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銀河鉄道の夜2020終幕感想やメモなど。

海沼さんブログファルコンさんブログに触発されて久々にnote更新♩

前の記事はミスiD2020関連。
ということは実に1年ぶり…筆不精でごめんなさい(汗)

ということで銀河鉄道の夜2020、無事終幕しました。

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このような状況の中、一時は上演すら危ぶまれましたが
たくさんの方のお力添えがあり、今回の舞台が実現できたこと、
心から感謝しています。

稽古も制約がある中で大変な部分がたくさんありましたが、
この時期にこの作品を上演できたことは本当に有意義なことだし、
自分がこの作品に参加できたことを誇りに思います。

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本当に素晴らしいカンパニーだったと思います。
演出の白井さんは毎日幕が開く直前まで出演者にノートされていて
役者さんもミュージシャンもスタッフさんも幕が開いてからも
作品を少しでも良くするためにみなさん改善を重ねていて
日々どんどん作品が良くなっていく、本当に素晴らしい現場でした。

そして久しぶりのお芝居のお仕事、とっても楽しかったなぁ...
役者さんの動きに反応しながら演奏して、役者さんも自分の音に
反応してお芝居してくださるのはとても楽しいし、
自分もそのお話の世界の登場人物になった気分で演奏できるのは
普段のライブにはない独特の感覚で大好きです。

いつかまた再演とかあったらいいなぁ。
(そしてあわゆくばまた呼んでもらえたらいいなぁ。笑)

ではここからは、いつかあるかもしれない再演のための (笑)
バイオリン奏者から見た銀河鉄道の夜2020、自分用メモや想いなど。
長くなりますが、興味のある奇特な方は続きへどうぞ!

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・バンド編成&メンバー紹介

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今回のバンドはこんな素敵なメンバーでした!
新澤健一郎(キーボード/バンドマスター)
柴田奈穂(ヴァイオリン)
小夜子(ヴァイオリン)
ファルコン(ギター)
木村将之(ベース)
海沼正利(パーカッション)

ファルコンさん、木村さん以外は初めましてのメンバー。
お二人含め皆さま各フィールドで大活躍されてる
先輩ミュージシャンばかりで、バンド最年少でチキンな私は
7月のリハーサル前夜は2時間置きに目がさめるという緊張っぷり(笑)

でもお会いしてみたら皆さまとても優しくて、
色々アドバイスいただいたり、たくさん勉強させていただきました!
本当にありがとうございます♩
またどこかで皆さまとご一緒できたらいいなぁ...♡

・演奏した楽器と内容

今回は3つの楽器を持ちかえで演奏させていただきました!
出番が多かった順に

・5弦エレキバイオリン 
・5弦エレアコバイオリン
・アンデス

動画見ながら持ち替えの回数を数えてみたら...なんと14回(!!!)
バイオリン奏者って通常非常に持ち替えが少ないのでもしかしたら
人生最多記録になるんじゃないかとすら思う回数です(笑)

バンド内での私の役割は
・心理/情景描写、効果音
(Opening、ジョバンニの家、らっこの上着、プリオシン海岸、鳥捕り、ジョバンニの切符、石炭袋後半、手足の前など芝居中)
・メロディ、ハモり
(活版所、銀河ステーション、鳥捕り、タイタニック沈没、さそり座のテーマ)
・バッキング(イーハトーヴ前半、星まつりの歌、石炭袋前半)
・歌中やメロディの裏でのフレーズ
(ジョバンニのミルク、そらや愛やりんごや風邪、手足)
・弦楽三重奏の中の内声(天照らす、讃美歌、ハレルヤ)

主にエレキ中心に色々やらせていただきました!

・5弦エレキ

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「どこの国か、いつの時代かわからないような音楽」
「なんの楽器が鳴っているかわからないような音」

という中西さんのコンセプトもあり、大半の楽曲をエフェクトを多用した
エレキバイオリンで演奏しました。
使っていたエフェクターについては後ほど。

・5弦エレアコ

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普段もメインで弾いているお気に入りの子。
ピエゾのピックアップもついていますが、今回は
エフェクト系はエレキバイオリンがあってこちらはクラシカルだったり
民族音楽的な曲で使うため、マイク(DPA4099)で拾っていました。

讃美歌で下のF#、E、Dあたりまでガンガン出てきたりして
5弦が大活躍でした。※4弦バイオリンはGまで
5弦最強説。もっと5弦バイオリンが普及したらいいのになぁ。
(余談だけどこの前Wikipediaでバイオリン検索したら「4弦の楽器」って書いてあったので5弦とか6弦の話追記しといた笑)

今回はジョバンニのミルクの後半、星祭りの歌、天照らす、
鳥捕り(鳥を取り出す時の効果音も)、賛美歌、ハレルヤ
で使っていました。

そして実は一番苦労したかもしれない…

・アンデス

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7月の音楽リハーサルの際に中西さんから「やってみる?」と手渡されて
生まれて初めて演奏することになったアンデス。

よく中西さんのライブでは見かけていたので興味津々で
嬉々として引き受けた鍵盤ハーモニカのように見えるこの子、
その容姿とは裏腹にかなり曲者でした...

具体的にどう難しいかというと
・音域によって必要な息の量が違う
・鍵盤楽器なのに息の吹き込み量によって、音程が半音くらい変わる(!!!)
・その上チューニングが悪くて個別の音が高かったり低かったりする(汗)
(この個体の個性かもしれないけど)

ここからは今回に限った話だけど
・登場するシーンが全て静かなシーンで、めちゃくちゃ目立つ(笑)
・そもそも私が鍵盤楽器弾かない上、薄暗いピットの中で鍵盤が見えづらい

という感じで、結構最後まで苦戦しました(苦笑)
元々は教育用に開発されたらしいのですが、
難しすぎて全く普及しなかった、というのも納得です(笑)

でも、音色は確かに魅力的なのよね...

ジョバンニの家、Opening~そらや愛やりんごや風、さそり座テーマ
で演奏していました!

※ 余談ですがWikipediaで楽器の由来を調べて見たら中西さんのお名前が出てきて、なんと栗コーダーカルテットの栗原正己さんは1995年の「銀河鉄道の夜」で中西俊博の演奏を聞いて栗コーダーカルテットに取り込んだそうな...
すごい。


さて、足元に移ります。
今回足元はこんな感じでした。

・エフェクターボードの中身

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向かって右から、
Boss / GE-7
Limetone Audio / irodori
MOOER / Tender Octaver Pro
ZOOM / A1 FOUR
EARTHQUAKER DEVICES
/ Avalanche Run
Limetone Audio / LTV-500L-ilm

irodori以外は全て今回のために新調したりお借りしたもの。
今までもエフェクターは使っていましたがVox / StompLab IIGとirodori、
たまにルーパーを入れるくらい。
足元が一気に賑やかになりました♩

・ZOOM / A1 FOUR

今回のサウンドの基本になっていたエフェクター。
・基本の音色作り(EQ、ディレイ、リバーブ)
・曲のテンポに合わせたDelay(活版所、ジョバンニのミルク、石炭袋)
・2人しかいないバイオリンでオーケストラのような厚みのあるサウンドを出すためのアンサンブル(活版所、銀河ステーション、手足)
などなど多岐にわたって活躍。

・EARTHQUAKER DEVICES / Avalanche Run

ZOOM / A1 FOURで作った音色に、景色や情景描写でより深い
空間系エフェクトをかけたいときに使っていました。
リハではTC Electronic / Nova Systemを使っていたのですが、
他の機材との相性か若干ノイズが乗っていたのと、
場所とりすぎだったので思い切って乗り換え。
ピットのスペースも限られてるしね!
今回中西さんからのリクエストで必須だったステレオin/outと、
ディレイとリバーブを一台で一括したいという私の想いを叶えてくれて
音質もよくて大満足の結果でした♩

・オープニング、イーハトーヴ最初の間奏、ラッコの毛皮、ジョバンニのミルク、車掌、そらや愛やりんごや風、石炭袋の後半、手足の台詞中
・随所に出てくる情景/心理描写、曲や場面の切り替わりのハーモニクス、トレモロやロングトーン
結構いろんな箇所で活躍してくれました。

・Limetone Audio / LTV-500L-ilm(ステレオカスタム)

今回急なブレイクがあったり
(オープニングのアメユキの効果音前やイーハトーヴ前、活版所など)
お芝居に合わせての演奏で音量バランスなどにも気を使って演奏する
必要があったので初めて単体のボリュームペダルを導入してみました。
LEDがついてて、踏み込み量を目視で確認できるのだけど、
これがすごく良かった!

オープニングは毎回緊張したなぁ...

・MOOER / Tender Octaver Pro

中西さんからお借りしてたものその①
今回バイオリンでは構造上演奏不可能なボイシングの重音を弾く
必要があったのでハーモナイザーが必須でした。
・オープニング、銀河ステーション、ジョバンニの切符
・随所に出てくる効果音
などで使っていました。
あとはオクターバーとして厚みを足すために手足とかでも使ってたかな!

・Limetone Audio / irodori

当初リハでは入れていなかったのですが、バンド全体の
音量が上がってボリュームペダルのみでは音が埋もれてしまった
箇所に使っていたブースター。
活版所、手足の一番最後の盛り上がったところで使用。

・Boss / GE-7

中西さんからお借りしてたものその②
基本の音色はZOOM / A1 FOURの方で作っていましたが、
リハーサルを進めながらより微妙な音色の調整をするために使用。

アコースティックバイオリンは使う曲数が少なかったのと、
エレキですでに足元が大混雑でスペースがなかったこと、
今回音響さんがリハーサルからベッタリついてくださっているという
恵まれた環境だったのでPAさんに音作りはお願いして、
オンオフスイッチのみの簡易な編成でした!
(音響佐藤さん以下チームの皆さま、本当にありがとうございました!)

・気をつけた点、苦労したところなど

今回いわゆる”楽曲”という感じではない
感情の変化やシーンの切り替わりを表す音、効果音、
情景描写などをたくさんやらせていただいたので
音のタイミングや入りや切り方、音量やニュアンスには
すごく気を使いました。

いかにお芝居と一体になって主張せず、自然に情景を作るか。
「聞こえなくなるように演奏してほしい」ということを言われたのが
非常に印象的でした。

あとはテクニカル的なことではピッチシフト系のエフェクトは
オクターバ、ハーモナイザーくらいしか使ったことがなかったのですが
今回使ったアンサンブルは比較的原音に近い音程でのピッチを変えるため
ギターと違ってフレットのないバイオリンでは原音の音程が聞こえづらく
音程が取りにくくくて少し慣れが必要でした。

非常に深いディレイ、リバーブも同様、今自分の弾いている音が
モニターしづらく音程調整が難しかったです。

「エレキバイオリンとアコースティックのバイオリンはどう違うのか」
というご質問をたまにいただくのですが、
基本的なバイオリンの奏法は大きくは変わらないもののの
こういったエフェクトの取り扱いに慣れる必要があるので
やはりこれはこれで別の知識の経験が必要だなぁと感じました。

あと、とにかくアンデスは慣れなくて手こずりました(笑)

おしまい。感想などなど。

ということで自分的振り返り以上。

今回の作品は未だ立ち位置が確立されきっていない
エレキバイオリンの活用に対する一つの答えかなぁと思います。

今でこそエレキバイオリンも少しずつ普及してきていますが
それでも大半がアコースティックバイオリンの代用だったり
演出上の見た目スタイリッシュさを狙ったものが大半である中、
アコースティックのバイオリンではできないエレキバイオリンならではの
表現に対する1つの答えを25年前に既に提示していたということには
素直に驚きます。

しかもこれを全曲アレンジして、演奏するだけでなく指揮しながら、
今の私とそんなに変わらない年齢でやられていた中西俊博さんすごすぎ。

やっぱり先生すごいな...

最後に、今回の舞台は私にとっては今までにない大舞台でした。
5年そこそこのキャリアしかない、まだまだ短い無名な自分に
今回のチャンスを与えてくださった音楽監督の中西俊博さんはじめ
演出白井晃さん他、関係者の皆様には心から感謝しています。

初演の際は中西俊博さんと寺井尚子さんが演奏されていたと聞いて
そんな大役を任せてもらえたことが嬉しい反面、自分に務まるのか、という
不安もありましたが、無事終えることができてほっとしています。

過去ゆめまち劇場でお芝居に合わせての演奏や
スリロスやBlackなどダンスの演目でのエフェクターや
エレキバイオリンを使った演奏。
ロックバンドAndroid Babyのサポートでのエレキバイオリンの演奏。
MCに効果音やBGMをつけるショーを2年にわたってやらせていただいたり、
川崎麻世さんの朗読劇「スパイス」で演奏させていただいたり
ムジカマジカでは詩の朗読に音楽をつける経験をさせてもらったり。

1つ1つのバラバラでどこで活きるかわからないと思っていた経験が今回の
「銀河鉄道の夜2020」では全て結びついてどれ一つなくして
今回の演奏はできなかったと思います。

また今回の経験を糧に、益々精進していきたいと思います...!
本当にありがとうございました!

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主演の木村達成さん、音楽監督中西俊博さんと、バンドメンバーと。
千秋楽公演前の記念の1枚。









いつかまた再演とかあったらいいなぁ。
(そしてあわゆくばまた呼んでもらえたらいいなぁ。笑)

大事なことなので2回言ってみた。笑

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