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聴覚過敏のノイズキャンセリングテクニック

はじめに

こんばんは。聴覚障害と発達障害のあるおっさんこと「くらげ」です。

近年、「発達障害」という障害への理解が進んできていますが、「空気が読めない」「集中力がない」「学力が伸びない」などという、どちらかといえば「脳や精神的な機能に問題がある」と理解されていることが多いのではないでしょうか。

しかし、発達障害がある当事者の話を伺ったり、妻のあおの行動を見ていたり、私自身の経験から、どうも発達障害者の「生きにくさ」「QOL(quality of life=生活の質)の低さ」は五感からくるエラーも大きな原因なのではないか、と考えるようになりました。

普通の人(定型発達者)にとってはなんでもない音や刺激でも痛みを感じるほどに辛さを感じるということは、「普段の環境」そのものがストレスとなっている可能性があります。

また、発達障害者によく見られる、慢性的な体調不良やいつもぼーっとしている・集中力が欠如している、貧乏ゆすりや無自覚に身体をかきむしってしまう行動などもそのストレスも大きな原因なのではないでしょうか。

今回は感覚過敏の一つである「聴覚過敏」について、どのように対処をすればいいかをシーン別に考えていきましょう。

聴覚過敏とはなにか

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聴覚過敏とは、感覚過敏の一種で「音」に関して敏感な性質を持っていることです。具体的には大きな音や、たとえ小さくても特定の音が耳に入ってくると、耳や全身が痛んだり、ぞわぞわする不快感を感じることがあります。

定型発達でも黒板をひっかく音や、発泡スチロールをこすり合わせた音は背中がムズムズする方は多いようですが、そのような現象が日常的に起こりやすい、と考えていただけると理解しやすいでしょう。また、妻のあおは「聴覚過敏があると普通の街なかでもパチンコ店の中にいるようなやかましさを感じる」と説明しています。

なぜノイズキャンセリングな環境を作ることが大切なのか

このような環境では、くつろいでリラックスすることや、仕事や勉強に集中することが困難になることは想像に難くないでしょう。

たとえ、自宅にいたとしても、外から聞こえてくる物音やエアコンの作動音、テレビから出てくる音、冷蔵庫の駆動音などの生活雑音で疲れてしまう場合もあります。

学校でも、教室はとてもざわざわしますから、すぐに疲れてしまったり精神的な限界が来て逃げてしまいたくなることもあります。

仕事はただでさえ精神的な集中を必要としますが、雑音によって細かい作業に集中できなかったり、同僚や上司の話を聞いてメモを取るのが難しかったり、疲労感のあまり体調が悪くなることも多々あります。

このようなことがあまりにも自然に発生してしまうために聴覚過敏がある本人でもこれがどのような問題なのかよくわかっていない場合もあります。

ですから、聴覚過敏かもしれないと思ったり、周りの人が聴覚過敏で困ってるのではないかと感じたら、以下のような対処を試してみてください。

自宅でのノイズキャンセリングテクニック

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聴覚過敏があって自宅でゆっくりするのが難しいと考えている場合は、自宅で聞こえてしまう大きい音が発生するものや、普通の人が気にならない程度でも自分にとって嫌いな音を発するものをリストアップしていきましょう。

そして、実際に電源を落としてみたり、その音が聞こえないところに移動してみて、いつもより耳が痛かったり疲れたりしないかを確かめていくと「苦手な音」が分かりやすくなります。

例えば妻は、自宅にいても、エアコンの作動音やパソコンの冷却ファンが動く音が無自覚にかなりストレスになっていてパソコンを使うと謎の頭痛がしていたり、エアコンが動いている間は眠り辛くなったりしていました。

そこで、普段使うパソコンは静かなファンレスタイプにして、作動音の小さいエアコンに買い換えるなどの工夫を行ったところ、比較的過ごしやすくなりました。

また、逆に心地よい音を出すような装置を購入し、その音を流し続けることで嫌な音を上書き・相殺できることもあります。妻はバブルタワーというインテリアを使うことで落ち着くのは、雑音を相殺する効果があるからだそうです。

しかし、数ヶ月前に近隣小さな子供がいるご家庭が引っ越してきて、外側から妻にとって突然聞こえてくる子供の叫び声は大きなストレスになってしまいました。自宅にいてもいつ子供の声が響いてくるかわからないので落ち着けないため、私達は静かな家を探して引っ越ししてしまいました。

このようにどうしても外的要因でうるさい場合は、物理的に離れてしまったり、家の一室に防音工事を施して落ち着ける空間を作ったり、簡易防音室を購入するなどを検討してもいいかもしれません。

オフィスでのノイズキャンセリングテクニック

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オフィスでは、人の動くざわざわした音はもちろん、コピー機のガーっという音や電話の呼び出し音など、聴覚過敏のある方が苦手とする音に満ちあふれている環境です。

しかし、オフィス内は自宅と違って物理的な環境を変えることはなかなか難しいですし、仕事を変えてしまうことも現実的ではありません。といって、聴覚過敏のために仕事が進まないというのも問題です。

そこで一番使えると思われるのは「イヤープラグ」です。イヤープラグにも様々な素材やタイプがありそれぞれ特性がありますので、どのイヤープラグが向いているかは実際に何種類か買って試してみると良いでしょう。

注意点としては、仕事中にイヤホンをつけていると間違われて怒られることもあるそうですが、事前に自分も聴覚過敏のことを同僚や上司に伝えておくといいでしょう。

また、会社に頼んでパーテーションをつけてもらえないか、コピー機や電話がない部屋で仕事をさせてくれないか、とお願いしたところ、希望通り支援してもらって仕事が楽になったケースもあります。

最近は、仕事中に音楽を聴くことが許されていたり、パーテーションで区切られた作業スペースのある会社も増えているようです。就職や転職を考えるとき、働きやすいかオフィスかどうかを視野に入れてもいいかもしれません。

通勤や外出先でのノイズキャンセリングテクニック

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街中というのは、とにかく雑音まみれですし、いつどのような苦手な音が飛び込んでくるかわかりません。ひどい場合は音によってパニックを起こす場合もあり、外出することに困難を覚えてる方もいます。

妻も外に行くには聴覚過敏のことでも体力が必要なので、極力、外出を控えてインターネット上で買い物や用事を済ませています。

しかし、どうしても外出しなければいけないことも多いので、その場合はイヤーマフを携帯していきます。イヤーマフはイヤープラグよりも目立ちますが、その分、苦手な音をカットする機能が強いことが多いので外出にはより向いていると言えるでしょう。

ただ、イヤーマフはヘッドホンと間違われてトラブルになることもあるようですが、「聴覚保護マーク」なども出てきており、妻はこれをイヤーマフに貼り付けています。

また、イヤーマフ以外でもノイズキャンセリング耳栓やその他様々なイヤプロテクターが販売されているので、自分にあったものを是非見つけてください。

妻はそれでも外出先で音に疲れて倒れてしまうこともあるので、一緒に外に行く場合はところどころで休憩できるところを確認してから外出するようにしています。

まとめ

音というのは選択的に遮断することが難しいものです。ですから、自分が聞こえに対して疲弊しやすい、と気づくことが難しいことも多く、気がついてもどう対処していいか戸惑うこともあります。

しかし、環境をうまく調整することやアイテムを活用することで「QOL」を向上させることは可能です。もし、この記事がそのきっかけとなれば幸いです。

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