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天の大河が瞬いていた。 薄い大気が澄み、烈風が身を斬るように冷たい。 私は袈裟を二重…
空気が薄くなった。 灌木は既に見ない。 昨日までは平原を覆う草原があったが、今や岩陰…
相貌に見覚えがある。 脳裏の記憶と相結ぶものがある、その少女にだ。 カリシュマと呼ば…
その女性が纏う威光は、日輪の如きものだった。 これがタキシラ国を統べる女王かと思い、…
闇夜の地平線には、プシュヤ星宿が浮かんでいた。 イ・ソフタでの逗留は数日に抑えた。 …
適齢期というものがある。 恥ずかしながらの年齢を刻み、後悔の多い半生を振り返って、初…
イ・ソフタは天空の要害都市である。 ヒンディークシ山脈のレーへ峠を越えた圏谷に位置する。かつてはそこに氷河があり、氷層の膨大な重量が削り取った凹地だという。 その峠を頂点に、三方に街道が走る交易の要衝だ。 レーへ峠は、通り名では白骨峠とも呼ばれる。 ただ急峻なことだけではなく、氷河が残るほどの低気温であり、多くの命がそこで散っていった。一年の過半は厳冬期にあたり、春には草花が僅かに咲き、僅かに実りある夏を過ぎれば、氷雪の突風が吹き荒ぶ峠だ。 旅人はその高地に登るこ
曙の雲が七色にたなびいている。 光彩が時の経過で移ろう時間だ。 男は膝をついて嘆息し…
「小僧、何を企んでいる」 無言の重圧がひしめいている。迂闊であった。遠巻きに囲まれてい…
これは興味深い。 私は待つことにした。 一応、錫杖棍は手元に置くことにした。 この…
中天に半月がかかっていた。 雨が近いのか、朧に霞を纏っている。 そのために星空が疎ら…