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ファッションウィークから見るウクライナへの祈り

こんにちは、sayakaです。

今回は22AWからミラノ・パリコレクションから見るウクライナへの祈り、社会情勢との関係性について述べてこうと思います。
今回のショーはヴァージル後のオフホワイトや新デザイナーのボッテガ、グッチとアディダスのコラボなど新たな風を吹かしたショーもたくさんありました。

その中でも今のロシアとウクライナの問題には目が離せない状況が続いています。
ミラノ・パリのコレクションが開催される間にも目まぐるしく状況が変化し、今でも緊迫した状況が続いています。

この社会情勢の中でも動きをみせたブランドがありました。
今回はその中でも「GIORGIO ARMANI」「BALENCIAGA」の2ブランドに注目して述べていこうと思います。このブランドの他にも「VALENTINO」や「STELLA McCARTNEY」も戦争がおこっている中で反戦を訴える動きが行われていました。戦争が始まり1ヶ月以上が経ちましたが、ファッション業界も限られた時間の中でどのような動きをしたのかを知っていただけたらいいなと思います。

GIORGIO ARMANI

ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」が、2022-23年秋冬コレクションのランウェイショーを開催した。ロシア軍の軍事侵攻による現在のウクライナの状況鑑みて、BGMは使わず無音のショーとなった。

FASHION SNAP

ジョルジオ アルマーニは無音のショーを行うことで沈黙によるインパクトを与えました。

デザイナーのジョルジオ・アルマーニ(Giorgio Armani)は「今起きていることを踏まえて、自分にできることは何かと自問しました。私の心はウクライナの人たちと共にあるのだということを、どうしても伝えたかったのです。この場でお祝いしている場合ではないことを伝える方法を探さなければなりませんでした」という考えから、「ウクライナの悲劇に巻き込まれた人々へのリスペクトのサイン」として、ショー開催の数時間前に急遽、無音での発表に変更したという。

FASHION SNAP

ミラノコレクションの時点から急遽音楽の使用を取りやめる動きを行いました。ここでも臨機応変にデザイナー自身がこの社会情勢の中どのような動きをとるべきなのか、ファッションウィークはこれからの新たなコレクションを披露するため盛り上がりを見せますが、ウクライナの人々が苦しんでいる中でショーをどのように行うのかを迅速に考えた結果だと感じています。

前回、私自身のブログでショーミュージックとコレクションの関係性について述べさせていただきました。
もしよければこちらの記事もご覧ください。

こちらの記事でも音楽とファッションの関係性の深さを感じていただけるかと思います。

私自身もなかなか無音で行われるショーというのは見てきたことがありませんでしたが、無音だとモデルが歩く際のヒールの音、拍手の音、カメラのシャッター音が鳴り響き、より一層神聖な空気感を感じることができたように感じます。

最後のアルマーニ氏が登場した際もスタンディングオベーションと拍手が鳴り止まず、歓声があがる様子も。

また、会場全体のシンプルな黒と緑の作りからも意識がいくものがより服に焦点が当てられたように思いました。このショーが行われていることも異質な空間であることがより強調されたように感じます。私たち自身の意識をより研ぎ澄まし、復興への祈りが込められているようにひしひしと感じさせ、このショーを見た人たちに平和であることは普通ではない異常事態であることを訴えているように感じました。

ジョルジオ・アルマーニは「バックステージでもランウェイでも、沈黙はどんな音楽よりも大きく、インパクトがあったと思っています」とコメントした。

FASHION SNAP

このアルマーニ氏の考え方にはより一層音楽とファッションの関係性について再定義されたように感じます。


今回のテーマは「Signs of Light ー光のサインー」

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ベルベット素材のセットアップが目立ったように感じた。
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光沢感のあるジャケット

またテーマの光を特に表現した光沢感のあるジャケット、そしてレザーの艶感なども目立って見られた。

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アルマーニでは定番の仕立ての良いスーツスタイルも生地が動くごとに光沢で表情が変わる素材が使われていた。

アルマーニらしい洋服とウクライナへの支援の思いを感じることができました。

2022AWのショーはこちらから


BALENCIAGA

BALENCIAGAもアルマーニと同じく、ウクライナでの戦争に対する思いをコレクションでも表現した。

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ゲストの席の上に置かれるウクライナの国旗をモチーフにしたビックTシャツ
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デザイナー デムナからのメッセージカード
参照 WWD JAPAN

今回のショーの客席にはウクライナの国旗が描かれたTシャツとデザイナーのデムナの今回のショーに対する想いが綴られたメッセージカードが置かれていました。

そのメッセージカードの翻訳したものはこちら。

ウクライナでの戦争は、私の母国で同じことが起こり、私が永遠の難民になった1993年以来、私が抱えてきたトラウマの痛みを引き起こしました。私が“永遠の難民”と言うのは、その経験や痛みがあなたの中にずっと存在し続けるものだからです。恐怖心、絶望感、誰もあなたを望んでいないという認識。しかし私は、人生そのものや人間の愛と思いやりのような人生で最も大切なことにも気づきました。
だから、今週このショーに取り組むことは非常に困難でした。というのも、このような時にファッションはその妥当性と存在意義を失うからです。ファッション・ウイークはある種の不条理のように感じます。私は、私自身と私のチームが一生懸命取り組み、心待ちにしていたショーを中止することも一度は考えました。しかし、このショーをキャンセルすることは、30年近く私に苦痛を与えてきた悪に降参し、屈することを意味することに気づきました。私は、自分の一部を無意味で無情なエゴの戦争の犠牲にすることはしないと決意しました。
このショーに説明は必要ありません。それは、恐れないこと、抵抗すること、そして愛と平和の勝利に捧げるものです。
 xx Demna

WWD JAPAN

一度はショーの中止も考えたというデムナ
過去に難民であった過去があったからこそ、ウクライナの方々への思いも人一倍強いものです。

だからこそ自分自身がショーを行って良いのかとも悩みましたが、ショーを行わないことは悪に降参し、屈することを意味すると感じ、自分の一部を戦争の犠牲にしないと決意しました。過去の出来事、トラウマがあるにも関わらず、ショーを行いこのようなメッセージを伝えるデムナには圧巻されました。

ショー会場は360度の円形

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ショー会場

雪が敷き詰められ、まるでスノードームの外に観客がいるような場所を作り上げました。モデルが歩き始めてからは風も吹き、雪も降り始め、本格的な冬の情景を作り上げました。風は次第に強くなっていき、モデルが歩くのも一苦労に感じさせられるほど。最初にバックミュージックで流れるピアノの音楽もより哀愁を漂わせます。

この雪の演出も地球温暖化問題からのインスピレーションで作られたもの。
このまま地球温暖化が進み、地球の気温が上がることで四季からがなくなり、雪を見る光景も人工的に作られたものしか見ることができなくなるのではないか?という皮肉も込められています。

私自身ルックだけ見た時は観客はどこにいるの?これどうなってるの?と疑いましたが、動画を拝見して反対側に観客がいることに気づき360°ショーということに気づきました。

この大雪が吹き付けられ。モデルが歩く様子をガラスの外から見る観客たち。
この対比すら前から決まっていたものですが、今の戦争下で苦しむウクライナの人々と私たちが今も平和に暮らせていることの対比のように私自身感じることができました。

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風によりなびくブラックドレス

ルックは黒のドレスなどが多く見受けられ、皆目元にはサングラスをつけているのが印象的。また、バッグはゴミ袋のようなシャカシャカとしたナイロンの生地感のものが目立った。足元は細いシルバーのピンのロングブーツのものが個人的にはお気に入りでした。

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デニムの再構築のトップス

またデニムをそのまま袖の部分を切り取りトップスのようにアレンジし、再構築したものも見られた。

定番のビッグシルエットのフーディー

デムナらしいストリートのビッグスタイルも健在です。中にはXXXLとプリントしてあるパーカーも。

今回注目を集めたルックはこちらの2つ

イエローのビックシルエットのセットアップ
ラストルック ブルーのドレス

ウクライナの国旗の色を彷彿とさせるイエローとブルーのルック。
この2ルックはラストに登場しました。

この2ルックをこのコレクションまでの短い期間で完成させる動きにまず圧巻の一言です。このラストルックのブルーのドレスは風になびき、見る人に印象を与えるものになりました。
この2ルックからもデムナのウクライナへの想いが明らかに受け取れるのではないでしょうか。

2022AWのショーはこちらから


今回はミラノ・パリコレクションから見るウクライナへの祈り、社会情勢との関係性についてまとめてみました。

ファッションはその時代背景を反映するメディアの一つであると感じています。今回も社会情勢の影響を反映し、見る人に考えさせる。
デザイナーたちの想いを感じることができました。

ファッションにあまり興味がない方々にもこのような動きがファッション業界であることを知っていただけたら嬉しいです。

そして、私自身もウクライナの方々が安心して過ごせる日々が早く来ることを祈っています。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

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