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#8「人生を変えた人」(キャリコンサロン編集部)

 梅雨入りした横浜からお届けします。今日も雨です。今週のお題は「人生を変えた人」うーーーん。。悩む。。日曜日からの皆さんの投稿を読むと、「みんなかっこいいなあ。なんか小説を読んでいるみたいだ。えーどうしよう。。」金曜担当なのにもう土曜日になっちゃった。正直、そんなに大きく影響を与えられた人って、恥ずかしながら出会っていないかも。表向きは、「夫」とか言うんだろうな。でもそう答えている私は、たぶん真顔で棒読みだと思う(笑)確かに、あの時元カレを選んでいたら・・おっと、いかん、いかん。。だから、今回はちょっと遠慮気味に「私の人生に影響を与えた人」について書いてみようと思います。

現代文の時間に。

 それはもう40年くらい前のはなし。高校2年生の秋。文化祭の準備で忙しいのに加え、担任から進路決定をせかされてなんだか気持ちが落ち着かない。授業もぼんやり、上の空・・そんなとき、私の耳を通過した言葉がなんとも耳にこびりついて離れない。

「精神的に向上心のない者は馬鹿だ。」

 そうです、夏目漱石の『こころ』のKがはなった一言です。ご存知の方も多いかと思いますが、17歳の純粋な少女にはこの言葉が何を意味しているのか、さっぱり分かりませんでした。「精神的向上心て何?」表面上は、Kは信仰心の厚い人なので、信仰を妨げる恋に落ちてしまった自分が許せない!何やってるんだ?自分!!という考えの結果出た一言なのですが、この解説がどうにもこうにも腑に落ちない。そして、しまいにKは「私」にわかるようにほんの少しだけ襖を開けて自害するのです!なんということでしょう!このとき、国語の先生はおそらく、指導書どうりに表面的な解釈で、試験で点数が取れるような授業展開をなさったのだと思います。今、同業者として、そうせざるを得ない状況もよくわかる。
でもね、17歳女子は納得いかなかった。ほんとに?ほんとにKは信仰に背いたから死んだの?恋は信仰の邪魔になるの?じゃあ、なんでわざわざ少しだけ襖を開けて死んだの?それまでぼんやり授業を受けていた私が急に矢継ぎ早に質問するもんだから先生はビックリ!!面倒くさい生徒ですよね💦

国文科へ行け

 そのときの先生の一言。「国文科へ行け。そうしたらお前のようなやつらがいっぱいいるぞ。楽しいぞ、きっと。」

 そうなのか、、国文科って楽しいのか。それまでぼんやりとやりたいことも見出せず、何しよっかな〜と思っていた私にひとつの光が見えた瞬間でした。
そして、国文科に進み、当然ながら夏目漱石研究ゼミに入り、漱石大先生の魅力にどっぷりはまり、今、国語科教員です。解釈にはいろいろあっていい、自分なりの解釈で読んだら違ったものが見えてくるかもしれない。ということを伝えていきたいと思っています。しかし。。ここ10年くらい担当はもっぱら古典ばかりで、もはや、自分の専門は『源氏物語』なんじゃないか?と勘違いしてしまいそうで、不完全燃焼です😅

「K」

今思えば、あのときの先生の一言がわたしの進路を決定づけたのは間違いない。でも、それ以上に私の人生に影響を与えた人はきっと「K」なんだと思っています。


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