸がほぼプレッシャーを感じることなく持ち前の展開力の高さを発揮出来たこともあり、ベルマーレの逆転弾はもうすぐか?というところまで来てはいました。

しかし、そんな良い話が結果に結びつくことはなく、前半39分にガンバの小気味良いパス交換の流れから、最後は再び唐山に決められ、スコアは1-2。

17歳の現役高校生、唐山翔自はゴールを決めたシーン以外で目立ったところと言えば、何度かオフサイドに引っかかっていたシーンくらいだったのに、2度訪れたチャンスを全てモノにするあたり、天賦の才能があるなあと感じさせましたね。

名は体を表す、ではないですが、自ら翔んでいける術を若い年齢ながら兼ね備えているということなのでしょう。
ガンバユース出身の先輩でもある堂安律、中村敬斗がつけていた背番号38をつけているだけの逸材なだけありますね。
(昨季のJ3リーグでは10試合8得点を記録していて、J3の最年少ハットトリック記録を保持しているんですね、納得です。)

前述の唐山だけでなく、3バックの中央に入った菅沼駿哉、左に居たタビナス ジェファーソン、左サイドの福田湧矢、唐山と2トップを形成した高木大輔、2点目にアシストのアシストを記録する良い働きをした山本悠樹、といった面々は敵ながらかなり良くやっていたと思います。

メンバーを落としているとはいえ、侮るなかれガンバ大阪U-23、という感じですね。

(後半まとめ)
・ボールは保持できたのに…
"あとちょっと"の小さなことができないという、大きな課題。

ベルマーレの1点ビハインドで折り返した後半、ベルマーレは3バックの中央に入っていた大野和成に替えて大岩一貴を、1トップの位置に入っていた大橋祐紀に替えて岩崎悠人といった2人の選手を投入。

この試合の解説を行なっていた名波浩さんの見解通り、「試合をやる上で本人たちにもあらかじめ伝えられていた交代策」とも言えるゲームプランを実行したベルマーレ。

1点リードしたこともあり、重心が前半よりもかなり後ろ気味になったガンバのプレー始動位置の低さを尻目に、レジスタ三幸だけでなく、齊藤未月、中川寛斗、山田直輝がテンポ良く攻撃に絡めるようになり、相手を押し込む場面が前半よりも多くなり、馬渡和彰の正確無比なセットプレーのキックからチャンスは演出していけたベルマーレ。

しかし、得点が奪えずにズルズルと時間だけが過ぎていくと、ガンバの守備陣もベルマーレの攻撃のリズムに慣れたのか、「最後のシュートを打つ迫力がベルマーレにはないから、クロスかスルーパスさえ警戒すれば問題なし!」と言わんばかりの守備ブロックを形成するガンバさん、この辺りの強かな感じは顔触れが変わってもガンバ大阪はガンバ大阪、ということが如実に現れていましたね。

練習の段階で宇佐美貴史やアデミウソン、パトリックや渡邉千真といった面々とマッチアップしている選手たちが一人でも多くいたとしたら、そりゃあベルマーレ相手に守るのはそこまで苦じゃなかったはずです(笑)

結局試合は唐山の2ゴールを守り切ったガンバの勝利に終わるわけなのですが、ベルマーレとしては試合中に他会場で川崎フロンターレと名古屋グランパスが談合を進めて両チームともプライムステージ進出が決まるという、なんともあっけない終戦宣言がなされた上に、公式戦5連敗というダブルパンチを喰らってしまう羽目になりました。

確かにまあ、既に消化試合ムード満々で、文字通りの若手軍団を構成してアウェイに乗り込んだガンバにサクッと負けてしまうあたりに今のチーム事情の重苦しさが滲み出ているのは間違いないのですが、ベルマーレも主力らしい主力はそこまで出していません。

この日ベルマーレで唯一得点を奪った山田直輝の試合後のコメントにもあるように、今のベルマーレはまだまだ発展途上のチーム。
産みの苦しみを味わっている上に、さらにやってくる連戦を闘わなければならない状況が続きます。

浮嶋敏監督が懸念しているように、得点を奪う、失点を防ぐ、"あとちょっと"の部分を伸ばしたり、質を高めていくのは、一朝一夕じゃ到底出来ません。むしろそんなのは無理に等しいのです。

じゃあ、どうしたらいいのか?

前進することを、やり続けるしかありません。
勝とうが、負けようが、引き分けようが、どこに神が宿っているのかを、見つけ出さなければなりません。

よく言うでしょう?

神は細部に宿る、ってね。

最後に、ある選手についてなまとめを。

(まとめ)
・浮嶋プログレッションサッカーを前進させる男、その名は三幸秀稔。

今回の試合においては、彼のことを語らないわけにはいかないでしょう。

試合前の段階で、ほぼ全員のベルマーレサポーターが三幸の試合出場を願っていました。

ほとんどの選手が公式戦出場を果たしている中で、今季の新戦力の中でも期待値の高かった三幸のメンバー外が続く状態にやきもきしていたベルマーレサポーターは数知れず。
(言うてぼくも三幸の試合出場を切に願っていたうちの一人でした)

そして、ついにそのベールは脱がれました。
チームを勝たせることは出来なかったけれど、ボールを持っている時のシルエットが美しく、スペースが見えてないようでちゃんと見ていて、受け手の質に合わせたボールを蹴り分けられる七色のレインボーパスは、見るたびにため息が溢れてしまいます。

三幸のプレーの軽さを指摘する声も有りますが、それは"軽く見える"だけな気がしています。
イーブンボールの際にはちゃんと身体を投げ出したり、相手よりも一瞬早くボールに触ったりしていたので、守備に関しては試合出場を重ねればその辺りはちゃんと適応させる能力を持っていると思うので、今はそこまで重く捉えてなくても大丈夫でしょう。

というよりは、ベルマーレが新しく"前進"できるかどうかの1番のキーパーソンは、間違いなく三幸秀稔になるとぼくは感じています。

レジスタタイプの三幸がベルマーレの中盤の底の位置から、最終ラインと前線の間に"虹を掛ける"存在として輝くようになれば、いまは重苦しい雲がどんよりと上空に漂っていて、冷たい雨が降りぱっなしのベルマーレ界隈の空気を一変させて、晴れ渡った青空を見せてくれるような気がしてならないからです。

レジスタタイプの三幸と、ダイナモタイプの齊藤未月と金子大毅、バランサー型の福田晃斗を適度に共演させて、互いの長所で互いの短所を埋めることが出来れば、攻守がより一層活性化され、得点機会は多く、失点機会が少なくなることに繋がることだって十分にあり得ます。

三幸がベルマーレのスタイルに馴染めなかったら??

そんなことはありません。

下の名前が"ヒデトシ"で、中盤からキラーパスを送り出すことが武器の中盤のプレイヤーが、ベルマーレに合わないわけがないからです!!!


三幸の存在自体、ベルマーレの中盤に22年ぶりに帰ってきた、"ヒデトシ"、なんですから(笑)

次のリーグ戦の裏天王山、この日のガンバ戦でコンビを組んだ齊藤未月が出場停止なので、メンバー入りする可能性はフツーにあると思ってます!

プライムステージ進出の可能性が少なくても残っていたり、齊藤未月が週末のリーグ戦で出場停止だった状況が重なったにしても、直近の試合で頭から流血していたので、休ませることも十分に考えられたはずなのに、あえて未月とボランチコンビを組ませたり、今後もリーグ戦にメンバー入りする可能性の高い山田直輝、中川寛斗、大橋祐紀、馬渡和彰らと一緒に試合に出したということは、これからの三幸の可能性に大きく賭けている?フラグに見えて仕方ありません!笑

久しぶりのマッチレポート、最後は一人の選手について熱く語ってしまいましたが、それだけ大きなロマンを感じる選手だということが伝われば嬉しいです!

そう遠くない未来に、三幸秀稔がベルマーレに勝利の虹を掛けてくれるはずだ!!!
ベルマーレを大きく前進させてくれー!!!

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