そういえば、ソーメン専門店ってないよな【エッセイ】
実家でさ、母親がソーメンを出してきたんだよ。
視線がまどろっこしい。顔を見上げると母親が物欲しげに見つめてきている。
ずるりとすすると、ついつい口に出してしまった。
——うまっ
母親がうれしそうな表情だった。
——なに?
息子というのは、こういう時、なぜトゲっぽく接するのだろうか。そんなことをする必要なんてないのに、なぜかワンテンポ、気だるそうにしてしまう。
「いつもと違うでしょ?」と得意げだ。
しらんがなとは思いつつ
うん、とだけ。たしかに、美味い。
なんというか、瑞々しい、ひっかかる感じが一切しない。シルクを食ってるみたいな流動性だ。
詳しく聞くと、
数日前にやってた、県民性を面白おかしくフィーチャーするバラエティ番組をみてたら、その手の特集がやってたみたいで、それが気になって近所のスーパーで買ってきたんだそうだ。
どうやら、そのソーメンは揖保乃糸の黒帯とかいうやつで、いつも買ってるやつより3倍も値が張るという。いつもは、赤い帯のを買っているが、今日は黒い帯だと、3度ほど強調してきた。
それにしても、母親という生き物は、どうしてフィーチャーしたいことは3回くらい言うんだろうな。キーエンスだったら即日クビになるぜ、とか思いながら、だがそんないことは決して口にはせず、うんうん頷く。
それにしても美味い。
これを読んでる、あなたもスーパーで黒帯の揖保乃糸をみつけたら買ってすすってみて欲しい。
700円くらいらしいが、これが美味いのだ。
ぜひ、ささやかな絢爛をご家庭に。
さて、本題。
山門文治(ぼく)は、生粋の麺類好きだ。
ラーメンはもちろん、うどんに蕎麦に、パスタも大好きだ。
はっきり言って、令和の米騒動が起ころうが、モーマンタイである。
米がないなら麺をすすればいいじゃない、とぼくのこころの中のマリ・アントワネットが顔を覗かせる。
1週間、すべてを麺類になったとしても、別にかまわない。というか京都時代のぼくは、そういう生活をしていたわけで。
だからさ、思うわけだ。
そういえばさ・・・・
ソーメンってさ、めちゃめちゃ美味いのに、なんで専門店がないんだろうな?
という疑問が浮かぶ。
残りのソーメンをすすり終えると、
ぼくはスマホを手に取り、Chrome開く。
「ソーメン 専門店 なぜ ない」と打ち込み、検索してみる。
すると、同じようなことを考える人は、いるもので、
インターネットというのは、人々の何気ない疑問が可視化されていることをまざままざと感じさせられる。
概要をまとめると以下のとおり。
↑
くわしくは、こちらの記事をご参照。
ふ〜ん、なるほどなぁ。たしかになぁ。だけどさ、
ソーメン専門店つくれば、あたりそうじゃね?
ここからは、ぼくのビジネス勘定が底抜けしたぼくの妄想だ。
ほわんほわんほわん(妄想ワールドに入ってく特有の効果音)
たとえば、高円寺とかで。
いや、阿佐ヶ谷かな?西荻窪っていうのも悪くない。
まぁ、そういう中央線のあの辺の駅でさ。
駅から徒歩10分くらいのところで、ソーメン専門店やったらあたるんじゃねぇか?と妄想がもくもく膨らんでいく。
ここは、夏だけ営業するんだよ。
ソーメンの種類を選べるようにする。
・赤帯は590円
・黒帯は800円
・一番高いのは3,000円
トッピングは、
つゆの種類も何種類か、関西風と関東風みたいな選択式に。
素材をそのまま味わいたい人のために抹茶塩とかも用意がある。
そうそう、デザートはかき氷にしよう。
氷は、なんかこだわりの水を氷にしたやつ。代々木公園の井戸まで汲みに行くみたいな感じ。
んで、流しソーメンイベントなんか企画しちゃったりして、浴衣で来たら100円引きみたいな割引。
どうだ?高円寺か阿佐ヶ谷か西荻窪で、これやったら絶対当たると思うんだよな。
でも、ないってことはやらないってことなんだよな〜。
あ、これ見た人の中でそういう力がある人は、パクって実現させてもいいよ。
というか、誰か・・
ソーメン専門店というフロンティアを切り拓いてくれ!!
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