見出し画像

詩①


眠たい目こすって

歯をみがく

明日のやることリストを

イメージして

つばを吐きだす


時計の針は0

終電を告げるアナウンスが

耳元でなげく

週の真ん中水曜日


満員電車がなくなれば

弊社がつぶれれば

あいつがいなくなれば

ささやく耳元で声がする

きみがいらない


空の声が苦しめる日々に

終わりがこない

果てることなく生きていく体は

ひそかにたしかに死んでいく

正しさが壊れていく

流れる時間に

しがみついては

後ろを気にしてつまづく


おびえるアラーム

目を閉じる

くるなと願った朝日

ひとつため息

絶望の朝


眠い目をこすった

朝ごはんの匂いがした

子どもの記憶が

遠のく3年目の冬


希望を込めた志望動機

消えかかった理念を

燃やしたいつかの日

惰性で生きる

喝でもあれば

そんな相手もいないから


孤独の中の架空の人

始まらない

消えもしない

生きている体は

ひそかにたしかに

死んでいく

間違いの先に待つ

天国のささやき

しがみついては

周りを気にして

はっとする


場数も踏んだ

偽りも

遅延の連絡

聞こえた舌打ち

自分の音