上述の決まり文句と共に張飛が登場すると、心が躍ります。
強烈な個性を放つ三国志の英雄たちには「憧れ」の感情を抱くことが多くありますが、張飛に対しては憧れの感情だけでなく「共感」の感情も強く持てます。そこが張飛の唯一無二の魅力だと思っていますので、そこを分解していきます。
共感できるポイント1:剥き出しの感情
群雄割拠の三国志の世界においては、味方と敵が一日で入れ替わる。そのため、人と人は常に肚を探り合うー。そのような登場人物同士の会話や立ち居振る舞いに、時にもどかしさを覚えることもあります。そんな中、感情剝き出しの張飛の言動「よくぞ言った!」と胸のすく想いがする読書は多いのではないでしょうか。
私は特に張飛が呂布に敵意剥き出しで接するシーンが好きです。
張飛と呂布は犬猿の仲。
例えば、曹操から呂布を殺せという密命が劉備に下った際、張飛はこれを機に、と呂布を殺そうと劉備に主張しますが断られてしまいます。しかし、翌日張飛は劉備に会いにきた呂布を急襲します。
この後、結局劉備に止められ呂布を殺すには至らなかったのですが、呂布に振り回される劉備のためにも呂布を打ってくれたらいいのに、、と思わずにはいられない(=張飛を応援する)ような気持になってしまうのです。
共感できるポイント2:失敗する
3つ目の共感ポイントは、失敗を犯してしまうという人間味あふれる部分ににあると思います。関羽や趙雲など他の武将は、欠点の少ない超人的な存在として描かれているため、失敗を犯すシーンがほとんどありませんが、一方の張飛は(主に酒が原因で)作中で何度も失敗を犯します。
失敗を犯してしまう脆さ、そしてその失敗から立ち直ろうとする勇気に、読者が自分自身を投影してしまい、張飛のことを応援するようになるのではと思っています。作中屈指の下記の名場面をご覧いただければ、そのことが分かるのではないででしょうか。
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徐州城の留守を任されていた張飛は、禁酒の約を破り泥酔してしまい、その隙をついた呂布に城を奪われてしまいます。その際、泥酔していたため、城中に劉備の母や妻子を残したまま、敗走してしまいます。そんな自分が許せず、劉備の前で「ああっ、この俺はどうしてこんな愚物に生まれてきたか、家兄お許しください。」と自ら命を絶とうとした時のことです。
失意の底にある張飛を励ます劉備の心、そこから立ち直ろうとする張飛の心、三国志は人と人との心の繋がりが生み出す物語なのだと改めて感じました。
その他の魅力:弟気質
その他の張飛の魅力としては、弟気質な側面が挙げられるのではないでしょうか。豪快な性格で恐れをしらない張飛ですが、兄の玄徳・関羽には頭が上がらないというギャップも彼の魅力の1つです。
その魅力が多分に現れているシーンを2つ紹介します。
1つは目は、孔明のもとを訪れようとした劉備を諫めるも、逆に劉備からお𠮟りを受けるシーン。
2つ目は、玄徳の判断に文句をつけ、関羽になじられるシーン。
是非皆さんが思う張飛の魅力も教えてください。