記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

式日 観ました

庵野監督作品

2000年 実写映画

主演は岩井俊二

   藤谷文子(原作者でもある)

※シンエヴァのネタバレもあります

色々と興味深い映画でした。

最初は奇抜な衣装で登場した彼女さん。赤い服、赤い靴、赤い傘。赤は基本的に着てて、シーンごとに衣装が変わるのでそれだけ注目してても飽きない。赤以外のときもたまにあって、黒のときはカントクと同化してるように見えたり、猫ちゃんといるときは黄色とかだったり。どんな服でも着こなす。女優さんめちゃスタイル良い。ジーンズに赤スニーカーのときもあった。

ヘアメイクも面白い。プチプチ頭に付いてますよ。エクステがいっぱいついてる日もあった。あと、お姉ちゃんのときは青い。


映像のカット割りはまさに庵野監督のそれ。配管。線路。電線。実写映画って導入部分はながらで見てしまうことが多いんだけど、映像が秒単位で変わるからずっと画面見てた。

(ただ、最後の大竹しのぶ登場のあたりはずっとカメラ固定。舞台見てるような感じ。大女優の前では編集など無意味だったか)


彼女さんは家具屋だったらしき廃ビルに住んでる。部屋にしてはだだっ広くてセットはカオス。白い壁、ハンガーラック、赤い電話、赤い風鈴。なんで電気通ってるのかどうやってくらしてるのかは謎w

床に線路描いてあったり。

ここは秘密の○階〜!ってはしゃいでるシーン好き。

屋上で毎朝、死ななくていいかどうか確認する。

地下は水浸し。青いギターとミニカーの祭壇。赤い傘たくさん。白いバスタブ。

照明が赤いとき、コア化した世界みたいに見える。


セットじゃなくて本当に全部この建物で撮影したんだろか。


毎日毎日「明日は私の誕生日。」と言う、ほとんど寝ない少女。

線路は2本でずっと一緒、でも交わることがない。


カントクは最初彼女さんの支えになりたいと思って一緒にいるんだけど、彼女さんがカントクに心を開き距離が縮まってくると「鬱陶しいと感じる時間が増えた」というナレーション。うわ〜リアル〜

猫ちゃんもいなくなってしまう、彼女さんの依存症。


彼女さんが「セックスしたら普通の男と女になる。だから絶対いや」というのがちょっと面白かった。

劇中の1ヶ月の間、この二人は添い寝はしたけどセックスはしてないと私は思うんだけれども、このあとの二人の人生どうなんだろうね、普通にセックスしたり夫婦になったりするんだろか??


カントク役の岩井俊二さん。岩井俊二の映画はそこそこ見てるんだけど、動いてる岩井俊二を見たのは初めてでした。カントクは庵野さんそのものみたいな役だから、演技指導されたのをそのままやってるのかなー?と思うくらい庵野さんコピーみたいだけど、素の岩井俊二さんはどんな人なんだろな。これが素だったらちょっと面白い。岩井俊二さんも普段カントクと呼ばれる立場なので、この役は2重の意味で面白い。

カントクのセリフ「(いつもはアニメだけど)実写をやりたいと思ってるんだよね」は、これを岩井監督に言わせるか?って笑ってしまう。岩井俊二さん後に実写じゃなくアニメを作っておられます。逆転してる笑


少女の鬱々とした非現実な日々の映画は、岩井俊二作品の影響も大きいのかも。というか岩井さんがカメラ持ってる場面多いから当たり前ですかね。映画監督が役者としてカメラを回すっていうのが面白いです。

大竹しのぶは姿が出るのは最後の親子面談のとこだけなんですけど、留守電の声がトラウマレベルに恐い。ダメダメな母親があまりにもはまっていました。ほんと怖い。


シンエヴァも先日見直したばかりなんですけど、式日の彼女さん、アスカ要素多い気がする。エヴァがない世界のアスカかなと思った。バスタブに入ってるアスカあったよね。

おいていかないで。一人にしないで。ってのはアスカのセリフにもありましたね。


新劇場版のアスカは、破→Qの13年の間に何があったのかシンエヴァでもたいして明かされなかったわけですが、式日をエヴァの参考資料的に見てしまうと、これはアスカの話かなと私は思いました。式波・アスカ・ラングレーには「式」って字が入ってるし、無関係ではないかも。シンエヴァでいきなり明かされた、アスカとケンスケ2人は分かり合ってるのよみたいな関係。ケンスケはカントクみたいな距離感で、傷心のアスカの側にいてくれたんかな〜とか。

いやカントクはシンジか?カジさんじゃないよなぁ。色々妄想できる。

ただ、原作がある作品なので、そこは原作読んでからじゃないとなんとも言えないです。


撮影は庵野さんの故郷宇部市で、シンエヴァのラストシーンに実写で登場した宇部新川駅も登場。もう取り壊された家具屋のビルをわざわざCGで作って風景に入れたという公式ツイートも見たので、あ〜これね〜と思いました。電車も出てきた。


ラストシーンの少し前の彼女さんの母からの電話をわざわざ地下まで行ってカントクが電話取るシーン。後ろの壁がバターンと倒れて大竹しのぶの白黒写真が一面に貼ってあるの。あれ、なかなかホラーでした。あそこだけ舞台の仕掛けのような演出。正直自分ちょっと浮いてるとは思った。


先日押井作品を見て考察を検索してたら、寺山修司の影響について書いてるのを見たんですが(イクニが庵野におすすめした、てなことが書いてあった)これがそうなのか。寺山修司見たことない。今後見てみよう。本や戯曲も読んだことないです。

思わぬところで色んな作品が影響を与えあってるんですね。詳しい人からしたら当たり前かもしれませんが。


親子面談の後、彼女さんはケロッとしてカレンダーに自分の誕生日に印をつけ、爽やかな笑顔で映画は終わる。

お母さんに実際に会っただけでそんな一気に鬱病が治るもんなのか?とは思ってしまった。急展開じゃん。

とはいえ、面談時のお母さんは怒鳴ったりせず、「自分も寂しい、自分のことで精一杯だった、いい母親じゃなかった」と自分の非を認めてくれるので…まぁきっかけはあると言えばあるか。

この辺もシンエヴァのゲンドウとシンジが電車の中で話すシーンを彷彿とさせます。


もうちょっとなんかあったんじゃないか?と思いつつも、大丈夫!私は現実を生きるよ!てな感じで映画は終わります。そしてエンドロール。ここでCoccoくるんだな…とぞわっとしました。2000年頃、私もCoccoさん聞いてた。


シンエヴァ見た後だから、シンエヴァと関連付けてしまうけど、制作は旧劇の後なんですよね〜。旧劇はだいぶ見直してない。見なきゃなの多い。

式日、鬱々としつつも色んな気付きがあって私は楽しい映画でした。藤谷文子すげえし。

次はラブ&ポップ見よかな。



✦✦✦✦✦✦


2021/09/22追記
ラブアンドポップ観ました。
別の記事を立てるほど長くなりそうにないし、きっと一緒に思い出すと思うのでここに追記。

あらすじ見てもっとマチズモ的なキモいやつかな〜と思ってたけど、けっこう女子高生のリアルを感じれました。まぁ、90年代の東京の女子高生だったことなんてないし、テレクラもしたことないから、実際のところは分からないのですが。東京にずっと住んでる人はもっと面白く見れるかも。原作は村上龍。

アングルや編集は庵野のそれでした。(制服のままプールは完全に綾波)ストーリーはとくに庵野らしさはない。原作通りなのかな。浅野忠信演じるお説教おじさん(おにいさん?)が変な人ではあるが、悪いやつではない。優しいオジサンもいるんだよ、みたいなオチ…なんだそりゃですが、女子高生が援交に片脚突っ込んでみた日をのぞき見してるような映画なので、筋はそこまで重要じゃないと思う。
とりあえず、ヒロミがそのまま援交にのめり込んでいく話ではなかった。

声優さんが密かに豪華なメンツ。音声ガイダンスとかラジオDJとか電話の兄ちゃんとか。オジサンたちも実は豪華。あと、仲間由紀恵がいた!高校生にしては大人っぽすぎる。

エンドロールで女子高生たちがほとんど水かさのない渋谷川をローファーとルーズソックスを濡らしながら歩いていくのが、印象深い。ちなみにエンドロールだけ液晶テレビサイズで画質も良い。You Tubeで映画制作の裏側の動画を見たんだけど、本来は沖縄の海で水着ではしゃいでるシーンの予定だったらしい。フィルム落としたスタッフどんまいやけど、水着より全然こっちがええやんと私は思ったのでgood job

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?