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4月3日(1996年) 試合を一変させた超一流選手の力

 1996年4月3日(水)、浦和レッズは駒場スタジアムにガンバ大阪を迎えてJリーグ第5節を行い、初めて開幕から5連勝を達成した。
 さらに、この試合で後に語り継がれる出来事があった。

福田、ギド不在でも4連勝

 ここまで開幕4連勝のレッズだったが、完封勝利は第3節の横浜マリノス戦だけで、第2節のアビスパ福岡戦は延長Vゴール勝ち、第4節のジュビロ磐田戦はPK勝ちと、接戦を制した試合が多かった。
 前年のJリーグ得点王、エースの福田正博と、守備の要ギド・ブッフバルトが開幕前のケガで欠場する中、選手たちが身体を張って勝ち取った勝利だった。

 このうちギドは、ケガが癒えて前節の磐田戦でベンチに入ったが、延長を含めた120分間出番がなかった。しかもスコアは1-1だが押され気味の展開が続いており、交代枠は残っていたにもかかわらず。
 ワールドカップに3大会出場したドイツ代表DFは、守備をリードするだけでなく攻撃の起点にもなれる選手だった。磐田戦では、この大事な場面でどうして自分を出さないんだという不満は大きかっただろう。

2試合連続のベンチスタート

 そして、このG大阪戦もギドはベンチスタートだった。
 前半のレッズは守備的な相手を攻略できず、16分に先制されてしまう。0-1で前半を終えた。つまりギドは合計165分間、ベンチを温めながら劣勢のレッズを見ていたわけで、フラストレーションは極限に達していたかもしれない。
 そのネガティブな状況を、クラブ史に残るような結果に結びつけるのだから、超一流選手というのは本当に素晴らしい。

チームを活性化させ、自らもゴール

 G大阪戦の後半、オジェック監督がギドを投入すると、開始から戦況は一変した。
 チーム全体の動きが良くなり、何度も相手ゴールを襲った。そして後半12分に福永泰がシーズン4点目を挙げて同点に追い付くと、20分にはウーベ・バインが勝ち越し弾を放った。1人の選手がチームを活性化させ、試合を逆転したのだ。
 そして圧巻のシーンが訪れる。28分、ボールを持ったギドがドリブルで持ち上がり、エリア手前でバインにパス。相手DFの裏でリターンを受けると、右足を一閃。ネットを揺らした。
 試合は土橋正樹がその3分後にシーズン初ゴールを挙げ、レッズは開幕5連勝を4-1の大差で飾った。

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大観衆が目撃した歓喜の開幕5連勝

 前半0-1で折り返した試合が終わってみれば4-1。逆転勝ちの喜びに加えて、4回のゴールシーン、そして開幕5連勝。駒場スタジアムを埋めた20,614人はいくつもの歓喜を味わった。とりわけギド・ブッフバルトの鬼気迫るプレーと、バインとの見事なワンツー、怒りを込めたようなシュートは、この日の来場者を大満足させたに違いない。

 だが、磐田戦の120分とG大阪戦の前半45分が、オジェック監督が2年間で一定の成果を挙げたにもかかわらず、3シーズン目を任されなかった遠因になるとは、このとき思いもよらなかった。

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 さて、みなさんは1996年4月3日、何をして何を感じていましたか?

※【あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~】は、レッズサポーターのみなさんから投稿を募っています。浦和レッズ30年の歴史をいっしょに残していきましょう。詳しくはマガジン「あの日のわたしたち~浦和レッズ30年~」のトップページをご覧ください。


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