深夜、一杯のココア

仕事で気が立つことがあったり
気がかりなことを残してしまうと
決まって眠気がどこかに行ってしまう
そんな深夜2時。


刻々と迫る朝に怯えながら
本を広げたりスマホを見つめたりしても
まったくもって目が冴えてしまう
そんな深夜3時。


そんな夜の、私のとっておきは
静かにホットココアを入れることだったりする。


少ない明かりのぼんやりしたキッチンで
マグカップ一杯のミルクを小鍋に入れて
ココアパウダーを多めに大さじ一杯。

少しずつ温めながらココアが溶けるのを待つ。

ふつふつと沸騰する寸前で火を止めて、
お気に入りのマグカップにそっと注ぐ。
そうして最後に砂糖をひとつまみ。


「今日の自分、お疲れ様。」
「あれはもうしょうがないから、寝て忘れよう」
「まだ時間はある、明日解決できれば大丈夫」
「十分頑張った私、偉いなー」


すべての音を止めて、
ココアの湯気と静かに啜る音だけが部屋に響く
このなめらかな時間の中で
ココア以上に私は私を甘々に甘やかす。



誰にも邪魔されない
誰にも評価されず果てしなく自由な
私だけの、時間。



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