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3月3日(2007年) 二連覇を誓った開幕戦だが、話題に残ったのは相手のゴール

 2007年3月3日(土)。

 浦和レッズは埼玉スタジアムで横浜FCとのJリーグ開幕戦を行った。

 1週間前に行われたガンバ大阪とのゼロックススーパーカップは0-4の大差で敗れた。前年のリベンジを果たされた格好だが、それほど気にはしなかった。1月1日の天皇杯決勝まで進んだレッズは(G大阪も同じだが)1月27日(土)に練習開始。しかもホルガー・オジェック氏が新監督に就任しチームを再編成したシーズンだった。阿部勇樹がジェフユナイテッド千葉から移籍。左サイドのスペシャリスト、三都主アレサンドロがザルツブルクに移籍を前提とした練習参加と、選手の入れ替えは少なかったが、始動後4週間ではチームの完成度が低いのも当然だった。

 スーパーカップもタイトルの一つだが、ここからはJリーグタイトルを目指す戦い。レッズは二連覇が懸かっているし、この年は初めてAFCチャンピオンズリーグに挑戦するシーズンでもあった。

 何より前年優勝チームがJ1初昇格のチームを相手に負けるわけにはいかない。それがプレッシャーになったり、焦りにつながったりすることもあるが、この日のレッズにメンタル的な心配は不要だった。5万7千人超えの埼スタほぼ全体を使ったビジュアルサポートに迎えられ、選手が入場。GK山岸範宏、阿部を中央に右に坪井慶介、左ネネの3バック、ボランチに小野伸二と鈴木啓太を配し、左右のワイドに相馬崇人と山田暢久、2トップにワシントンと永井雄一郎、トップ下にロブソン・ポンテという陣容は頼もしさを感じた。

 前半25分、ポンテのクロスを横浜DFがオウンゴール。あっけなく先制点が入り、楽勝ムードが漂った。

 だが、この試合一番の見せ場は横浜FCが持っていった。前半44分、アタッキングサードの手前で「ドラゴン」こと久保竜彦が左足を一閃。ボールは長い軌道を描いて山岸の手を越え、クロスバーギリギリに吸い込まれていた。敵も味方もなく、5万7千人がド肝を抜かれた瞬間だった。直後の久保の表情から「ひょっとこダンス」(当人は「カズダンス」のつもりだったらしい)と呼ばれたパフォーマンスと合わせ、今もYouTubeで容易に見られるスーパーゴールだ。

 これがたとえば後半終了間際に飛び出していたら勝敗はどうなっていたかわからない。だがすぐにハーフタイムになって、落ち着いて後半を迎えたレッズは前半の楽勝ムードを引き締めて試合を進め、後半40分に永井が勝ち越しゴール。2-1でJ1開幕戦8年ぶりの勝利を収めた。何と先発11人のまま交代なしで終わるという珍しい試合でもあった。

 Jリーグ二連覇に向けた白星発進に加え、めったに見られない素晴らしいゴールも堪能して、レッズサポーターは家路に就いたはずだ。

 さて、みなさんは2007年3月3日、何をして何を感じていましたか?

※【浦和レッズ30年 あの日のわたしたち】は、レッズの過去30年の中で清尾が印象深かった年の「あの日」を毎日挙げていきます。その日に関する思い出をレッズサポーターのみなさんからいただくことで、その日をより深く歴史に刻んでいこうというプロジェクトです。ぜひ「note」のアカウントを取得の上、投稿をお寄せください。なるべく写真を付けた方がにぎやかなので、直接関係のない写真でもキャッチに使ってくれるとありがたいです。また「自分は違う年の“あの日”について言いたい」という投稿も歓迎します。清尾へのお問い合わせやご意見は、サイトの一番下にある「クリエイターへのお問い合わせ」をご利用ください。

なお整理の都合上、タイトルの前に「3月3日」の日付を入れ、ハッシュタグ「#あの日のわたしたち」を付けてください。


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