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宇治十帖あらすじサックリ紹介!

橋姫:薫、宇治で美人姉妹を見初める

主人公・薫は、宇治で大君・中君という姉妹に出会いました。彼女ら、特に姉・大君に惹かれる薫。しかし想いを素直に認められません。実は薫は、自分の出生に疑いを持っていたのです。かの光源氏の晩年の息子であり、皆に「源氏の君の忘れ形見」ともてはやされる自分、実は別の人の子ではあるまいか。その不安感から、仏教に深く帰依していた薫は、煩悩・愛執につながる恋を受け入れられないのです。それで薫は、兄弟同様の存在・匂宮に、「宇治の美人姉妹」の話をし、恋をけしかけます。美女に目がない匂宮はたちまちのぼせあがり、薫に仲介を頼んでヤキモキします。その様子を薫は眺めて楽しみ、想いの捌け口にするのでした。

椎本:薫と姫たち、絆を育む

大君・中君の父が亡くなります。生前親しくしていた薫は、遺言により姉妹の後見人となり、急速に距離が縮まります。一方、匂宮も姉妹に恋文を贈り始めます。が浮気で有名な宮の求愛に、姫たちは警戒して受け流すのでした。

総角:中君の結婚、大君の死

薫はついに、大君に想いを打ち明けます。しかし薫を「仏教に真剣な清い青年」と思っていた大君は、それを「下心」と感じ、嫌悪したのでした。とはいえ身寄りのない姉妹二人、体面を保って生きていく術を考えれば、薫との結婚はまさに「良縁」です。大君は、自分が薫より年上であること、匂宮は浮気と評判で当てにできないこと、薫の誠実さは折り紙つきであること等を考え、「自分ではなく中君と結婚してほしい」と頼みます。大君に拒み通された薫は、(中君が縁づけば大君も気が変わる)と考え、匂宮と中君を取り持って結婚させてしまいます。二人の仲は良好でしたが、身分高い匂宮は宇治まで通ってくることがなかなかできません。中君の「妻としての悲哀」を見聞きした大君は、ますます結婚を厭い、この世に絶望して衰弱死しました。

早蕨:薫、中君に惹かれてゆく

姉の死に悲嘆する中君を、匂宮は京へ引き取り、妻として大事にします。薫は後見人として中君の幸せを喜びつつも、その面影に大君を見出し動揺します。

宿木:中君の安定、薫の孤独

匂宮は親によって、政略結婚が決められてしまいます。悲しむ中君を薫は慰めますが、次第に恋情が抑え難くなり、ついに意を決して言い寄ります。が中君の気持ちは匂宮にあり、また、すでに懐妊してもいたのでした。薫の動きに気づいた匂宮は、嫉妬して中君から離れなくなります。さらに子がぶじ誕生したこともあって、夫婦仲は安定へ向かうのでした。

一方薫も、時の天皇のお声がかりで、その愛娘を正妻に迎えました。つまり出生の秘密ももはや脅威にはならぬほど、その立場は固まったのです。が、正妻や地位に満足する反面、責任も周囲の期待ものしかかり、ますます大君が慕わしく、中君が恋しく思われるのでした。迫られて迷惑した中君は、身分低い異母妹・浮舟を薫に紹介します。

東屋:浮舟、登場。匂宮との出会い、薫との結婚。

中君を訪ねてきた浮舟は、匂宮にばったり会ってしまいます。その美貌に一目で惹かれた匂宮は、即座に言い寄りますが周囲に邪魔され、名も身元も知らぬまま引き離されました。一方薫は、そんな経緯はつゆ知らず、浮舟を隠し妻にして宇治に住まわせます。そして大君に似た風情を愛しく思いつつも、教養や知性には幻滅するのでした。

浮舟:破滅へと向かう三角関係

恋すると一途な匂宮は、浮舟を執念で捜しだし、薫のふりをして想いを遂げました。その情熱に浮舟は絆されてしまい、迫られるまま逢瀬を重ねます。やがて薫も二人の仲に気づき、怒りや幻滅、「いと憂し」という憂鬱さ等を感じつつも、とりあえずは浮舟を我が物にしておこうと考えます。一方匂宮も浮舟を奪取しようと計画します。浮舟はどちらの男性も選べず、スキャンダルになった場合の母・姉への迷惑を恐れ、「自分一人が消えれば」と死を決意します。

蜻蛉:浮舟、入水。

浮舟の失踪は、残されていた和歌により、身投げと判断されました。匂宮は衝撃で寝込み、薫は仏道修行に専心して心を静めようとします。やがて匂宮は浮舟の従妹に当たる女性に興味を持ち、薫は葬儀や遺族の世話をして、日常が戻ってくるのでした。

手習:再び形代へ…そして尼に。

浮舟は生きていました。川へ着く前に行き倒れて僧侶の一行に救われ、尼寺で暮らしていたのです。しかし尼の一人に「死んだ娘の再来」と可愛がられ、その娘の夫だった人にも迫られて、全てを振り切るように出家します。一転明るくなり、修行の日々を送るようになった浮舟ですが、昔を思うと心が騒ぐのでした。

夢浮橋:霧に包まれたかのような終結

薫が、浮舟の生存を知ります。矢も楯もたまらず、想いのたけを訴える手紙を送りますが、浮舟は「人違いでは」「今日は具合が悪いので」とはぐらかすばかりでした。薫は(男が密かに囲っているのでは)等といろいろ邪推を巡らした、と元の本には書いてございました。

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