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4月10日(2016年)ドン引きのマリノスに守り切られた日

 2016年4月10日(日)、浦和レッズは日産スタジアムで横浜F・マリノスとJリーグ1stステージ第6節を行い、スコアレスドローとなった。点は取れなかったが、ほぼ全ての時間、相手を敵陣に押し込む一方的な試合だった。横浜FMに対して、これほど優勢な試合をしたことはなかった。

2ステージ制の2年目だった

 レッズが調子を上げてきたのに合わせるかのように、嫌がらせみたいに2年間導入された2ステージ制。予選リーグを半年ずつ2回行い、上位チームが一発勝負で年間優勝を決める方式は、実力だけでチャンピオンを決めるものではない。
 その2年目となるシーズン。レッズは開幕から4勝1敗とまずまずのスタートを切った。

ACLで広州恒大を抑えるスタート

 このころはACLの常連にもなっており、この年も序盤はJリーグと並行してグループステージを戦っていた。こちらは4試合を終えて2勝1分け1敗。アウェイで韓国の浦項スティーラーズに惜敗したが、ホームではしっかり2勝。特に優勝候補の一つ、中国の広州恒大にはアウェイで引き分け、ホームで勝ちと、レッズが優位に立っていた。この横浜FM戦は、埼スタで広州に勝った5日後の試合だった。

前半は横浜FM陣内だけで戦っていた

 GK西川周作、3バックは森脇良太、遠藤航、槙野智章、ボランチに阿部勇樹と柏木陽介、ワイドに関根貴大と宇賀神友弥、そして興梠慎三をワントップに、李忠成と武藤雄樹が脇を固める“KLM”の前線。どうだろう、名前を聞いただけで強さと面白さが伝わってくる先発メンバーではないか。

 リーグ3連勝中と好調チーム同士の対戦だったが、始まってみるとレッズが一方的な攻勢を取り、前半は相手にシュートを1本しか打たせなかった。
 一方、レッズはと言えば横浜FMを敵陣に押し込み、遠藤や槙野もたびたび攻撃参加した。レッズのハーフコートゲームで、8本のシュートを放つもゴールを割れなかった。相手に11人でバイタルエリアを固められては、なかなかこじ開けられるものではない。僕は苦戦を覚悟した。

圧倒的に攻めるもスコアレスドロー

 こういう展開から相手にカウンターでワンチャンスを決められ、0-1で負ける、という試合は往々にしてある。
 実際、後半は横浜FMも前半よりレッズゴールを脅かす場面を作ったが、人数を掛けた攻撃というより個人のスピードを生かした突破に懸ける、というもので、広州恒大のリカルド グラルやジャクソン マルティネスを封じたばかりのレッズ守備陣には通用しなかった。
 しかしレッズも、選手交代でリズムを変え相手ゴールに迫るが、GKの好守にも阻まれた。結局、シュートは15本対5本、CKに至っては7対0という圧倒的な数字を記録しながら、得点の欄には両チーム「0」が書かれて試合を終えた。

記者会見で“ミシャ節”炸裂

 試合後の記者会見でミシャ監督は相手に敬意を払っているような言い方ではあったが皮肉たっぷりだった。
「F・マリノスとレッズという、日本を代表するクラブ同士の戦いですので、もっとスペクタクルな、お互いが攻撃し合うことを期待していた方も多いのではないかと思います。ただ、片方のチームだけがサッカーをしようとしても、ゴールは生まれません」
「モンバエルツさんはフランス人の監督ですけど、フランスは、非常に素晴らしいサッカーをする国だと思っていますし、素晴らしい監督がたくさんいる国でもあると思っています。彼も、非常に質の高い、素晴らしい監督だと、リスペクトしています。ただ、今日に関しては、ちょっと守備的過ぎるという印象を受けました」
「今日、私は、両チームが攻め合うような好ゲームになることを期待していたんですけど、そうならなかったことは、サッカーを愛する私としては残念です」
「日本のサッカーを引っ張るべきチームは、見る人たちを魅了するサッカーを見せていかなくてはいけないと、私は自負しています」

そんな試合にしたのはレッズの強さ

 言いたい放題(笑)。
 しかし、僕としてはミシャに全面的に同意だったし、なんなら田中マルクス闘莉王を呼んできて「あんたたち、こんなサッカーしてて楽しいですか」と言わせたいような試合だったのだ。

 そして横浜FMのモンバエルツ監督は、記者からの質問に対して「決して、引いて守ろうという意図はなかったんです。しかし浦和さんの攻撃に押されて、ああいうふうになってしまったんです」と語っていたのが印象的だった。

 ミシャ監督就任5年目でチームの成熟度がかなり増していること。そしてACLを戦うことで選手たちに自信が上積みされていることを実感した。
 ただし、そこまでは我慢も必要であることも忘れてはならない。

 さて、みなさんは2016年4月10日、何をして何を感じていましたか?

※この内容はYouTube「清尾淳のレッズ話」でも発信しています。映像はありませんが、“ながら聞き”には最適です。
【あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~】は、レッズサポーターのみなさんから投稿を募っています。浦和レッズ30年の歴史をいっしょに残していきましょう。詳しくはマガジン「あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~」のトップページをご覧ください。


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