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風花の舞姫

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信州樽沢にひとり棲む、巫女舞で悪霊を祓う女性。その正体は雪女。
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記事一覧

風花の舞姫 女郎蜘蛛 2

 旧来、逃げ足は疾い方だ。  戦さ場では生死を分かつ。  その信条は前世譲りかな。  かの…

百舌
9日前
21

風花の舞姫 女郎蜘蛛 1

 汚泥の澱が固まったような路地だ。  僕の靴先でさえ躊躇うような暗渠。  凡そ相応しくない…

百舌
2週間前
16

風花の舞姫 再始動

 やっとやっと。  再始動しようかと。  ああ、もう一年を経過してしまったよ、この原稿。 …

百舌
2週間前
22

風花の舞姫 破魔矢 15

 父は心肺停止状態だった、という。  文姉に服を貸して事情を聴きながら屋外へ出ると、横た…

百舌
1年前
7

風花の舞姫 破魔矢 14

 重圧がふっと消えた。  まだ羽衣の傘の中だ。   史華姉、今はブン姉か。乱れていた呼吸が…

百舌
1年前
10

風花の舞姫 破魔矢 13

 腐臭が漂ってきた。  それは飢えて渇ききった肉体となって、おろおろと細い腕を翳しながら…

百舌
1年前
5

風花の舞姫 破魔矢 12

 白い霞が宙を舞う。  小魚の群れのように、霞 そのものに意思がある。  それが渦を巻いている。  本堂の、結界の周辺に漂っていたそれが向きを変えて、海岸底流がそこにあるかのようなうず潮が発生している。  その中心にあるのは父の眼だけど、今は怨念に満ちた形相をしていて、とても醜悪で直視したくない。かつてはその胸に無条件に飛び込んでいった父。彼が最凶の魍魎に囚われている。  だからこそ、祓ってあげたいと思う。  その眼を的に見立てて、今は破魔矢をつがえている。  正射正中。  

風花の舞姫 破魔矢 11

 目覚めた。  覚醒した瞬間に、そこがどこだか分からなかった。  布団の中で丸まっている。…

百舌
1年前
8

風花の舞姫 破魔矢 10

 求厭の薄い肉体が変化を、した。  宜しい、我が魂魄を御覧じろ、と彼が呟いたその直後だっ…

百舌
1年前
11

風花の舞姫 破魔矢 9

 中天に月が出ていた。  月齢は20日ほどで、ダイエット効果が出たのか目に見えておなかが凹…

百舌
1年前
9

風花の舞姫 破魔矢 8

 破魔矢には鋒がない。  神事に用いるもので、およそ武器ではない。   獲物を射抜くための…

百舌
1年前
9

風花の舞姫 破魔矢 7

 鏡、剣、勾玉と揃えば三種の神器でしょうよ。  求厭はそう言って、口を半開きにして笑った…

百舌
1年前
6

風花の舞姫 破魔矢 6

 甘利助教は不在だった。  講義か、ゼミなのかも。  さあて手詰まりだよね。  教授棟の2階…

百舌
1年前
7

風花の舞姫 破魔矢 5

 違和感があった。  怨霊の質問をした、男性の異様な姿だった。  彼が纏う服の細部がどうかも認識できない。  斜視の、蒼白い顔だけが中空に浮いている。  多英の眼に彼の存在を不審に思う色はない。  普段通りに見かける人のように捉えている。  別の学生が、それはもう大学生らしい姿の彼が質問をする。 「でも滞留電流に、電気体としての怨霊の意識が乗ったならば、そのような電流ってそもそも空中にあるんですか?静電気でも金属なんかに帯電しているものですよね」  質問が多発して、教授が満足