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7月27日(1994年) ギド、ウーベの加入でカシマスタジアムで初勝利

 1994年7月27日(水)、浦和レッズはカシマサッカースタジアムに乗り込んで、鹿島アントラーズとJリーグヤマザキナビスコカップの1回戦を行い、2-1で勝利した。初めてのカシマスタジアムでの勝利に、レッズサポーターは沸きに沸いた。

ホームorアウェイ1試合制の一発トーナメント

 この年のナビスコカップはJリーグ12チームと、Jリーグ準会員のセレッソ大阪と柏レイソルを加えた14チームが一発トーナメントで戦う方式。1回戦から決勝まですべて1試合制で、1回戦、2回戦の会場はどちらかのホームスタジアム。準決勝、決勝のみ中立会場というレギュレーションだった。また14チームのトーナメントということは、2チームが2回戦から出場ということになるが、前年ファイナリストのヴェルディ川崎と清水エスパルスがそこに入った。
 2回戦からだと3試合勝てば優勝という、なんだか2020年の天皇杯のような軽い大会に感じてしまうし、ホーム、アウェイの不公平感も否めないが、そう決まったのだから仕方がない。
 で、ヴェルディは2回戦をホーム等々力で勝利したのをはじめ、見事3回勝ってビッグタイトルを獲った。

 なんだか弱いチームが僻んでいるようだが、実際そうなので隠さない。
 だが今日のテーマはそれではなく、カシマスタジアムでの勝利だった。

ギド、ウーベの生プレーに驚き

 この年、レッズは1stステージ終了後に、元ドイツ代表のMFウーベ・バインと現役ドイツ代表のDFギド・ブッフバルトを獲得。この鹿島戦は彼ら2人の初陣でもあった。

 驚いた。
 レッズのバイタルエリアに入ってきた鹿島の選手がギドのスライディングで刈り取られる。本当に「刈り取る」という表現がぴったりなのだ。遠い間合いから鋭く入っていくタックルは、足でボールを外に出した後、勢いで脚の太もも部分で相手を刈り取っていくのだが、ファウルにはならない。正確さとスピード、そして勇気が必要なプレーだ。またゴール前に上がってきたボールはヘディングでしっかりはね返す。
 ワールドカップアメリカ大会で「この選手が今度レッズに来るのか」とドイツの試合を見ていたが、目の前で繰り広げられると何倍も迫力があった。この日はボランチだったはずだが、その守備範囲も広かった。

 ウーベは初見だった。すごく派手なプレーではない。ボールを受けるとこともなげに左足で前方に出す。それが前線のミヒャエル・ルンメニゲや岡野雅行、あるいはワイドの広瀬治や堀孝史に届く。そこからゴールになるかどうかは別にして、チャンスの数が格段に多くなった。
 見ているうちに、あるものが頭に浮かんできた。長良川などで有名な「鵜飼い」だ。鵜匠が何羽もの鵜を操って鮎を獲る。ウーベが鵜匠、前線の選手が鵜、ボールの軌道が鵜につけられた紐、というわけだ。正直、テレビや写真でしか見たことがないのだが、きっと鵜飼いとはこんな感じなのだろうと想像した。

 2人の存在が、チーム全体に自信と勢いを与え、レッズが攻勢を取る時間帯が増えた。
 結果は、後半ルンメニゲのゴールで先制したレッズに鹿島が追い付くが、80分に水内猛が決勝ゴールを挙げ、レッズの勝ち。その年、リーグ戦の1stステージでは前年より多い6試合の勝利があり、横浜フリューゲルスに3-0でJリーグ初勝利を挙げるなど、望外の喜びもあったのだが、それと同じかそれ以上の喜びだった。
 93年からそれまで3度このスタジアムでリーグ戦を行ってきたが、いずれも負け。その敵地で初めて試合終了の笛を気持ちよく聞いた。
 リーグ戦ではないが、トーナメントだから鹿島を初戦敗退させたという、嫌らしいうれしさもあった。

 さて、みなさんは1994年7月27日、何をして何を感じていましたか?

【あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~】は、レッズサポーターのみなさんから投稿を募っています。浦和レッズ30年の歴史をいっしょに残していきましょう。詳しくはマガジン「あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~」のトップページをご覧ください。

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