見出し画像

マシュマロのお返事:デンケンのキャラたちについて

こんにちは、宇治かばねです。年末年始ドンづまっていた研究がようやく動き出し始めていて最近少し気分がいいです。高校生のころからずっと、自分の性格にあったスケジュールをいかにつくるかというゲームに取り組んでいますが、いまだに新しい気づきがあります。やりこみゲーだな…。

さて、ありがたいことに、またまたnoteで語れそうな話題をいただいたので、お答えしていこうと思います。コチラがいただいたマロです。

こんにちは、かばねさんのツイートをいつも楽しんで拝見してます。 一点創作の件で気になったのでお聞きしたいことがあります。 かばねさんは、デンケンのキャラクターを創作する上で、どのようにキャラクターを設定しましたか。 私は、小説を書いてるのですがそれが私小説になってしまい、自分とキャラクターの距離感が近すぎて同一視してしまい、拡がりがないです。ですので、お聞きしました。もし良ければ、お話をお聞きしたいです。既出でしたらすみません。

話題提供ありがとうございます!!質問に答えるという名目で堂々とお気に入りのキャラたちの話ができるのは嬉しいね~~!!デンケンのキャラクター設定については前にもツイッターで話した気がするのですが、せっかくなのでnoteにまとめておこうと思います。

デンケンの学生キャラたちは基本的に、デンケンで扱いたい哲学者を決めたうえで「この哲学者を研究対象にしていそうなひと=研究対象と対話できそうな人」というのを軸に設定を決めています。もともと、デンケンを描き始めたのは「哲学者キャラ同士で会話させると、思想のクセが強すぎてニュートラルなツッコミができない……もっと素朴なツッコミをいれたい……」というのがきっかけだったので、研究対象にツッコミを入れたり、逆に研究対象から批判されたりするような人を学生側に配置しています。

たとえば、佐藤君はニーチェが批判している悲観的で同情的で生に喜びを見出していない人ですし、守屋君はレヴィナスが批判する「同」の暴力を善意でやってしまう人です。天野の場合は、私が打ち出したいキルケゴールの解釈とは似て非なる、実存主義よりのキルケゴール像を好みそうな人として設定しています。そうすることで、天野の成長と共に「キルケゴールはボッチ思想家じゃねえから!!!!」という私の解釈を打ち出せるぜ!と考えていました。

二宮先輩とショーコは上の三人とは作り方が違って、ストーリーの中での役割から逆算してキャラを決めています。二宮先輩は「デンケンメンバーをまとめるリーダー的な存在」かつ「学生の立場から補足解説ができる人」というのがストーリー上必要だったので、さまざまな思想に精通していて親しみやすく面倒見のいい先輩としてデザインしました。なので、当初は固定の研究対象を設定していなかったのですが、カントネタが作りやすいので流れでカントとバディを組むことになってしまいました。キャラ設定的にも、カント的な(あるいは近代的な)「理性」には興味ありそうでしたし、カントのミソジニーなところにキレつつも肯定的に読み取ってくれそうなポテンシャルがあったので、結果オーライかなと思います。

ショーコは、女性キャラをもっと増やしたらいいのではというアドバイスをもらい、天野のライバル的存在を作ろうというところから設定を考えました。キルケゴールの哲学史上のライバルといえばヘーゲルなので、ヘーゲルを研究対象に据え、かつ「哲学研究は研究対象と自分の思想の違いを認識しながら、問い深めていくもの」というデンケンのテーマを深堀するために、研究対象にベタぼれな性格にしました。ショーコのおかげで、哲学研究のエモと楽しさを描きやすくなったな~と感じています。

また、テツケン執筆にあたっては、「哲学研究とはどのようなものか」をより明らかにするために、天野のキャラ設定を若干調整しています。哲学研究に否定的な印象を持っていそうな人の考えを代弁できるように、単なる一匹狼ではなく、主体的に考えることにこだわりを持っている人として描いています。


とかとか、いろいろ背景はあるものの、細かい設定は話を描いたり日々妄想したりしながら決めていました。「このキャラの思想の軸はコレ!」とか「ストーリー上の役割はコレ!」と軸だけ決めておいて、そこから「この問題についてこのキャラはどう考えるだろう?」とか思考実験しながら解像度上げていく感じですね。その辺は、「この問題についてこの哲学者はどういう風に答えるかな~」と考える時と大体同じ要領です。その過程で、最初に書いていたキャラ紹介からズレたところもあるのですが(※プロローグ本巻末キャラ紹介三章)、それはほら……キャラシによくあることだから……。

あと、びかてつは哲学思想の漫画、デンケンは哲学研究の漫画とざっくりすみわけしていましたが、「哲学研究のエモはどこにあるか」が私の中で見えてきて明確にストーリーに反映されるようになったのはシーズン2(ショーコ登場)以降なので、ストーリー上の役割なども描きながら若干変わっています。とくに、テツケンでは佐藤君の立ち位置を見直して、ショーコと佐藤君が天野にとっての北風と太陽的な存在になるように、エピソードなどを調整しました。デンケンしか読んでない人はテツケンも見てみてね!(宣伝)


マロ主さんの言っているような「自分と同じになっちゃう」問題の対策(?)としては、「自分は好きじゃないけどこういう考え方・性格の人いるよね~」という自分の苦手な要素を混ぜているというのがありますね。正直に言えば、私自身としては守屋君のような過保護で過干渉な感じとか、ショーコのずけずけくる感じとかはわりと苦手なんですけど、それでも「こういうことを考えて行動しているんだろうな」とか背景を考えてキャラごとの思考回路を詰めていくことで、多様性を出せないかな~~~……とかぼんやり考えています。

私は哲学沼に入る前から、いろんな信念を持つキャラクターたちが一つの問題についてあーだこーだと意見を交わしているのが話が好きなオタクだったのもあって、大体上に書いたような感じでキャラづくりをしています。やっぱり、キャラごとに考え方とか何に重きを置くかとかが違うと、同じ出来ことでも見え方が変わるから面白いよね。その点、メギド72とマギは最高だぜ。読んでくれ。


というわけで、マシュマロありがとうございました!!キャラ解釈深堀大好きオタクとしては、デンケンの裏話ができてとってもHAPPY!!哲学の話だけでなく、作品に関する話題提供もお待ちしておりますので、お気軽にマロをご利用くださいね。


面白いと思ったらスキやサポートしてくださるととっても嬉しいです!!