不要な者

NHKFMに、往年の名番組『クロスオーバーイレブン』というのがあった。津嘉山正種さんのナレーション、小倉エージさんの選曲で懐かしさを感じる方もいるだろう。
現在は、お正月とお盆に新作or再放送をしている。今年のお盆は「名作選」として、現在、再放送をしている。そのうちの一本が、ぼくのスクリプト(この番組では原稿・台本のことをこう呼ぶのもまた、名物)だった。放送前にそれを教えてもらったのだが、タイトルが、
《不要なモノ》
というのだけを知っても、
「はて、どんな内容だっけ?」
と思い出せなかった。自分で書いたものなのに。5年前だ。

なのでリスナーと同じく、わからないまま聴き始め、途中で「ああ、あの話か」と気がついた。でも、こまかい描写や展開などはすっかり忘れていて、ほとんど「そうそう!」「わかるなあ~」という感じで聴いた。そりゃ自分が書いたものだから「わかる」のは当たり前なんだけど。
ベンリな世の中になったもので、『らじる★らじる・聴き逃しサービス』で一週間は聴けます。ご興味あれば、どうぞ。

聴きながら思ったのは、
「『不要なモノ』か……。そういえば最近『三人寄れば無駄な知恵』という番組を始め、このnoteにも『「無駄」は無駄なのだろうか?』というコラムを書いたばかりじゃないか」
ということ。
さらに少し前、新型コロナ騒動が始まった頃、『不要不急の考え』というコラムを書いたことも、思い出す。

つまりぼくはここ数年ずっと、「不要とか無駄と呼ばれるモノ」について考えているわけで、それはつまり、自分が「不要な者」だという自覚から来ている。
いやいや。よく考えればここ数年どころではなく、ぼくはずーっと「不要な者」だったわけだ。
不要で、無駄で、役立たず、あってもなくてもいい仕事……を、細々とながら長年続けて来られたのは、それでもたまにどこかで誰かがふと「ああいうのがあってもいいよな」と思ってくれるからだろう。その時だけは、ちょびっと必要とされる。それで十分かもな……と、放送を聴きながら、思った。(※ラストは、クロスオーバーイレブン風の間合いでお読みください)


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