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『株式会社リストラ』

「Cさん、あなたはクビです」

リストラを宣告する私は、Cさんの上司でも、Z社の社員でもない。

「いやぁ、ありがとうございます。リストラを宣告するのって、やっぱり勇気がいるので」

「いえいえ、またリストラ宣告する時がございましたら、いつでも我が社を ご利用ください」

Z社の社長は、私から受け取った名刺に目をやる。

『株式会社リストラ リストラ宣告代行係 A 』

Z社を後にした私に、電話が入る。

「もしもし。あっ、社長。はい、先ほどZ社でのリストラ宣告を―

えっ?…わかりました」

電話を切り、私は静かに呟く。

「…A君、君はクビだ」

この会社では、社員自らが自身に対してリストラを宣告することも珍しくない。


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