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レヴィナスがむずすぎる!入門にオススメの本って何~?【マシュマロのお返事】

あけましておめでとうございます!
年末年始は家の掃除とかで忙しくしていたのであんまり更新できませんでした。年も明けたのでゆるゆるとnoteの更新を再開していきたいところです。

というわけで、今回もマロでいただいた質問に答えていきます!今回はこちら!!

かばねさんこんばんは!
テツケンにてレヴィナスが気になり、検索してみたところ中でも“身代わり”というワードに興味をもち、「存在の彼方へ」を図書館で借りて読んでいるのですが、レヴィナス、あまりにも難しくないですか!?

レヴィナスや実存主義関連でおすすめの本や順番などありましたら教えて頂きたいです…。
https://marshmallow-qa.com/messages/9b752de6-13bb-4660-91ee-21bc2be7406f

わかる……、レヴィナスって難しいですよね……!!
私も「久々にレヴィナス読むか~!」と思って読み始めると、用語の使い方がむつかしすぎて「呪文か~~~!?!!」と発狂しそうになります。マジで暗号なんだよな…レヴィナス……。

私はレヴィナス好きなのですがにわかファンなので、「コレがオススメ!」と自信もってお出しできるようなものは正直あんまりありません…。
が、今まで読んできたりオススメされたりした中で「これはよかったな~」と思う本はいくつかあるので、参考までに列挙していこうかなと思います!

比較的読みやすいレヴィナスの本『倫理と無限』

レヴィナスへのインタビュー本です。もともとはラジオの対談企画で、インタビューに答えながらレヴィナス自身が自分の哲学や思想のルーツについて語ってくれています。今でいうところの新R25のインタビュー記事みたいな位置づけですね。私がレヴィナスに興味を持ち始めた頃、レヴィナス研究者の先生に「読みやすいよ」とオススメしてもらった本でもあります。

中身はパラっとしか読めていないのですが、インタビュアーが話の流れを整理してくれているので、レヴィナスの著作よりかは「今何の話をしているのか」が分かりやすくてとっつきやすい印象です。
レヴィナスはいろんなことを念頭に置きながら論を進めるし、しかも念頭に置いているものについて言及してくれないことがしばしばある(私はこれを不穏な空中リプライと呼んでいます)ので、「今何の話してるの…!?」となることがままあるんですよね。あとから「あっ、これハイデガーの悪口か……」と知って、ようやく意味が分かるとかがあるあるで。インタビューの場合はそういう話題迷子状態になりにくいのがイイなと思います。

あと、レヴィナスは思想が生まれた背景を知ると「彼が何を語ろうとしているか」が分かりやすくなるタイプの思想家なので、インタビューの中でそういう思想のルーツにも触れてくれているのが初学者にはありがたいなと思います。

なにより!文庫で出ていて手に取りやすい!!定価でも1000円!!「とりあえず一冊……」にはちょうどいい本だと思います。


他は『実存から実存者へ』が比較的読みやすかったような……と思って久々に開いてみたけど、そんなことありませんでした。読みやすいと感じたのはボリュームが少なかったからでした。短めのレヴィナスから徐々に慣らしていくのがいいのかも?

【Tips】論文や解説を先に読むという作戦もアリ

私は古典のわけわかんなさに触れるのがエンタメと思っていますが、レヴィナスに関しては論文や解説で「この人だいたいこういうことが言いたいのか…」と掴んでから本文に取り掛かった方が読み深めやすい気がしています。
というのも、レヴィナスは表現が文学チックで複雑だし、現象学界隈の難解な言葉遣いを前提として論を組み立てているので、どこがサビなのかが初見だとわっかりにくいんですよね…。
ざっとでいいので、巻末巻頭の解説やレヴィナスの生涯をざっと攫っておくと、意味がつかみやすい気がします。この段階はざっとでいいです。ざっとで。なぜなら疲れてしまうから。

実存主義入門で良かった本①『実存主義とは何か』サルトル

ド定番!!
短いし講演だから読みやすいし、「(サルトル流の)実存主義」って何かがざっくりわかるので、一旦目を通しておくと吉!

いわゆる「実存主義」というカテゴリーでくくられているいろんな思想家は、大体「俺は実存主義じゃねえ」と言っていますし、レヴィナスも「実存主義と一緒にするな!!!!!」と言いそうですが、それはそれとして基準の知っておくのは理解に役に立ちます。

もとになった講演が行われたのは実存主義が下火になっていた頃(だったはず)なので、世間から寄せられる実存主義への批判も面白く見どころです。意外と「あ~私もそういうイメージあるな~」と共感を呼ぶような批判も寄せられているので、それに対するサルトルの答えをなかなか面白く読めると思います。

実存主義入門で良かった本②『実存主義案内』ムーニエ

実存主義ってこういう思想だよというのが解説されている本。実存主義の源流をパスカルまで遡りながら思想的系譜を紐解いたり、実存主義のメインテーマを解説しているので、実存思想の見取り図としてなかなか良かったです。(ちょっとしか読んでないですけど)

読んでて面白かったのは「Ⅱ 人間実存の劇的概念」という章。実存主義が扱いがちなテーマーー理性の無力とか、死の緊迫性とか、孤独とか—に対して、それぞれの思想家がどのようなことを言っていたかがざっくりまとまっていてよかったです。思想家ごとにどのテーマに強いのかがわかるので、「自分が気になること言ってそうなのはこの人かな~」とあたりをつけるのに使えそうでした。

本は出回っていないんですが、国会図書館のデジタルコレクションで読めそうなので、個人送信サービスに登録して閲覧してみるとよさそうです。


学び始めの頃に読んでよかったのはこの辺でしょうか。参考になれば幸いです。
レヴィナスは難解ですが、難解なことを割り切ってがんばってページをめくっていると「え!?なんかめっちゃエモいこといいだした……!?!」となる瞬間が来るので、そこまではあんまり深く考えずにふわ~~とめくっていくのがオススメです。歌詞の意味はよくわからないけどメロディーラインがエモい曲だと思って接すると、エモパートを起点に暗号解読のモチベが湧いてきます。
レヴィナスはもともと小説家を目指していた時期があったので、随所にエモ表現が出てくるんですよね〜。その「え!?エモ……」感を見つける冒険を楽しんでもらいたいです。

私もレヴィナス読みたくなってきたな……、いろいろ一段落したら読もう……。読書会したい……!


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そんなこんなでマシュマロはいつでも募集しています。大したアドバイスはできませんが、話題提供していただけるとnoteを書くのが楽しいので、哲学に関して喋ってほしいことがあればお気軽にどうぞ!
あらためて、今年も宇治かばねをよろしくお願いします!


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