夜中1:19の静かなビール

間接照明で薄暗い部屋で彼の寝息を聞きながらビールを
呑みただこの気持ちを打ち込む今。

 私は持病があり何度かお仕事を変えていて今も転職活動中だ。正直ここ数ヶ月家賃滞納を何回したか分からない。
請求の電話が来て理由を話し少しは同情してくれるかと
思ったけど逆に冷たく豹変するだけ。
人間は残酷だなとか思いながらもあまりそこに関しては
気にしていない。

ただ大好きな母に「お金助けてあげられなくてごめんね」と謝らせてしまった。
それがすごくダメージで情けなくて悔しくて。

 ひとり暮らしの家を引き払って田舎の実家に帰って
ゆっくり療養しながら働けばいいのだけれど、
私にはこっちで出会った彼がいる。
1年の付き合いだけれど私の持病のことなど受け入れて
くれていてこの人とずっと一緒にいたいと思っている。
しかし体調が悪く働けない私を見かねて何度かお金を工面してくれたこともある。

そして、さっき布団に入りある事を打ち明けてみた。

大切な人に迷惑をかけてまで一緒にいるのはどうなのか。大好きだからこそ大切な人の幸せを考えて私はさよならをすることを選択肢に入れ彼に聞いた。

「離れたいとは思っていない。」
「でもこのまま働けない状況が続くのであれば実家に
帰ったほうがいいのではないか。」という事だった。

正直彼にも離れる選択肢があったのが寂しかったが
感情や愛情表現が苦手な彼が涙を流しながら伝えてくれたという事に私への想いが伝わった。

私は彼の返事を聞き大切な人と離れたくない気持ちが
強くなり持病があっても乗り越える勢いでなんとしてでもここに残れるように頑張ると伝えた。
2人で涙を流しお互いの気持ちを確かめるようにそのまま重なっていった。

その後、隣で彼が眠りについたのを確認したあと一人に
なりたくてリビングでこの文を打っている。

持病の薬は飲酒禁止のため大好きなビールがしばらく飲めていなかったが今日くらい許してほしい。

自分の中で大好きな人を守りたいくて大事にしたくて
大好きだからこそ離れると言う考えをした事がなかったし、今までの別れもバッドエンドしか経験がないため
すごく複雑ではあったけど大人になれたのかなとか
そのくらい大事にしたい人に巡り会えたのだという嬉しさなど色々な感情がある。

様々な考え方はあるだろうけど私は彼にこの選択肢を
委ねたことを後悔していない。だからたとえ後から離れる決断をされても引き止める事はしないと決めた。

大切な人だから。

いつも飲むビールは開ける時に弾ける音がするが
今日のビールはなんだか静かで切ない音がした。

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