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ちょっとリアルで不思議な

スピードスケート選手のCM撮影があるという。
スケート界では2番手と言われている男が出演するにあたり、
1番手の男のスケート靴を借りて撮影するという。
1番手の男は、軽い感じで自分は楽しく遊んでおり、こだわりもなく貸す。

だが、撮影し見てみると
ディレクターが言う。
「あまりにも違う。
滑りの音、ブレ、リズム、流れ
すべてが劣っている」。
突き付けられる。
「実力が違う」ことを、
強くはっきりと。


私の部屋は2人部屋。
古くて広くもない。ベッドとベッドの間は50cmないくらい。
窓を挟んで壁に造り付け本棚
その下に机
椅子の背側にベッド
ベッドの足元に造り付けの簡易クローゼット
部屋のドアを入って左右対称に配置されている。
窓からは学校の正門。
門の前のマリア像の写真を撮って
母に送りたくなる。

卒業目前だが、コロナの影響で
入試がいつ終わるかわからず、
寮に戻ったばかり。
自分は結果待ち。
同室の友は、これから試験で
まだ全く片付けてない。
いつまでが居て良い期限かわからないが、寮生活を続ける。


その「私」が、2番手の男に、スケート靴を借りてくるように言われる。
貸す側である1番手の男は遊びに行っていて、「面倒だからあいつに届けて」と「私」に頼む。
ただ、「私」は、良いんだろうか…と迷う。

スケート靴は大切なものなんじゃないか。
男の実力はよくよくわかっている。
彼は王者だと知っている。

※ただ、その圧倒的な強さは、
前述のCMディレクターの言葉を聞くまで、違いの具体的なポイントまではわかっていなかった。

大切なものを簡単に貸して良いのだろうか、という点だけが気になって
借りる時も躊躇した。
靴のすぐ横で、2番手の男の彼女?が
うれしそうに電話をしていた。
彼女も私の友達だ。
多分彼氏のCMの話だろう。
スケート靴は気軽く、赤いタオルとともに黄色いレジ袋のようなものに雑に入っている。
レジ袋に手を掛けて、彼女の方に目で合図する。
(貸すってよ)
彼女は一瞬、息を飲んだ。


貸したことで
何かがはっきりしてしまうような
漠然とした怖さがあった。

案の定
靴を同じくしても
大差があることが
より明確になってしまった。

靴を変えたのは単純に、
刃の形や靴の色合いが、CMで表現したいこと、スピード感や画的部分で、
1番手の男の靴の方が良い、と制作側が思っただけだった。

なのに、貸したことで
実力の差が酷なほどに浮き彫りになってしまった。


彼女は、寮の隣に彼とのアパートを借りたばかりだった。
卒業後はともに暮らす予定だったこともあり、退寮期限がはっきりしない中でも日割で寮の使用料がかかってしまうから、と
少しずつ物を動かして、寮にはちょくちょく顔を出すようにする、と笑顔で話していた。


「私」は、寮の後輩たちに惜しまれ、
手紙をもらう日々を過ごしている。
後輩たちの部屋はいかにも新しく、
何人部屋かわからないような、凝った造りになっている。
高さも幅も半端な壁が所々にあって、絶妙に視界を遮るようになっており、基本2人分の空間が3つほど作られて仕切られている。
共有スペースのような部分には、無駄にオシャレというか、よくわからないトンネル型のソファのようなものがあった。
壁や棚類の色も、「私」たちの部屋は濃いオークで暗く旧さがあるのに対して、こちらは全体が白く、あまりに眩しくて落ち着かない。
「私」は、〝1人でいるのに壁の向こうに誰かがいそうなこの部屋は、むしろ怖くて、好きじゃない“と言う。


寮費が日割なら、入試結果が出次第退寮できるように自分達も片付け始めた方がいいかな、と思い始める。
段ボール箱をもらいにスーパーとか行かなきゃならないな。

窓からの写真をまだ撮れていないのに、片付けを始めなければいけないことが、
急に寂しさを感じさせる。

こんなにも普通に数年を暮らしたこの場所なのに、
ここを出たら、
もう二度と見慣れたこの景色は見られなくなるのだ。

そんなことがあるのかな。
あるんだよな。
そうなんだよな。
信じられないけど。
本当に。

もったいないような気がして
じっと、ずっと、窓の外を見る。


****************

…という夢を見ました。
夢って、起きた瞬間にふわぁっと消えてしまうから、
割れるシャボン玉を掴まえるように、必死で覚えてることの断片、単語を書き留めました。
それから、また一生懸命思い出して文に。
夢って、ほんと繋がらなくて、どんどん場面が変わります。
そして、微妙に現実の要素が入ってて。

どんな意味があるんだろう、と占ってもらいたくなるような気持ちになります。

…と、夢の覚え書きなんて役には立ちませんが、こういうことしたことなかったので、結構面白かったです。笑

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