メモの魔力について、聞いて書いたメモ書き vol.2
いつ頃から本を読んでいたか?
私には、はっきりと覚えている風景がある。通っていた幼稚園の、2階の階段を上った先にある絵本コ―ナ―だ。園庭を臨む窓を背に、子どもが手に取れる高さの本棚が置かれ、その本棚と直角に、もう1つ本棚が置かれていた。中にはぎっしりと絵本が並び、座ったりごろんと横になったりできる、6畳程の座敷が併設されていた。
休み時間だったか、何かの隙間時間に、私はそこで一人で過ごすのが好きだった。教室からは、先生とほとんどの子どもが出払い、園庭で笑いさざめく声が、遠くに聞こえる。昼の光が程よく入り、時おり誰かが通りすぎる。そんな絵本コ―ナ―で、一人静かにページをめくっていた。
それは一見して遊び相手がいない、寂しい子どもの様に映るかもしれない。しかし私は、本の中で、世界中の友と出会い、ただ遊んでいるだけなのだ。紙芝居の様に、物語を誰かと楽しむのも良いけれど、それ以上に、一人楽しむ事に、喜びを感じるのだ。それはとても大切で幸福な、読書の原体験だ。
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