「ブルターニュの光と風」展図録再読ウィーク
オリンピック・パリ大会が始まり、開会式では「革命・狂乱・祝祭・多種多様な人々」というパリのイメージが映像化されたような世界を満喫した。
さて、去年開催されたこちらの展覧会。
子どものころに絵本や物語で知った「ヨーロッパ」が広がっていた。
誰もが知っている有名な作品がババン!と展示されていたわけではないけれど、土地に根付き、自然の中で生きる人たちの習俗が描かれていてセラピーを受けている気持になった。
ブルターニュという地域に関しては、図録には「辺境の地」(展覧会の副題にもなっている)、「半島」などの文言があった。
この大きな土地を「(大きな)半島」と呼んでしまうスケールに驚愕。
パリからの距離(中心都市レンヌ)はおよそ500km、高速鉄道で1時間51分
日本で考えると東京ー大阪間(480km)くらいの距離なのを考えると文化もかなり違うんだろうなぁと想像。
パリで活動していた画家たちもなぜブルターニュを目指したのか?…そんなに?と思っていたら、どうやら鉄道開通も大きな理由になっていたらしい。
これは、同時期に国立西洋美術館で開催されていた「憧憬の地 ブルターニュ」展で知った。
チューブ型絵具が発明されて画家は絵具を持って自由に外に出かけるようになり、鉄道によってさらに遠方を目指したのかと思うとなんだか感動。
スケッチしたものを持ち帰って彩色したり、頭の中を再現して描いていたものがその場で色を見ながら色を重ねるってどんな気分だったんだろう。
これまで風景画の面白さがあまりわからなかったのだけれど、このブルターニュをテーマにした二つの展覧会のおかげで俄然興味がわいたし、想像できる幅が増えた気がする。
そして、図録。
絵画の説明だけでなく、画家の生い立ちも簡単に触れているのが本当にありがたかった。
日本でそこまで知られていない画家について、この人はどういった人で、当時のフランスでどのような存在だったのかを知ると他の作品も見たくなる。
興味が広がる。
この画家はなぜこの場面を切り取ったんだろうとか、想像も膨らむ。
図録を一通り見て、宗教画や権力者の肖像の時代を経て自由に描きたいものを描く時代になり、さらに直接目に見えない「風」とか「湿度」「空気」を感じる絵が増えて、画家自身の心情を投影した描き方が見えてきた。
楽しい。
展覧会での感動と記憶がよみがえる。
海外から海を越えて作品がやってきて展覧会が開催される。
平和であること、学芸員さんたちの尽力など感謝しかない。
いつか訪ねたい土地、フランス・ブルターニュが加わった。
特に、カンペール美術館。
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