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親父と薔薇(200字ノベル)

ただいま、と定年退職してきた親父が帰宅した。
「似合わないもん持ってるな」
「煩い」
白い薔薇の花束とプレゼントを抱えている格好は、昔気質の親父に似合わない。
「俺に似合うと思ったんだとよ。多分俺の仕事着をイメージしたんだろ」
料理長として手腕を奮っていた親父。俺はソファでスマホを弄る。
「なるほどね」
俺は画面を親父に見せた。
「花言葉だってよ」

俺はその日初めて号泣する親父を見た。


#小説

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