小学一年の長女が拾ってきた5円を交番に届けてみたら


小学一年の長女が下校途中に5円を拾ってきました。

「ママ、公園に5円落ちてたから交番に届けよう」と言ってきました。

私は、<なんて微笑ましい>と思って笑顔で話を聞きます。


ことの経緯は


聞いてみると、

Aちゃんと一緒に下校途中で5円を見つけたとのこと。

「Aちゃんが、ママにそう言ったら褒められるって言ってた」とのこと。


Aちゃんは、同じクラスで通学路が同じなので、

下校の際は一緒に帰宅してきます。

ものすごく賢くてしっかり者のAちゃん。


うかつにも、なんて素直な我が子と思った私は、

まんまとAちゃんの手のひらで転がされていたのでした。


大人の感覚と子供の感覚


大人になると、5円落ちていて交番に届けようという発想はないですよね。

確かに「お金を拾ったら交番」とは思っていますが、

なんとなく線引きがありました。


「小銭は届けなくてもいいんじゃない」というのが私の感覚でした。

でも、小学一年生にとっての感覚は違うはずです。


我が家では、長女の労働対価は1円です。

お風呂掃除 1円

トイレ掃除 1円

靴並べ 1円

なんでもだいたい1円でお手伝いしてもらっています。

(最近は、値上げしてって言われるので増えていくのでしょうが。)


なので、彼女にとっての5円って、

私にとっての5千円くらいの感覚なのかもしれない。

そう思うと、この5円を無下に扱うことはできないと思いました。


そうはいっても、交番は家から15分程の場所にあります。

もう夕方でご飯の準備もしないといけないし。

もうすぐ暗くなってくるだろうし。

外は寒いし。

正直、めちゃくちゃ面倒くさい。


「今日はもう遅いから、また明日行こう」

と言って納得してもらいます。


そうして週末に突入するのですが、

うっかり者の私は5円のことをすっかり忘れていました。

そして、うっかりDNAを受け継いだ娘も忘れていたようで、

土曜日はその話題に触れることはなかったのです。


そして、日曜日の昼ごはんを食べてゆっくりしていると、

「ママ、5円を交番に届けるんでしょう?」と娘。

ああ、そうだった。忘れていた。

<行くのが面倒だな。寒いし。5円くらいどうでもいいでしょ。>

という心の声と、

<せっかく子どもが善い行いをしようとしている。行ってあげよう。>

という心の声がせめぎ合っているのです。


う~~~~ん。

「よし、今から行こう!」と言いました。

<娘の初めての経験を、私の怠惰でうやむやにするわけにはいかない。>

そう思って、出かける準備を始めたのでした。


いざ、交番へ


長女は嬉しそうにしています。

次女と3人で交番に向かいます。

途中、少し不安な気持ちもありました。


交番のおまわりさん、優しい人だったらいいな。

でも、逆の立場だったら、忙しい時に余計な仕事を増やしてって思うかも。

私が嫌な気持ちをするのは耐えられるけど、

子どもの心が傷つくのを見るのはつらいです。


祈る気持ちで交番に入ります。

どうやら一人しかいません。

こちらに気付くとすぐに立ち上がり、一礼されます。

黒い短髪で眼鏡をかけた30代のおまわりさん。

優しい笑顔で迎えてくれています。


「子どもがお金を拾ってきて交番にいくと言うので来ました。」と伝えて、

「あの、5円なんですが、、」と気まずくて苦笑いします。

すぐに、事情を察して「そうですか」と優しく微笑んでくれます。

そして、長女に「ありがとう」と言ってくれました。

なんだか、温かい空気に包まれています。

私は、安堵の気持ちと連れてきて本当に良かったなと思いました。


それから、椅子に座って書類を記入します。

長女にも「いつ」「どこで」と質問をしてもらって、

パソコンにカタカタと打ち込んでいます。

そして、拾った人の3つ権利について説明がありました。

・3ヵ月経過しても持ち主が現れない場合は、もらう権利がある

・持ち主が現れたら、報労金を請求する権利がある

・持ち主が現れたら、届け出にかかった交通費等を請求する権利がある


「子どもが届けたいって言っただけなので、大丈夫です」と伝える。

今回は5円だったから、大人な対応の私。

10万円だったら、きっと鼻息荒くなるんだろうなと思ってしまった。


書類にサインをしてくださいと頼まれて、

長女が自分の名前を書く。

「漢字で書いてもいい?」って聞いてくる。

まだ、上手に書けないんだけど、ちょっと背伸びしてかわいい。


最後に、「はい」って小さなキーホルダーを渡してくれました。

嬉しそうにはにかむ長女。

帰り道、「どうだった」と聞く。

「面白かった」と娘。

「何が面白かったの」と私。

「警察がどんなとこか知りたかったから。」

そうか、子どもは好奇心旺盛だもんな。

大人の事情を優先して、

子どもの好奇心の芽を摘まずに済んでよかったなと感じた出来事でした。



後で知ったのだけど


ちなみに、調べてみたら

道に落ちているお金は、遺失物という扱いになり、

1円であろうが、5円であろうが

警察に届けなければならないと法律で決まっているとのこと。


遺失物法 第四条 第一項 

拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。

遺失物法


拾ったものを届けないと遺失物横領罪になってしまうとのこと。

1円であろうと届け出が必要だったのですね。

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