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英語での「動詞」の区切り方#1 動作動詞と状態動詞

以前、付帯状況のwithを指導するときの難しさに触れた。

あれからだいぶ経過しているが、自分自身への覚え書き、また読者のみなさんにとっても理解促進の助けになればと思い記しておく。

1.英語での「動詞」とは

これは英語に限定せず、日本語文法においても共通していることかもしれませんが、英語の「動詞」の枠組みは、日本語での動詞に相当する「述語」とは、似ているようで大きな違いがあります。

「述語」はPredicateといい、主語が「どうするか」だけでなく、「どういう状態であるか」「何であるか」「いるのかいないのか(存在)」という、広い意味を内包するものであるようです。

一方、英語では、動詞(Verb)、形容詞(Adjective)、名詞(Noun)は明確に機能が分類されていて、英語やドイツ語、フランス語などを学習する際は、日本語のように「述語」を学ぶ、暗記する、ということはしません。

述語という大きな括りではなく、「動詞」の性質をまず学び、その意味を覚えることももちろん重要ですが、むしろ後続する語句が文中で、その動詞とどういう関わりを持っているのか、という語順的な働きや、ある時点での動詞が表す行為(連続して今に至るのか、今現在、その行為を行っている最中なのか、もしくはそれを終えたので、別の行為に移るのか)を表すことを学習します。

そこで日本人学習者がつまづきやすい点は、「動作動詞」「状態動詞」の区別、それ以上に難しいのは「自動詞」「他動詞」という概念そのものです。

前者である動作・状態の区別は、おおまかには「進行形にできるかどうか」つまり一時的な、そのときに進行中の行為のことを指せるのかどうか、ということになります。学校で習った方もいらっしゃると思いますが、動作動詞が過去・現在・未来進行形、過去完了・現在完了・未来完了進行形をつくることができる動詞です(例外として状態動詞も、恒常的ではなく、「一時的な状態」や「変化の途中」を表す際は、進行形をとることが可能ですが…)。対して状態動詞は、上の文でも書いている通り、原則、進行形にすることはできません。

2.動作動詞・状態動詞の定義

では、両者を分けるものは何なのでしょうか。

意味論の領域になってきますが、その動詞が表す行為が、以下の条件を満たせば、動作動詞であると言えます(Geoffrey Leechの Meaning and the English Verb などを参考ください)。

・自分の意志で始められる

・自分の意志で繰り返すことができる

・自分の意志で止めることができる

たとえば「〜に所属する」というbelongですが、高校で指導する典型例としてよく私も用います。

1. 「じゃあ、今から○○部に所属して、10分後に今後は☓☓部に所属してください」(belongの例)

2. 「(授業中に)では、部活動に所属している人たちに訪ねます。今、授業を受けている瞬間は、その部活動に所属しているのでしょうか、所属していないのでしょうか」(同様にbelongの例)

3. 「今から1時間だけ、○○県からXX県に引っ越して、3時間だけ住んで、またもとの住所に戻ってください」(liveの例)

こういった1~3の行為は、自分の意志で、いますぐ始められる類の行為ではないし、継続することも止めることもできません。また、今、その行為ではないからと行って、その行為をしていないことにはならない動詞です。

1,2の部活動の例で言えば、授業中は、ある部活動へのbelongという行為はできず、通常は放課後などに活動時間が割り当てられていますが、その時間だけしか「〜部に所属している」と言えないか、というと、もちろんそうではありません。授業中であっても野球部の生徒は野球部に所属していますし、部活動に所属していない生徒は所属していません。つまり、時間に関わらず、その瞬間にその行為をしている・していないに関わらず、その動作が表す行為を実行していることになる動詞、それが状態動詞である、ということになると思います。

T「状態を表すから状態動詞なんだよ」 *T=Teacher

S「先生、じゃあその状態、っていうのはどう判別するんですか?」      *S=Student

という生徒からの当然上がるであろう疑問に対しては、私は

「状態はね、今この瞬間、その行為をしていなくても、していることになる行為、つまり住む、とか、所属する、とか、高校生である、とか、そういった行為のことを指すんだよ」

と教えています。

対して、動作動詞のほうが、もっと理解しやすいと思います。

上述のように、「自分の意志で始められて、繰り返すことができて、そして止めることができる」、いいかえれば、「いつでも自由意志でstart/ repeat/ stopができる動詞」という事ができます。

だからこそ、動作動詞は自由意志で、かついつでも始動・繰り返し・停止の3つが可能なので、それぞれの時制(=Time(時間)における動詞の形)に応じて、好きな時間だけその行為を続けることができ、そして止めることができるのです。動作動詞が進行形にすることができる、というのはこれが理由です。

3.例外:進行形になる状態動詞

上で、「一時的な状態」や「状態の変化の途中」を表すときは、状態動詞であっても進行形にすることができる、と書きました。

これらの中では、特に「変化の途中」 がわかりやすいので、例をあげます。

4. He is resembling his mother. 彼は母親に似てきた・似てきている

resemble「〜に似ている」という状態を指す動詞です。自分の意志で、似ている相手を変えたりすることは不可能ですし、今の似ている状態の対象を、父親から母親に変えたりすることも不可能です。

しかし、「(今・そのとき)似ている、似ていた」という意味ではなく、変化の途中を表している場合は、動作動詞のように振る舞うことが可能です。つまり、だんだん似てきている、という変化の途中を表すことになるため、進行形が用いられることになるわけです。

類例として、動作動詞ですが、「動作の進行」の意味にはならないものを上げておきます。

5. Tha flower is dying. We have to do something to treat it. その花が枯れかけてる。何かしなくちゃ。

動作動詞ですが、die, finishなどの動詞は、繰り返すことができません。達成型・完結型といえばよいのでしょうか。その動作を行うと、目的が達成されるため、その行為をもう一度行うことが不可能になるためです。死ぬ、という行為を何度も繰り返すことも、何かを提出するという行為を何度も繰り返すことも不可能です。そのため、動作動詞の中にも、その行為のrepetitionを表現することができないものも、このように存在します。

ただ、進行形にすると、意味が変化するのが、このdieのような動詞です。

dieという最終的な状態・目的に向けて、動作主の状態が変化している最中だ、という意味を取るため、「枯れかけている」などの意味になります。

4.まとめ

ということで、長くて、かつあまり整然とまとめられていませんが、動詞の区別方法の1つとして、動作動詞と状態動詞のことをまとめました。

次は、自動詞と他動詞について触れたいと思います。

受験勉強で英文法の質問がある方など、いつでも歓迎いたします。時間がかかるかもしれませんが、返信いたします。


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