見出し画像

服選びを語る前に

メソッドかアプローチか

服選びに関する雑誌や記事で「これさえ持っていればOK」「至高の一着」のような、万能な雰囲気を醸し出すキャッチフレーズに出会うことがよくあります。ですが、それはあくまでもコーディネートで使いまわしがきいたり、ある種のイキりが得られるにすぎず、個人の生活背景に寄り添っているのかという観点はありません。

こういったメソッドを売りにするアイテムを取り入れること自体を否定はしませんが、それにばかり注力するとクローゼットの服に偏りが出てきます。残念ながら、人間はいついかなる時も服を着ています。

特定のシチュエーションだけの服を買い続けることは服選びが自分にしか向いていないということです。ファッションとは本来そういうものですが、その服選びではほぼ間違いなくパートナーからの理解は得られないでしょう(服狂いのパートナーをのぞく)

ライフスタイルをキュレーションする

このフレーズは、ARC'TERYX VEILANCEのディレクターであるカスガ・タカノリさんがインタビューの際に発した言葉です。

インタビューで語られていた文脈とは異なりますが、服選びを考える際に、自分が1週間の中でどのシチュエーションの服装がどのくらいあるかを把握することが、私の考える服選びのアプローチとなります(我ながらほんと退屈な考え方だなと思っていはますが…)
私自身の例(一般的な会社勤め)ですと、大まかな服装の分類は以下になると考えます。

①スーツ・ジャケパン
②オフィスカジュアル
③オフ(アクティブシーン)
④オフ(1人、または家族以外の人に会う)

まず、①スーツ・ジャケパンについてですが、こちらについては既にツイッターで呟いているノウハウがそれなりにあるので、それらのまとめという感じの記事を後ほど書きます。無難にまとめるなら1番システマチックに取り組めるカテゴリです。

4つのシチュエーションの中で、多くの男性にとって一番難易度が高いと感じるのは②オフィスカジュアルでしょう。男性と女性では服選びに対して根本的な考え方が異なることが、このカテゴリの難しさを物語っています。また、ここは男性が1番モチベーションを保てないファッションだと感じています。実際問題、会社には違和感のあるオフィスカジュアルおっさんであふれています。

しかしながら、リモートワークなど労働環境の変化によってこのシチュエーションのウェイトは増え続け、環境の複雑さに比例して服選びの難易度も上がり続けると予想します。

③オフ(アクティブシーン)とありますが、そんなに大層なものではなく、身近なところでは「子どもと公園に行く」なども含まれます。長らくアウトドアブランドを取り入れるファッションが流行していますが、そういった服はこのシチュエーションと一番相性が良いです。

個人的にも20年以上継続してお金を落としているのはアウトドアブランドであり、この服たちをどうやって他のシチュエーションにも取り込んでいくか
、私自身はかなり意識して服を選んでいます。

世の男性が服選びをする際、大金を払って服を買いたいと思うシチュエーションは、独身の頃からの意識変化が乏しい点も加味して④オフ(1人、または家族以外の人に会う)にフォーカスしがちですが、一週間を振り返ると、物理的にこの時間はほぼないことと、くどいですがここに重課金することは家族からの理解が得られないため、個人的には推奨しません。

もっと言うならば、独身の頃にこのカテゴリで散々金を落としたのであれば、結婚後は少ない予算でも知識と経験でカバーできる領域なはずです。

それと、今この記事を読んでいるあなたがもしも「ド美人からモテる服装」を知りたくてこの記事をお読みであれば、ここから先そのニーズに応えられるノウハウは一切出てきませんので、どうかお引き取りください。

全体を通して

なるべく少ない服、金額で想定するシチュエーションを全てカバーするクローゼットになることを目指します。ですが、ミニマリズムの服選びにあるような、制服化を目指す方向性とは異なります。分かりやすい例で言えば「そのアイテムはシチュエーションを跨いで使いまわせるのか」よりも「そのアイテムは他のシチュエーションでは使いまわさない(だからなるべく早く安く済ませる)」という観点です。この観点の行き着く先は「ユニクロとどうやって付き合うか」となります。

ユニクロは万能なのか

ユニクロが90年代末にフリースブームを起こして以降、2010年頃までは、エアリズムをはじめ「特定の機能性商品」の拡販によってその影響力を強めてきました。しかし、ここ5年で明らかにファッションとしての作り込みが良いアイテムが増えてきました。

私感ですが、5年前なら買おうとは思わなかった、アウターやパンツといったコーディネートを左右する「面積の大きいアイテム」のクオリティが格段に上がっています。そういう意味ではユニクロで調達できるアイテムの幅は広がり、世の中には、いわゆる「ユニクロ万能論」を提唱する方も増えてきたと感じます。

実際、私自身も人生で1番服(枚数ベース)を買ったブランドはユニクロですが、それでもクローゼットに残そうと思うアイテムは少ないのが現状であり、万能論には懐疑的なスタンスです。既にツイッターでほとんど呟いていますが、後の記事で具体的に自分がユニクロで買っているものを紹介します。そして現在のユニクロの限界にも触れたいと思います。

では、使いまわしているアイテムは?

先に言いますと、私が長く服を買ってきて、複数のシチュエーションを跨がせるアイテムとして据え置いてきたのは

①アウトドアブランドのアウター類
②革靴

です。なんだか雑誌のBeginみたいですね…。(ファッション偏差値低そう)理由はシンプルで高価だからなのですが、その他の理由として流行の影響が弱いために長く主力に据え置ける点と、自身の経験上愛着が湧きやすいアイテムで長持ちすることが挙げられます。だからこそなるべく多くのシチュエーションで使いまわしたくなります。

ただし、①に関しては20年以上買い続け、それこそ会社に出勤する際も着ていますが、世の中で勧められているアイテムはあまり買っていません。代表的なのものとしてPatagoniaのレトロXやARC'TERYXのzeta SL Jacketなどがありますが、私は現在これらのモデルを所有していません。

どちらのブランドも不動の地位を築いており、私自身もこれらのブランドから多くの服を選んでいますが、何故そのアイテムを選ぶか(選ばないか)については、私なりのアプローチをお伝えできるのではないかと思います。

結局は

既婚男性が家族を味方にをつけながらファッションを楽しみ続けるには、自分だけの時間「以外」の服装に意識と資金を振り分けざるをえません。そこをどうやって楽しむかが、加齢とともにまた自由時間が増えたときまでファッションを楽しみ続けられるかの分かれ道だと、私は考えます。

サポートは全てを癒します🥺