さよなら精子ちゃん①

「Mさん頑張って調べましたが精子は一匹もいませんでした。」

子供を望む男にとってこれよりダメージを与える言葉はないだろう。私は、無精子症と診断された。頭が真っ白になったとか、雷に打たれたような衝撃だったとか、衝撃的な一言をもらった後の表現ば色々あるだろうが、私の場合は北斗の拳のケンシロウが相手にトドメをさした時に言う
「お前はもう死んでいる」のセリフを喰らったような感じだった。
当然その後死ぬこともなく、私は口をパクパクして呆然としていた。

この話を書こうと思ったのは、無精子症と診断され、手術を受けることになったのだが、回りに相談する人がいないことや、ネット上で検索してみても病院から発信している情報がほとんどで、体験した人たちの情報が少なく、同じ体験をしている人たちの役に立ちたいと思ったからだ。
その手術をどう乗り越えて、どんな気持ちだったかなどをできるだけ書いて行きたいと思う。もともと100人に1人程度の珍しい病気なので(病気と表現しない方がいいかもしれないが)多くの人に役に立つ情報ではないかもしれないが、男性不妊で同じ悩みを抱えてる人に少しでも役にたって欲しいと思う。

【自己紹介】
私(M)33才会社員、妻29才会社員、結婚3年目

【検査〜無精子症の発覚まで】
結婚3年目の私たち夫婦は、昨年少し遅れたが新婚旅行を済ませ、いよいよ次は子作りだと少々意気込んでいました。妻には不妊治療を診てくれる近くの産婦人科のある病院に通ってもらっていて、タイミング治療を受けていた。半年ほど経過したが成果がでなかったので、不妊治療専門のクリニッックに行くことにした。初めの訪問は妻と一緒にいく約束していたので、会社から休みをもらって病院へむかった。受付を済ませ、ほどなくして診察室へ呼ばれた。先生は中国の方で日本語は若干カタコトだがとても感じのいい人で安心した。今までの経緯を簡単に説明したが、先生からは一番初めに「旦那さんは検査した?不妊治療は夫婦両方でやるのが当たり前ですよ」と言われた。付き添いのつもりで来たつもりが、半ば強引に私の検査が決まった。
『こんなつもりでは無かったんだけどな』と思いながら、個室部屋へ案内された。精液の回収へ、どんどん進む状況の変化に心の準備はできていなかったが、『ま〜大丈夫だろ』位の軽い気持ち、私も少しは不妊治療に協力しなきゃ位の気持ちでいた。行為を終え、待合室で待っていると、私だけ診察室に呼ばれ、先生から結果を聞かされた。これが冒頭の
「Mさん頑張って調べましたが精子は一匹もいませんでした。」という一言なんだが、頭では理解しているが全然分からなくて、かなりあの時は焦っていたと思う。『精子、どこ』とかよく分からないメモもとっていた。
「えっこれ治りますよね?薬とかありますか?」と聞いたが先生は、
「Mさんの精液は精子が一匹もいないので恐らく手術をしてみないと見つけるのは難しいと思う」こちらの予想を一個上をいく返答が返ってきた。
手術を受ける受けないの前に自分の体に不備があったことが悲しくて、先生の言っていることを素直には聞けず、次の検査の内容と、私の体では普通には子供ができないことを説明された。診察室をでて妻に説明をしなくてはいけないのだが、結構パニクっていたので、妻に口をパクパクさせ一生懸命説明をしたのだが、妻には先生の説明の内容より、私の焦りと不安だけ伝わってしまったようで先生にもう一度話を聞くことになった。
本当に良い先生だったが、あの時は、『あっまた来た』みたいな顔をしていた。先生は次は血液検査をしてその結果をみること(ホルモンのバランスなどが分かるらしい)、もう一度精液検査をしてみる必要があると説明してくれた。先生は最後まで「大丈夫」の一言を言ってくれなかったが、診察を終えて呆然としている私に妻が「全然大丈夫」と言ってくれて不安な気持ちが救われた。ここから2人の子供が持てるように必死に戦っていきたいと思った。

続きはあと2〜3回に分けて書きたいと思います。初めてこんな文章を書いたので、読みにくい文章ですが、読んで頂いた方本当にありがとうございます。




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