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「Pokemon LEGENDS アルセウス」の面白さを言語化してみる

こんにちは。

これは、レジェアルの面白さを自分なりに言語化しようとしてみるという記事です。
明日には(ポケモンじゃないけど)話題の「ティアキン」が発売されるので、それ遊んでからだと自由度高い系ゲームのことを語ろうとしても全てティアキンの受け売りになりそうなのでレジェアルの感覚が残っているうちに出力しておきたい、ということで書きました。

さて、レジェアル、面白い点はいくつもあるのですが、特筆すべきは「野生ポケモンとの戦闘」だと考えています。
今までの作品とは一線を画す野生ポケモンの力強さと彼らと向き合うスリル、ただ戦闘するだけでない様々なアプローチで捕獲を試みる駆け引き… 野性との戦闘は、アルセウスを語るのには欠かせない要素でしょう。

ここでは、そんな野生ポケモンとの戦闘について、
・臨場感
・場面転換
・ゲームシステム
の3つの観点から語っていきます。ちなみにこの3点は独立せずに影響しあってるので、話ももれなく繋がっています。

筆者はこの分野については素人なので至らない点も数多くあるとは思いますが、よろしくお願いいたします。
あとあくまで私個人の感想です。インターネットのレビューを見渡して一般論を書くとかではなく、私が遊んでて感じたバリバリの主観の記事です

では始めて行きましょう!

臨場感のある戦闘


レジェアルの戦闘の臨場感。それを切り出すために、例として強大なオヤブンとの戦闘の流れを描いてみました。(別にオヤブンじゃないと成立しないわけじゃないです)

以下常体が続きます。


強い野生ポケモンと真っ向からポケモン勝負をして捕まえるのは困難であり、加えて時間もかかる。そして何より”恐ろしい”。
なので、できることなら戦闘を介さずに捕獲したいものである。

そのために草むらに潜入し、煙幕を撒き…、「どうかバレないように」と念じながら巨大なオヤブンに潜入する。
BGMも美しい環境音から一転、緊迫感を高めるものになる。画面にも暗いエフェクトがかかる。プレイヤーは正にオヤブンと対峙することになるのだ。

文字通り目を光らせながら練り歩くオヤブン。彼らが草むらから何かの気配を感じ取り、こちらに向かってきた時には、「どうか見逃してくれ
」と震えながらもじっと身をひそめることになる。

相手の視界に入らないよう慎重に移動しながら、警戒心を緩めるために餌を投げ、隙を作ることをうかがう。移動も餌の投球も、失敗したら命とり
こうして相手の隙を見つけ出し、いざボールを投げる。この投球が成功するかが命運を分ける一つの要素である。オヤブンの背面に直撃したボールは強烈な効果音がその重みを語ると共に、場面が「潜入」から「捕獲」へと移り変わることを告げる。

巨大なポケモンは小さなボールに入り込む。
先ほどまで対峙していた巨大な脅威は画面から消え、一瞬の静寂と緊張が訪れる。ボールの揺れを固唾を飲んで見守る。

祝福の花火が上がれば捕獲成功だ。心地よい花火の音に続いてファンファーレが鳴り、画面は明るさを取り戻す。巨大な脅威はもう目の前にはいない。
プレイヤーは張りつめていた空気から一気に解放される


しかし、運悪くも餌がポケモンに直撃してしまったり、煙幕が思ったより早く切れてしまったり、あるいは、ボールから脱出されてしまったら…

オヤブンが大きな雄たけびを上げ、集中線のエフェクトが脅威を強調する。
ここからはオヤブンのターン。最早ヒトの小細工で対処するのは困難だ。

ボサーッっとしていたら野生の力に屈服させられる。
軟弱なプレイヤーには早急な判断が求められる。
野生の脅威に屈して退避するか、仲間のポケモンを信じてポケモン勝負をしかけるか、あるいは殺意をむき出しにして暴れるポケモンに生身で立ち向かい、攻撃を死ぬ気で躱しながら泥団子を当てていくか。

このように、アルセウスでの捕獲の工程では、生身の人間が強大なポケモンに抗う過程がそのままゲームの駆け引きとして落とし込まれており、直接的にキャラクターを動かすアクション操作であることも相まって、実際に野生ポケモンと向き合っているかのような没入感を得られる。
そして、それを補強するものとしてBGMやSE、エフェクトが場面の転換を印象強く描いていることで、臨場感をさらに高めているのだ。

場面転換で強調される没入感

ここからは、「場面転換」について深掘りしていく。

過去のポケモン作品で草むらを歩いて野生のポケモンとエンカウントしても、「ゲームの敵とエンカウントした」といった感想になってしまっていた部分があったが、アルセウスではシンボルエンカウントであることに加えてアクションパートを設けて「実際に自然を探索してポケモンに遭遇している」感覚を強化し、かつその過程を丁寧に描くことで、実際にポケモンと対面させられたような没入感に浸ることができるようになっている。

逆に、ビッパのようなポケモンに対しては、マップを散策している片手間でボールを投げて何事もなく捕獲することができてしまう。RPGパートに移行することも無ければ対峙してもBGMが変わることも無く、シームレスな処理で済まされる。

「あらゆる状況で共通して、ポケモンの捕獲の際には何らかの場面変換が起こる」となっていた場合、単純にテンポを損なうだけに留まらず、その場面変換の説得力が薄くなってしまう。
一方でアルセウスでは、簡単に捕まえられるかわいらしいポケモンが相手なら、何事も無かったようにスマートに、テンポよく捕獲を遂行できる
一方で対象のポケモンの脅威性が上がれば上がるほど、立ち止まったり潜入を行ったり、野生ポケモンの索敵範囲外から狙いを定めてボールを投げたり、ポケモン勝負をしかけたりと、様々な手続きを踏む必要性が生まれ、その分だけ緊迫感に晒されることになる。

また、ポケモンが主人公を見つけたり怒ったりするなどのトリガーを経て場面変換が行われるようになるシステムは、「簡単に捕まえられる」と思っていたポケモンが実は好戦的な性質であることが判明したり、あるいは捕獲に失敗することでポケモンが怒って、簡単に捕まえられると思ったポケモンに手を焼くことになる、といったイベントも印象強くしている。


また、アクションパートとRPGパートのギャップにも触れておきたい。
アクションパートは先述した通り、ビッパなどが相手ならサクサク進む。強大なオヤブンに立ち向かう際には、慎重な観察と行動が必要になるためテンポは若干落ちることになる。そこからRPGパートに入ると、アクション特有のリアルタイムな操作から、コマンドによる操作と準ターン性とも言えるようなシステムに変化し、テンポはさらに一段階下がるとも言える。

しかし、このように敵の脅威性が上がるにつれて少しずつテンポを落としていくことで、通常のマップ散策パート、RPGパートのギャップを生み出し、それぞれの解放感、緊迫感を演出していると捉えることもできる。そして、アクション/RPGの変化が滑らかかつシームレスに行われるため、ゲームシステムが変化すること自体によるテンポの乱れは感じづらくなっていると考えられる。

アクション/RPGの変化にかかる時間は僅かでマップもアクションのものを引き継いだりと、この変化はシームレスでスマートなものだということができるが、同時にこの変化は「派手」な性質も併せ持っており、大きな変化であることに価値を与えている側面もあると考えられる。

RPGパートでアクションパートとは別の操作のゲームが始まることは、最大の「場面転換」の演出と捉えることもできる。
戦闘を介さずにアクションパートで捕まえることを狙っていたのなら、コマンドバトルが行われることは「隠密して捕まえることに失敗し、荒ぶるポケモンに対して苦肉の策で戦闘に挑む」ことであると言え、元から戦闘を狙っていたのなら「相手の隙を伺って勝負をしかけにいく攻勢の場面」となる。
どちらについても、それまでの捕獲パートとは明確に「場面」が違うのだ。そこで操作の転換を挟むことで強いメリハリをもたらしているのは1つの味であると言えるだろう。野生戦闘BGMのイントロが他のシリーズの各作品のもの以上にハキハキとしているものだと感じられるが、それも場面転換を強烈に描く手段になっている。(勿論終始アクションなゲームにも良さはある)

このように、アルセウスは必要に応じて流暢な振る舞いと大げさな演出を巧みに使い分けることで、臨場感の底上げをしていると考えられる。

野生の脅威の象徴、”ポケモンの群れ”

野生ポケモンを力強く描いた本作における画期的な要素が、”ポケモンの群れ”である。群れのポケモンとの戦闘自体はXYなどでも味わえたが、今作における「ポケモンの群れ」との駆け引きは、このゲームの魅力を凝縮したシステムと言えると考えている。

先ほどの捕獲の流れの例ではオヤブンとの対峙というシチュエーションで話を進めたが、小さなポケモンが相手の場合… 特にポケモンの群れと対峙する時もまた、駆け引きが発生する。

大人しいポケモンは、それが群れであったとしても”対峙することが無ければ”大人しいまま。上手に潜入を行えば群れのポケモンを一網打尽に捕獲できる。ポケモンは大人しいまま捕まえられていき、画面上にはポケモンの脅威性は現れなくなる。その絵面はボーナスステージと言えるだろう。
しかし潜入に失敗したら、群れのポケモン全体に突きまわされることになり、強大なポケモンと対峙した時のように戦闘を介さない捕獲は困難になり、戦闘も1対多で苦戦を強いられる。弱小なヒトはやはり大自然の力に晒されるわけだ。

上手くいけば大人しいポケモンを一網打尽、へまをすれば野生の暴力」というバランスは、駆け引きとして魅力的なものに仕上がっているだけでなく、今作の大きな特徴である野生ポケモンの力強さの描写に貢献している。また、強いポケモンの群れは見た目通り恐ろしく、自然の力をプレイヤーに存分に味あわせてくる。(ヒスイの夜明けでポケモンの群れとの対峙をエンドコンテンツの1つとして設けたのは感服せざるをえない

スリリングな演出を成立させるゲームバランス

このように、アルセウスでは野生との戦闘で様々なスリリングな駆け引きを楽しむことができるが、それを実現させているゲームバランスにも注目だ。

記事中でこれまで何度も「野生ポケモンとまともに向き合うとヤバい」とは言ってきたが、ゲームオーバーになるか否かという観点では、気を付けてプレイをしていれば殆どゲームオーバーにはならない。そういう意味ではリスクがないとも言える。が、ゲームオーバーという意味でのリスクが低いからこそ、最初からリスクを全回避した行動に走らせずに、プレイヤーが気楽に試行錯誤できる余地が生まれている。とはいえ何かリスク自体はあった方が良いのだが、野生ポケモンとまともに向き合うと時間や手間がかかること、逆に上手く捕まえればその手間を大きく短縮できることがゲームオーバーに代わるリスクとリターンになっており、ゲーム性を担保している。そして、ゲームオーバーになりにくい設計でも良いからこそ、野生ポケモンをめいっぱい凶暴に描くことができる。

また、コマンド式RPGである以上、どんなに野生ポケモンが強いと説いてもそれを凌駕するレベルのポケモンを育てれば何も恐れるものはない、となってしまう可能性があるのは懸念点であった。アクション主体であれば強い装備を揃えても、プレイスキルがなかったらあっさり崩壊するようなゲームもあるため強い敵と戦う時は何かしら苦労や工夫が必要になる=敵の格が落ちにくい、がRPGは適当にコマンド入力してるだけでレベル差があったらあっさり… になってしまう)

しかし、レジェアルでは1対多の「多」のアドバンテージが極めて大きい(レベル70vsレベル30多数 みたいな戦闘でもわりと苦戦する)ので、強いポケモンを育てても苦戦するときは苦戦する仕上がりになっている。
(それでいて相手と同レベル帯で1対多になっても、なんかいい感じに頑張れば相手全員を捕獲することもできたりするので凄いバランスだ)

RPG面でも野生ポケモンをパワフルに描けているのも、やはり「ポケモンが全滅してもゲームオーバーにならない、さらに野生戦ならいつでも気軽に離脱できる」という、ローリスクな設計があるからだろう。

この「高難度だがローリスクな戦闘」を、もう少し深掘りしてみよう。

アルセウスはポケモンを捕獲して図鑑を埋めるのがゲームの目的となっている。もしこれが「何でも良いからラスボス倒せば良いよ」だったら、強い敵や困難な戦闘は回避、離脱して楽してクリアして強い敵とは最後まで向き合わずに終了、となってしまう。これを回避するため、様々なゲームでは強敵と向き合う動機として「強い武器やレアアイテムのドロップ」が設けられていることが多い。

一方でポケモンについては、過去シリーズでは多くのプレイヤーが使うポケモン(様々なゲームに置ける武器等)を6種に限定してしまっていて、多くのポケモンは自機としてプレイせずにスルー(=捕まえるメリットがそんなない)、となってしまっている。これでは強敵と戦ってもらえない。

ということでアルセウスは「ポケモン図鑑を埋めるゲーム」という前提を置くことで、色んなポケモンを捕まえることをプレイヤーに促しており、その手段として強敵に立ち向かうことも(普段のポケモン以上に)プレイヤーに促すことができているのだ。


というわけで、PokemonLEGENDSアルセウスの楽しさについて、自分なりに書かせていただきました。

皆さんも何か「アルセウスはこれが楽しい要素なのではないか」といったものがありましたら、是非是非発信していってください!

何か連絡あれば@Tausend_Pfeile まで。
それでは。

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