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伏見の鬼

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歴史小説の短編集を集めています。
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2024年4月の記事一覧

伏見の鬼 6

 夜の帳が降りている。  三日月がさらに伏し目がちに天にありて、幾分は足元の助けになって…

百舌
3か月前
17

伏見の鬼 5

 さくりさくりと微かな足音がする。  鳶職の見習い衆の男が家路を急ぐ。  それを遠くに聞き…

百舌
4か月前
19

伏見の鬼 4

 花見の頃合である。  文久三年の春、京においては未だ戦火のきな臭さはまだない。  然るに…

百舌
4か月前
21

伏見の鬼 3

 陽は既に昇っていた。  壬生の屯所までは一里半はあろう。  街路は露に濡れていて、雨上が…

百舌
4か月前
16

伏見の鬼 2

 やや伏し目がちの三日月が出ていた。  下弦の三日月は娼妓の眼に似ている。  己が表情を隠…

百舌
4か月前
17

伏見の鬼 1

 伏見に鬼が出るという。  それを聞いたのは五条色街の二階だった。  総司が買うのは花魁大…

百舌
4か月前
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