オンライン同人誌即売会で新刊を出したオタクの感想文
先日、人生で初めてpictSQUAREさんのオンライン同人誌即売会というものに参加し、オンライン同人誌即売会併せで新刊を発行しました。結論から言うと、機会があれば絶対また参加したいというのが感想です。
オンライン同人誌即売会の存在を知った当初、「ぶっちゃけそれ通販リンク集じゃん?通販なんていつでも開いてるし通販の良いところってそれじゃん?」と思っていたのですが、蓋を開けてみると全然そんなことはなくそこは既存の同人誌即売会とオンラインと言う性質が混ざった「全く新しいイベント」の場でした。
なるべく自分のジャンルに閉じた話ではなく、一般的に即売会に興味を持った方の参考や動機づけになったら嬉しいかなと思い、あえてオンライン同人誌即売会という大きな枠で語ろうと思い筆を執っておりますが、今回の感想はあくまでも自分が参加したオンライン同人誌即売会がベースのお話であり、イベント主催者様の意向や参加する方の目的意識によって感じ方は異なると思います。しかし、自分自身が感じた感情を記しておきたいと思いこちらに書き記しておきます。また、今後オンライン同人誌即売会を主催してみたい/参加してみたいという方がいたらとある参加者の感想として頭のすみにでも置いていただけたら幸いです。文章は苦手なのであまり読みやすい記事にはならないかもしれませんが、そこはご愛嬌で。
まずは個人的に良かったところの紹介をします!
よかったところ①:参加ハードルが低い
今回初めてサークル参加したという方が「サークル参加楽しかった!」「初めて本を作った!」という感想をおっしゃっているのを見て同人誌好きなオタクなのでニコニコしましたね。そういう楽しい体験をした方が居るってだけでただの参加者なのに嬉しいなと思いました。
① 時間・移動のコストが少ない
同人誌即売会って何ヶ月も先のイベントに申し込むので、正直スケジュール的に参加できるかわからない…って二の足を踏むこともあると思います。しかし、オンライン即売会は人の波こそあれど開催時間が長いため、都合のいい時間帯に参加することが可能です。最悪居なくてもスペースは回るので、気軽に参加に踏み切れたなと思います。公式イベントがあったりすると首都圏に月に何度も足を運ぶのは大変だと感じる方も多いと思うので、そういった移動コストも少なく参加できるのは良いと感じました。また、移動コストや時間制限が緩いことから日本国外からの参加も可能で、実際にそういう方が居たのが印象深かったです。即売会が好きな人が世界中から集まるって、素敵ですね。小さい頃に思い描いた夢のインターネットって感じです。
② 売り子・買い子問題の解消
物理サークル参加を一人でする場合、自分がスペースにいないと頒布ができず、かと言ってずっと居たら買い物もできず…という問題が絶対に付いて回りますが、それがないので良いですね。ただ、自分は買ってくださった方に直接お礼が言える小さなコミュニケーションが好きなのでそれがないのは残念でした。
よかったところ②:人が居る
同じ時間に同じもの好きな人が同じ空間に存在しているって体験をここ半年くらい絶たれていたので。アバター…お前…中に人がいるのか?みたいな気持ちでめちゃくちゃ嬉しくなりました。仲の良いお友達とは遊んでいたとしても、大きな枠で好きなものが同じ人が集まる場所が久しかったので、こんなにも気持ちがあたたまる場所だったんですねと再確認しました。イメージ的にはライブの前にライブ会場周りで開演待ちをしている人々の雰囲気が近い気がします。周囲からなんとなく楽しんでいる空気が伝わって来るのが嬉しいあの空間です。
あと、サークル参加の場合開催前の準備期間も会場に入ることができるのですが、色々なサークルさんが外装などを準備していって少しずつ会場が完成していくのが見られて楽しかったです。高校とかの文化祭準備に近い感覚かな。
よかったところ③:余裕を持って回れる
① サンプルをじっくり見られる
特に今回思ったのが、小説サークルさんとの出会いが多いという点です。物理即売会の場合、どうしても大きなイラストポスターのサークルに目が行きがちなのですが、オンラインの店舗の場合そこの差が埋まるなと感じました。たまたま好みそうな案内の小説サークルさんと出会ったときにその場でサンプルを読むことができるのが個人的には嬉しかったと思います。他にも、音楽サークルさんなども視聴をじっくり聞けたりするのでオンラインイベントと相性が良いかもしれません。
② 普段回らない場所も回れる
混んでるからいいや、遠いからいいや…が減るので今まで知らなかったサークルさんとも出会えました。
よかったところ④:締切…お前だったのかいつも俺を生かしてくれていたのは
開催されるかされないか分からないイベント…されても人が居ないイベント…に向けて本を出すのがあまりに精神的にしんどくて、1月から個人誌を描くのをサボりました。1イベントで2冊+無配漫画まで描いていた自分が見たら殴りかかってきそうなスローペースです。正直最初は「オンライン即売会だとダラダラやってなんとなく落とすのでは…」と危惧していたのですが、今回イベントに向けて準備を頑張る人がたくさんいるということが見えるのが非常にモチベーションになり、無事新刊発行に至れました。同人活動って自分ひとりの戦いのように見えて、案外周りの雰囲気からも元気をもらっていたんだなと実感しました。
そういう周りの影響も含め、締切に生かされているので久しぶりにめちゃくちゃ生きてるなと思いました!!!!!あと家に事前に本が届くの、イベント当日机の下に何も搬入されてない夢を見て冷や汗で起きるのが常習の人間からするとありえないくらい安心感がある!!!!
この「たとえオンラインであっても即売会があると、当日に向けた準備のために気持ちを集中させられるので生活にハリが出る」って部分がこの記事の主題です!
ここまで良いところばかりを書きましたが、流石に「オンライン即売会最強…」とはなりませんので、以下物足りなかったところを書いていきます。
物足りないところ①:会場BGMがない・レイヤーさんが居ない
「おはようございます!!!(クソデカ放送)」や自分の好きな作品の曲がかかって会場が沸くアレ、はどうしても存在しないです。あと、自分自身はコスプレもするオタクなのですが、コスプレイヤーさんがその辺歩いているあの不思議な感じとかも味わえないのがな…寂しいですね。
工夫されていたこと
今回参加したオンライン即売会では、Discordのボイスチャットチャンネルで何回か音声での会場実況配信が行われており、そこでは参加者が共有できる空気があり楽しかったです。会場BGMとは違う形で「音」で感じられる一体感があると嬉しいものだなと感じました。
また、レイヤーとは違うのですがアバターをカスタムして遊んでいる方が多くて面白かったです。リアルイベントでは食べ物とか動物とか漢字一文字がその辺ウロウロと歩いてることとか無いので、それはオンライン即売会独自の面白さですよね。次回はアバターカスタムして参加したいです。
物足りないところ②:戦利品待ち遠しすぎる問題
同人誌即売会の良いところとして、買った本の重みで腕が疲れその宝の山を大切に持ち帰り読むところがあると思っています。即売会の熱に浮かれた状態で本を読むあのフワフワ感や余韻…皆さんはお好きですか?オンライン即売会の買ってすぐ自分の手元にあるぞ感が薄いところは物理イベントには勝てないなと思いました。
工夫されていたこと
ネットプリント企画というものがあり、サークルさんがポストカードやペーパーのプリント番号を掲示してくださって各自でコンビニで印刷する企画がありました。印刷したら物理的な報酬が手に入るの結構楽しいんですよね。結果、コンビニのプリンタ待ちの列ができてないかずっと後ろを振り返る不審者が爆誕しました。
工夫したこと
自分はサークルとして少しでもこの問題に対して対応できないかな…と考えて「紙の本にpdf版を同梱して頒布する」という工夫をしてみました。二次創作同人の電子化を頒布することについては、あまり良くないという考え方があることも承知しています。しかし、自身は紙の本を作るのは絶対止めないと強く思っていること(装丁好きなので…)、今の時代にあった即売会のスタイルを開拓してみたいという気持ちから電子化に踏み切りました。新刊については電子版・紙の本をどちらも頒布してみたのですが、実は圧倒的に紙の本のほうが手にとっていただけていたので、電子版があっても紙の本が存在していればみんな紙の本を買ってくれるんだな…!という自信にもなりました。質感や重みなど実物から得られる価値を込めた楽しい紙の本をこれからもいっぱい作っていきたいと思います。
物足りないところ③:本を売るためのイベントとしては難しい
これは自分のサークルの規模が小さいだけかもしれませんが、物理即売会に比べ作品を目にしてくれる方は多いと思うのですが、やはり通販って購入ハードルが若干あると思いますし、ガチで本を売るを目的にした場合オンライン即売会はそこまで効果的ではないものだと思います。販売ページまでのクリック数がめっちゃ多いし…。それを理由にオンライン即売会は好きではないという判断することも一つの考え方だと思います。
工夫されていたこと
イベントの趣旨として企画が沢山存在していて、本を売るためだけのイベントという雰囲気ではなかった点がこの問題を和らげてくれました。本を売ることも大事ですが何よりイベントというものを楽しむことが目的の方が、オンライン即売会として盛り上がるのかなと個人的には感じました。
今後の即売会について思うこと
一個人としては、オンライン即売会はオフライン即売会の代わりにはならないと思います。だって、直接来る方にお礼言いたいし、フォロワーさんと会いたいし、差し入れのお菓子交換したいし(強欲)。しかし、共存できる新しいスタイルのイベントという立場にはなっていくと思います。今は自粛の流れとなっていますが、今後普通に同人誌即売会が開かれるようになった後も、同人誌を作ったり人と好きなもので盛り上がるきっかけとして存在していってくれたら面白いですよね。別の、新しい楽しみ方が生まれたというのが正直な感覚です。
即売会はその場にいる人皆で作るものだと思うので、コミュニティごとに盛り上げ方や企画や目的意識が色々あると思います。重ねてですが今回の感想はあくまでも自分が参加したイベントに関するもので、参加者の皆さんの創意工夫や主催者の方のご意向が混ざりあった結果生まれた体験に基づくものだと思います。まだ模索段階でスタンダードがないからこそ、その場に参加した人がなるべくたくさん面白いと感じられるイベントが、いろいろなところでたくさん生まれてくれると嬉しいですね。盛り上がりたい人も粛々とやりたい人も、選択肢が多い時代なので自分が楽しいと思える場所で同人活動と向き合っていけると良いなと思います。
楽しいことが大好きなすべての人に敬意を込めて。
創作活動及び成果の発信などの形でみなさんにお返しできたらと思います。