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ゲームの大会を個人主催するにあたって賞金/景品は必要かどうか

こんばんわ!さとけんです。スマブラ毎日頑張ってます!

普段、僕はお仕事でゲームの大会の主催者さんを支援するお仕事をやっているのですが、その中で僕がずっと考えていたテーマについて今日は僕の個人的な意見を書いてみようかなと思いました。

テーマの設定背景

現状を受け、対戦ゲームのコミュニティでは、オンライン大会の需要が高まっています。僕がコミュニティマネジャーとして関わっているTonamelとしても、この状況で力になりたいと思い、様々なコミュニティを支援させてもらっています。支援をきっかけにコミュニティにサービスが認知され、また、大会運営ツールとしての利便性の高さからこれまで大会を開催されてこなかった方にもご利用いただけるようになり、結果として大会数を増やすことができています。

ですが、そのような流れの中で

「景品が豪華な大会が多くて、景品の無い大会を開催しづらい」

といったような声を何度か聞くようになりました。これをきっかけに、ゲームの大会における景品/賞金についてどうあるべきか、そもそもの大会の価値について色々考えた結果、自分なりの答えがまとまったのでそれを書いてみることにしました。

主催者の抱える不安とその背景

「景品が豪華な大会が多くて、景品の無い大会を開催しづらい」という言葉は「参加者が求める価値を提供できるのか不安」と置き換えられると思います。実際に、今現在予定されている大会を眺めていても賞金/景品付きの大会が多いのでそういった不安を抱くのは当然だと思います。ですが、こういった賞金/景品付きの大会が増えていることや、そういった大会でないとやってはいけないのではと不安になる背景に

「主催者は、参加者から求められる価値に応えるべきである」
「求められている価値は賞金/景品といった報酬である」

と無意識に思っている部分はないでしょうか。ですが、そういった不安を抱き続ける、もしくは主催者が金策に時間を奪われるというのはなんとなく健全でない気がしますし、そんなことはいつまでも続けられないと思います。

まずは、視点を変えてみる

僕はまず、前述した不安を抱かれている方に対して、まずは視点を変えてみるということを提案したいと思います。具体的には

「主催者は、参加者から求められる価値に応えるべき」という受け身

から

「自分は、参加者にどんな価値を提供したいのか」という主体的な考え方

に変えていくことで、不安を抱くのでは、より良い答えを出すという方向に進むのではないかと思います。実際に僕の周りで魅力的だなと思う主催者の方と話している時に賞金や景品の話になることはほとんどなく、「自分はどうしたいのか」という考えを聞くことが多いという実感値があります。例えばでいうと

「好きなゲームを長く好きでい続けるための場所を提供したい」

とか、そういうのです。

提供価値の種類について

提供できる価値にはいくつかの種類があります。ちょっと一旦、ゲームの大会の話から離れた話になりますが、僕は、今の仕事の前に採用の仕事をしていました。IT業界の採用競争率は非常に高く、採用市場では年収の釣り上げ合戦みたいなことが繰り広げられていました。そのような市場で高額の年収をどうしても提示できず、内定を出しても承諾してもらえないという会社が沢山ありましたし、僕が採用担当として入社した今の会社も例に漏れず承諾率が低く、入社時点では30%(内定者の3人に1人くらいしか入社してくれない)という実績でした。

ですが、僕はこの課題に取り組み、採用責任者を務めていた4年間で70〜80%という水準を維持し続けることができました。

この時僕が最も大切にしていたのが「提供価値(EVP※)」という考え方でした。※Employee Value Propositionの略

採用ニーズが高まった結果、かつてのように内定を出せば来るという時代ではなく、企業が内定者に対して入社後に提供できる価値を明示し、動機付ける必要があるという考え方です。では、提供できる価値にはどんな種類があるのか。僕は、ハーズバーグの二要因論という考え方を用いて、提供できる価値を定義していきました。

動機付け要因と衛生要因

この二要因論に関しては参考とした文献ページにはこのように書かれています

「ハーズバーグの動機づけ・衛生理論」とは、仕事における満足と不満足を引き起こす要因に関する理論です。アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱したもの。
人間が仕事に満足感を感じる要因と不満足を感じる要因は全く別物であるとする考え方です。
参考)https://motivation-up.com/motivation/herzberg.html

また、それを表した図としてこちら

スクリーンショット 2020-06-24 11.15.47

参考)https://motivation-up.com/motivation/herzberg.html

つまり、企業が人に対して提供できる価値には以下の2つであるということが言えます

①動機付け、満足をもたらすことができるという価値
②環境を整え、不満足を招かないようにするという価値

どちらが大事かというものではないのですが、従業員が仕事を続けていく上で欠かせないのがモチベーションです。また、企業として社会に継続的に価値を提供していくためにも、従業員のモチベーションは不可欠です。なので、僕は敢えて優先度をつけるのであれば、満足につながる価値の提供の方なんじゃないかなと思い、どう動機づけるかという事に時間を費やしました。具体的には、面接の中で見極めに使う時間よりも、候補者が仕事を通じて何を得たいのかのヒアリングと、その答えに対して会社としてどんな価値を提供できるのかというプレゼンテーションに多くの時間を費やすようにし、結果として、大幅に承諾率が改善し、かつ入社した人の8割くらいが、最初の評価で高い評価を得るという結果になりました。

ですが、採用市場では「高い給与を払えば来るだろう」「高い給与が払えないからきてもらえないのでは」みたいな衛生要員の話ばかりがされていました。

で、仕事じゃないんですが、最初にあげていたゲームの大会を主催するにあたって賞金/景品が必要かみたいな話もこれにすごい似てるなーと思ったんですよね。もし、上の図に当てはめるのであれば、賞金/景品は「給与」に近く、無いと不満足につながる衛生要因なんじゃないかと。で、衛生要因もゲームの大会を作っていく上でも考えていくべき重要な要因だと思うのですが、まずは、参加者の満足につながるような価値の提供を考えることを優先すべきなんじゃないかと僕は考えます。

なぜ人はゲームをするのか、なぜ大会に出るのか

大会の価値を考えていく上で、人はなぜゲームをするのかということを考えていくと大会の価値がより見えてくる気がします。これについては、色んな意見があると思いますが、僕は、ゲーム内で「ある仕事」をした結果、「達成感」のようなフィードバックが得られる、つまり人はそれらの先にある「満足感」を得るためにゲームをするのではと考えます。

そのようにゲーム自体に価値があることに加えて、大会はそこに緊張感を生み出したり、相対的な強さを反映させたりすることで、達成感を増幅し、ゲームに取り組むモチベーションをより高めるという力があると思います。

なので、僕は大会は開催することそれ自体に大きな価値があると考えています。

ゲームの大会を個人主催するにあたって賞金/景品は必要かどうか

前述の通り、僕は大会は開催することに大きな意味があると思います。だから、賞金の有無に関係なく、やりたいと思う人はまずはやってみるがいいと思いますし、やってみて意義を感じられるのであれば、続けていくのがいいと思います。

賞金/景品については、それが大会の価値であると考えるのではなく、主催者の創意工夫の一部として考えるのがいいと思っています。

「素晴らしいプレイをしたプレイヤーはその対価として報酬を受け取るべきだ」
「協賛者の人柄や個性が伝わるものを景品としたい」

とか、そういうイメージです。そんなことを書いていたら、モンストのキララさんもそういうこと書いていたなー、その辺の思想めちゃくちゃ伝わってくる大会作ってるなーと思ったので、もしよかったらこちらのnoteも読んでみてください

途中自分で書いていてもこれちょっとこじつけっぽく無いかwとか、まぁ、賞金にしか目がいかねぇみたいな人もいるし、賞金があって然りみたいなコミュニティもあるはあるよなーとか思いながら書きました。

コミュニティによって、事情や考えも異なると思いますが、今後の大会を考えていく上で参考になったら幸いです。

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