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試写会レポート『SISU(シス)』(登壇:配給会社の方)

2023年7月、Fan's Voiceのスニークプレビュー試写会(※事前に作品名や作品情報を知らせずに開催する形式の試写会)に参加し、『SISU(シス)』を鑑賞しました。

SISUの配給会社の方が2名登壇され、監督のプロフィールや制作エピソードを紹介してくれました。スニークプレビューという形式でなければ観なかったかもしれないジャンルなので、作品もアフタートークも新鮮でした。


予告編

あらすじ:第2次世界大戦末期のフィンランドを舞台に、不死身の老兵とナチス戦車隊の死闘を描いた痛快バイオレンスアクション。1944年、ソ連に侵攻されナチスドイツに国土を焼き尽くされたフィンランド。老兵アアタミ・コルピは掘り当てた金塊を隠し持ち、愛犬ウッコとともに凍てつく荒野を旅していた。やがて彼はブルーノ・ヘルドルフ中尉率いるナチスの戦車隊に遭遇し金塊と命を狙われるが、実はアアタミはかつて精鋭部隊の一員として名を馳せた伝説の兵士だった。アアタミは使い古したツルハシ1本と不屈の精神を武器に、次々と敵を血祭りにあげていく。なお、主人公と一緒にいる犬は最後まで無事です!

本作は2022年の第55回シッチェス・カタロニア国際映画祭ファンタスティック・コンペティション部門で最優秀作品賞、男優賞、撮影賞、作曲賞を受賞。

アフタートークレポート

🐕ヤルマリ・ヘランダー監督の経歴について

元々はCM監督(ノキアなど)をしていたが、ずっと映画は撮りたいと思っていて、CM監督の傍ら自主制作映画を制作していた。監督は昔からランボーのファンで、ずっと「ランボーを作りたい」と語っていたそう。監督の自主制作を含む過去作品には、本作でも主演に起用している俳優/ヨルマ・トンミラがたびたび登場していて、ほとんどの作品で主人公を演じている。

🐕SISUのロケ地

過去作品もフィンランドが舞台だが、実はフィンランドで撮影したことがなく、本作が初めてのフィンランドロケになる。フィンランドはとにかく寒い&強風で撮影向きじゃないが、今回の撮影ではちょうど良いタイミングで風が止んだりして撮影に影響はなかった。なお、シーンによって雪が見えたり見えなかったりするが、これは雪が吹雪く向きによって光の屈折でカメラに映る/映らないがあるため別日に撮影ているわけではないし、CGで消したり追加しているものではない。

🐕女性たちの描かれ方

フィンランドはこれまでの侵攻の歴史から『男性と女性が共に手を取り合う』という価値観が備わっているそう。なので本作における女性の活躍も、最近のジェンダーギャプ云々への配慮とかそういうのではなく、フィンランドでは当たり前のカルチャーなんだとか。

🐕SISUとは

フィンランドの人々に古くから受け継がれる精神力のこと。 厳しい状況で発揮されるしなやかな精神性、困難に立ち向かう勇敢さ、忍耐などを指すんだそう。試写会のあとに自分でも「SISU」の意味を調べてみたんですが、日本語ではSISUを言い換える言葉が見当たらないようでした。こちらの記事⇩が詳しかったのでご紹介します。自分の解釈では、日本でいうところの''大和魂''に近いものかなと思いました。

フィンランドの歴史

アフタートークで『フィンランドは何度も侵攻された歴史がある』と語られていたので、こちらも試写会の後に調べました。フィンランドは、かつては北欧十字軍に侵攻されスウェーデンの支配下になり、次にロシア帝国、そしてナチスにも侵略されかけるなど、何度も侵略と奪回を繰り返している歴史があり、ナチスに至ってはフィンランドから撤退するときに、街が使いものにならないように焼き払っていったんだとか。本作でも近い描写はあって、主人公があの仕上がりになるのも納得でした。

余談

アフタートークでは、本作の主人公のことをナウシカのユパ様(普段穏やかだけど怒らせたら怖い人)のようだと言っていて、たしかに…!!!と思いました。色々なお話が聞けて、とても楽しかったです。

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