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いまはなかなか見られない、少し暗い料理番組

小学校の頃から、学校を休んだ日には決まって料理番組を見ていた。

「なんとなく行きたくないなー」の日も、熱があって食欲がない日も。


特に好きだったのは、CATVでやっていた「料理大学」。辻調理師専門学校の講師が、ものすごく手の込んだお菓子やパン、フレンチ、和食などを作っている番組だ。視聴者がそれを見て同じものを作れる可能性は低く、一般的な料理番組のような明るい雰囲気もあまりない。どちらかというと静かで淡々としていた。(ライティングすらも少し暗かったような)

料理がおいしそうだから見ていたわけではない。わたしにとっては、それが非日常的な、ちょっとした職場見学のような気分だったのだ。


特にお菓子やパンは「材料を1つずつ丁寧に混ぜていく」とか「具合を見ながら捏ねていく」とか、シンプルな作業を続けていくことで食材の状態がどんどん変化していく。それを見ていると、気持ちが落ち着くのに加えて少しワクワクもする。不思議な感覚を覚えていた。

平日の午前11時くらいにやっていたので、学校を休んだ日や長期休みの日しかまともに見られなくて。少し前に「久しぶりに料理大学見たいな〜」と放送時間を調べたら、2011年に終わっていたことを知りとても残念。


いま、わたしは毎日当たり前のように台所に立っている。
でも、最近はラジオやポッドキャストを聴きながら料理をすることが多くて、淡々と料理に向き合うようなことはなかったなあ。

こんなことを考えて、久しぶりに目の前の料理だけに集中してみる。
無心でする大根の千切りは、とても心が穏やかになった。

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