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カオスだったオスカー授賞式

最近WOWOWに入ったので、アカデミー賞授賞式を最初から最後まで見ました。
いやー長いけど良い意味でも悪い意味でも見応えがある授賞式でした。

ウィル・スミスがクリス・ロックを引っ叩いたことばかりが取り上げられていますが、それ以外にも見どころはたくさんありました。

まず、司会の3人の女性。
レジーナ・ホール、エイミー・シューマー、ワンダ・サイクス。
白人1人に黒人が2人。なかなかのブラックジョークを飛ばしまくるコメディアンヌでした。一応女優なのかな?
「男性司会者1人を雇うより私たち3人を雇った方が安いからよ」など、なかなか良いジョークなどもあったけど、なぜこの人たちが選ばれたのだろうかと割とモヤモヤしました。
「ノミネートされた映画はほとんど観てないの」って平気で言ったり。これ自体がジョークの可能性もあるのだけど、ちょっと笑いどころがわからなかった。

アメリカンジョークっていうのは基本的にシニカルで批判的な内容を含んでいて、誰かを傷つけるような内容が多いんですね。特に有名人は格好のターゲットになっている。
日本のお笑い芸人でも有名人をいじるような人は時々いるけど、基本的に悪口は言わないものなので、今回のウィル・スミスの事件でもウィル・スミスと奥さんに同情する人の方が多いのだと思いました。

日本のお笑いはツッコミで相方を強く叩くものも結構あるし、ビンタならいいじゃないのって雰囲気ですよね。

一方アメリカでは叩くことは演技以外ではほとんどしないし、暴力はどんな場面でも許容できないってことになるのでしょう。

また、アメリカではジョークは受ける側が許容できないのは器が小さいみたいに思われる。クリス・ロックはジョークを言うのが仕事だから、侮辱も受け入れろって考え方なのでしょう。そこでも「笑い」に対する価値観や考え方が全然違うのだろうなと思いました。

有名人なら悪口言われてもニコニコしてなきゃならない。ウィル・スミスもスピーチで言っていましたね。あの場にいたのはそれこそ悪口の餌食になるセレブリティばかりだったので、ウィル・スミスの気持ちが痛いほどわかったでしょう。出演者たちは驚いてはいたけど、結構ウィル・スミスに寄り添うような雰囲気でした。


ウィル・スミスに同情しているアメリカ人もたくさんいます。ただ、今回はウクライナの件もあり、暴力(武力)は絶対にダメというスピーチが続いた中でのビンタだったので、ウィル・スミスは結構危ない立場になっていると思います。

クリス・ロックっていう人はよく知らないけど、あの場面を見るだけでも日常的にそういうネタをしている人だってことはよくわかりました。ジェイダが病気だということを知らなかった可能性もある。(それにしても全然面白くなかった)

クリス・ロックが例のジョークを言った時、日本語の同時通訳をしていた人は内容を詳しく言いませんでした。私程度の英語力でもわかったのだから同時通訳する人が意味をわからなかったわけがないので、瞬時に不適切と感じたのでしょう。

個人的にはウィル・スミスがビンタしたあと、クリス・ロックが宥めて話し出すまでの水を打ったような静けさの瞬間が一番面白かったです。アカデミー賞がまさかあそこまで凍りつく空気になるとは誰も予想できなかったでしょう。

あと、クリス・ロックはドキュメンタリー映画賞のプレゼンターでしたが、受賞者たちはクリス・ロックを無視して、ウィル・スミスと握手していました。大抵受賞者はプレゼンターと握手とかハグとかするのに、クリス・ロックはただオスカー像を渡すだけのスタッフと化していました。

個人的には司会者の1人、レジーナ・ホールがやったセクハラの方をもっと問題にしていい気がします。こちらは受ける側の男性陣がみんなニコニコ受け流してくれていたおかげで成立していましたけど。ちなみにウィル・スミスは笑いながらも拒否してました。
あと、セクハラでステージに呼ばれた独身の男性陣が白人2人、黒人1人、アジア人1人とここでも人種的平等で笑ってしまった。

色々なプレゼンターがいましたが、ジェイソン・モモアが好きでした。セクハラされても嫌な顔ひとつせず。一緒にスピーチしたジョシュ・ブローリンとも息ぴったりで短いけど誰も傷つけることのないチャーミングな笑いで締めくくっていました。ウクライナのことには触れなかったけど、ポケットチーフはウクライナ国旗と同じカラーにしていて、そういうさりげないけど誰にでもわかるサポート(主張)の仕方もスマートでした。

プレゼンターの中で一番良かったのが韓国人で前回助演女優賞を受賞したユン・ヨジョンです。英語はやや拙かったけど、手話だったり、受賞したトロイ・コッツァーをサポートする姿勢だったり、ものすごく好感が持てました。

最後に、ドライブ・マイ・カーも国際長編映画賞の受賞おめでとうございます。
まさにウィル・スミス事件の被害者というか、本当だったらもっと騒がれていいはずが、こんな騒動のせいであまり話題にならず残念です。
そして、ちょいちょいスピーチを遮るような音楽にイライラしました。大物が長々スピーチするのは許されるのに。。。

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