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源氏物語 若紫「小柴垣の垣間見」あらすじ紹介!テキスト版

YouTube動画『小柴垣の垣間見 あらすじ紹介』

この記事は、YouTube動画『源氏物語Su-分講座 有名シーン編No.1 若紫より小柴垣の垣間見』の内容を、文章&画像でまとめたものです。動画でなくテキストで読みたい方は、こちらをどうぞ。

そもそも「若紫」の巻とは?

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光源氏とその生涯の妻・紫上(この時点ではまだ女児ですが)との出会い、初恋の人(藤壺宮)との逢瀬、身よりを亡くした紫上の引き取りなど、重要なヒロイン・エピソードが描かれる巻です。

「若紫」巻の意義を知りたい方は

源氏物語全体の中で「若紫」巻が占める意味については、こちらの動画にまとめてあります。
それでは、この動画の本題、「小柴垣の垣間見」あらすじへ参りましょう。

「小柴垣の垣間見」あらすじ

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光源氏は「わらは病(熱病、マラリアか?)」にかかり、治療のため北山へ行きました。療治の中休み、気晴らしに外へ出た光源氏は、先ほど見かけて気になった、小さな柴製の垣根がある家へ行ってみます。

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おおぜいのお供は宿へ帰して、惟光という腹心の部下だけを連れ、ひっそりと垣間見してみました。

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すると、その家にいたのは尼さんでした。四十代くらいの、きわめて品のよい人で、ただとても具合が悪そうです。

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尼さんの側には、女房(高等な使用人)らしき女性が2人ほど控えていました。また子供たち(おそらく女房の子ら)が、出たり入ったりして遊んでいます。

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その子供らの中から一人、10歳ちょっとくらいの女児がこちらへ走ってきました。他の子らとは比較にならない外見で、おそらく使用人ではない、主人側の姫だろうと思われる子です。(のちの紫上です)。

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女の子は泣いていて、「ペットの雀を、いぬきちゃんが逃がしてしまった」と訴えます。

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それを聞いた女房の一人が、「いぬきはいつも、粗相ばかり…。雀はどちらへ参りましたでしょう。カラスなぞに見つかっては大変」と言いつつ、立って出ていきます。(おそらく雀を探しに行ったか、様子を見に行った)。
その女性、「少納言の乳母」と呼ばれているので、女の子の乳母かな、と光源氏は推測しました。

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尼さんは、「まあ、何と子供っぽいこと」と嘆きながら女児を呼び寄せます。それでその子の顔がはっきり見えました。「あの方(初恋の藤壺宮)にそっくり」と気づいた光源氏は、思わず落涙します。
一方尼君は、「こんな幼い子を置いて、今にも死にそうな私はどうしたらよいの」という、悲しい歌を詠みます。

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それを聞いたもう一人の女房も涙して、「尼君さま、どうか生きてらしてください」という内容の返歌をします。尼君の重病や、女児の頼りない身の上が分かる、悲しい場面です。

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そこへ僧侶が奥から現れ、「光源氏さまご一行が近くにいらしてるそうです。私もご挨拶に行かねば」等と騒ぎ始めます。それで光源氏も宿へ帰りました。しかしあの可愛らしい女児が気にかかります…。
以上が、「小柴垣の垣間見」あらすじです。

つまり「小柴垣の垣間見」とは

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注記:「小柴垣の垣間見」は、光源氏の視点から語られています。
また上の解説では分かりやすくするため、「紫上」「藤壺宮」という語を使いましたが、これらは読者目線の呼び名です。この場面の本文中に、これらの語は出てこないので(平安人は名指しを嫌います)、注意してください。

おまけ:絵を見分けるポイント

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「小柴垣の垣間見」は過去1000年間の日本で、おそらく最も多く絵画化されてきたシーンです。古い屏風や扇、家具の表面などに、この絵が描かれていることが意外とあるので、見分けるポイントを挙げておきます。
1.転がった籠、飛び去る雀:この2点だけで暗示することもあります
2.垣根ごしに、男性一人(ないし二人)が家の中を隙見していて、中には女性たちがいる(一人は飛び去る雀を追おうとしている)
3.源氏香という模様:

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この模様は、「若紫」巻を表します。

「源氏香」について知りたい方は

まとめ&関連動画紹介

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以上、「北山の垣間見」とも呼ばれる「小柴垣の垣間見」、あらすじでした。この場面を文法面から知りたい方は、以下の動画をご覧ください。





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