春の夜

それはそれは楽しい夜だった。

僕はこの言葉が好きだ。好きだからこそ大事に使いたいのだけど、いい夜を過ごすと頭の中にいつも浮かんできてしまう。

今日は長すぎでおなじみ、大学の春休みの最終日。前日に友達に誘われ、元々入っていた予定をうやむやにして同回同学部同学科の4人で鳥貴族に集合。1人は5分前に、僕は定刻過ぎに、1人は道に迷って、1人はTinder女と事を済ませてから1時間半遅れで到着。

言ってしまえばただ楽しくご飯を食べてお酒を飲んだだけ。何気ない夜だと思う。それでもええやん。
未だに僕は正しい居酒屋の過ごし方がわからないので、お腹がいっぱいになるまで食べて、いっぱいのお金を払った。それでもええやん。

元々お酒は強くないし、いつものようにビールやチューハイを数杯くらいしか飲んでいなかったけれど、初めて酒を飲んでトイレで吐いた。
自分で酔いを管理できない幼稚さと、居酒屋で吐くなんて、と少し大人になった気持ちを袖の汚れと一緒に洗い流した。

春は出会いと別れの季節って言うやん。なーんもなかったなあ。出会いたい人には出会えず、別れるべき人とは別れられず。現状維持。そりゃそう、春休みに何も頑張らなかった。ずっと「頑張らなきゃいけない」だけを頭に置いて、人の悪口ばっかり言ってた。

この春で大学3回生になる僕らは就活だなんだと不安に話す。それが僕はつまらないので、あてもない「大丈夫」を連呼する。そして1人になって誰が言うてんねんと情けなくなる。
大人になれば治ると言われていた僕の自律神経は相変わらず言うことを聞かないし、嫌なことを目の前にすれば死んだように眠り続けてしまう。そんなやつの「大丈夫」、何の効力も持たないでしょう。
でもあーたたちが不安な顔してるの見てられへんのよなあ。

自分で道に迷って遅刻してきて、勝手にイライラして場の空気を悪くするような1人が悪酔いしていたので、帰りにお茶を買って渡した。すると別れてから数時間後にLINEで「お茶ありがとうな」って送ってきた。なんやこいつ。

明日からまた大学生活が始まる。僕は大学が嫌いだ。人多いし、怖いし、むずいし、早起きできへんし。一生オンラインでいいのに。
それでも今日みたいな日を思い出して、また頑張ろう、なんてことはきっと思えない。

けれど、今日みたいな日のお陰でまた眠って、起きて、生活していくのかなあと思う。


今年も桜は綺麗だったなあ。

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