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劇評

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主に石川県金沢市での、演劇・ダンスの観劇記録です。
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2016年11月の記事一覧

(劇評)『劇処』たま子の希望

この文章は、2016年10月22日(土)18:00開演の劇団ドリームチョップ『笑ってよゲロ子ちゃん』についての劇評です。

 『笑ってよゲロ子ちゃん』は、高校教諭の兵藤友彦によって、高校演劇のための作品として書かれた。その戯曲に井口時次郎が潤色、演出を行い、井口が主催する『劇団ドリームチョップ』の第16回公演作品として上演した。大人の社会を想像するしかない高校生ではなく、社会の現実を知った大人が演

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(劇評)『劇処』さよなら、七人のネガティブな私

この文章は、2016年10月15日(土)19:00開演の劇団nono『七人の』についての劇評です。

 劇団nonoは、平成21年に、野々市市の地域住民が作った市民劇団である。現在は、小学校2年生から幅広い年齢層の団員、19名が活動している。今回が初めての野々市市外、金沢市での公演となった。
 上演された『七人の』は、グリム童話の『白雪姫』を原案とし、演劇列車『東西本線』の西本浩明が作・演出を担当

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(劇評)母の叫びに共鳴を

劇団aji『MATKA』の劇評です。
2016年10月30日(日)14:00 金沢21世紀美術館シアター21

 カレル・チャペック原作の『母』(田才益生訳)を、劇団ajiが『MATKA』と題して上演した。 『母』が書かれたのは1938年、ナチス・ドイツの独裁政治が、チャペックの居たチェコスロバキアにも強く影響を及ぼしていた時代である。開演前に、主宰の島貴之が、チャペックのエッセイを朗読した。死

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(劇評)『劇処』女達が繋ぐ血

この文章は、2016年10月8日(土)19:00開演の演劇ユニットK-CAT『血の婚礼』についての劇評です。

 スペインの詩人、劇作家、ガルシーア・ロルカの『血の婚礼』(訳:牛島信明)を、K-CATが、ドラマリーディングの形で上演した。演出は文学座の西川信廣、音楽は上田亨によるキーボードの生演奏である。

 夫と息子を殺された女は、その苦しみを決して忘れることができない。もう一人の息子がナイフを

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(劇評)『劇処』忘れても、きっと、返ってくる

この文章は、2016年10月1日(土)19:00開演のキッズ☆クルー&人形劇団なみ『雪わたり』についての劇評です。

 キッズ☆クルーと人形劇団なみによる、なによりまずは、キッズ☆クルーが演劇で何かを見つけるための芝居。それが、キッズ☆クルーと同じ子ども達と、かつて子どもだったことを忘れている大人達のための芝居にできあがった。

 キッズ☆クルー&人形劇団なみの上演した『雪わたり』は、宮沢賢治の童

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演劇祭の劇評を転載します

金沢市民芸術村20周年記念演劇祭『劇処』
http://gekidokoro.com/
の『劇評講座』にて書いている劇評を、個人的にまとめておきたいので、こちらにも転載してゆきます。