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新しい章がはじまった

今日はなんだかぽっかりとした日です。天気もなく、確たる予定もなく、のんびりとしています。いま、間食に食べようとスープ春雨を作っているところです。お椀に春雨一玉と、鶏ガラスープとわかめとごま油を入れたところに、お湯を注いで3分待っています。簡単に作れる低カロリーな間食があると、重宝しますね。

新しい習慣をつくってから、どこか気が張っていたことに気づきました。こうして新しい自分を、新しい人生を育てていくのだと、躍起になっていたのかもしれません。新年度ということで、やる気スイッチが入っていたのかもしれません。

スープ春雨ができました。ラー油を足して、いただきながら記事の執筆を再開しています。今日はなんだかラジオが体の調子に合わず、シューマンの《ミルテの花》をパソコンから流しながら書いています。《ミルテの花》は、シューマンが妻クララと結婚した1840年に作られた歌曲集。幸せに満ち溢れています。

いつかこの録音のように、男性歌手の方とご一緒に歌い継いでいけたらいいなと思います。

私は長くイタリアオペラ・歌曲を勉強してきたのですが、三十代の半ばからワーグナーを歌うようになり、気がつくと今はドイツ歌曲の演奏機会の方が増えています。これからは特にシューベルト、シューマン、ブラームスの歌曲のレパートリーを増やしていきたいと望んでいます。また、ヒンデミットやツェムリンスキー、コルンゴルトなども機会があったら演奏していきたいです。

これまで、自分のマテリアルにはオペラが合っていると言われる機会が多く、立派なオペラ歌手にならなくてはいけないと自分を奮い立たせてきました。けれど、自分の心が望む方向は非常に内省的であり、ピアノとのアンサンブルで作り上げていく歌曲の世界にとても親和性を感じることが、この数年でわかってきました。

幸いにもこの半年ほどで、芸術性の方向が非常に近いピアニストの方々とのご縁が深まり、継続的に音楽をご一緒に深めていけそうで、大きな喜びをしみじみと感じております。芸術面でも静かに穏やかに、大きな転機を迎えているのかもしれません。

これまで、世間に認められなくてはとか、自分ではない誰かのために歌ってきたのかもしれません。けれどもう、自分の心から深く湧き上がる望みを大事に、芸術を深めていきたいと願います。そうして作り上げていった音楽を、ご縁のある皆様方と分かち合っていくことができれば、それだけで幸せです。

こうして歌曲の世界と向き合ってみると、子供の頃から続けてきた茶道との親和性もあらためて感じます。精神性を深め、内なる世界との対話を続けていく茶道と、華やかなオペラの世界の乖離に長年苦しんでいましたが、ようやく何かの答えを見つけられたような気がしています。

スープ春雨も美味しくいただきました。《ミルテの花》も終わり、いまはシューベルトのアルペジョーネソナタを聞きながら書いています。

四十数年かかって、芸術面でようやく新しい章を始められたような気がします。これまでの経験に感謝ですね。これからは穏やかに日々を積み重ねていきたいと願います。


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