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何時ぞやの桜(200字ノベル)

「枯木に花を咲かせましょう」

そう唄ったは何時ぞやの翁。
彼が皺だらけの手を振るう度に、桃色花弁が樹を彩る。
あれは何時ぞやの幻か。
可憐な花は刹那の命。
貴方の為に差し出した命。

目を覚ますと少年は通学途中だったと思い出す。
目の前に広がる河川敷は、毎朝電車から見える景色。
どこか、懐かしい。

「枯木に花を咲かせましょうか」

ついと出た台詞と共に、切なさが胸を締め付けた。


#小説

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