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『日本カーリング選手権大会の新競技形式』+『協会推薦3枠』のギモン

沢 拓庵


6月27日、日本カーリング協会から、日本カーリング選手権大会2023-24の競技形式について発表があった。

1-1.出場チーム(計10)
 1)地方ブロック代表 5
   (北海道・東北・関東・中部・西日本 各1)
 2)前回優勝 1
 3)前回準優勝 1
 4)強化委員会推薦 3 ※WCF世界ランキング上位

各大会に参加したチーム数は2021が7、その年以外は8〜9。
今回の10は初めて。

1-2.競技方式
 1)一次予選リーグ
   ・5チームずつ✕2グループ毎の総当たり戦
 2)二次予選リーグ
   ・一次予選リーグ各グループ上位3チーム
   ・総当たり戦の実施。※ただし一次予選リーグが同じ場合は、
    一次予選リーグの試合結果を持ち越す。
 3)プレーオフ(決勝トーナメント)
   ・準決勝 二次予選リーグ2位と3位
   ・決勝  二次予選リーグ1位と準決勝勝者

1-3.新競技方式でのシュミレーション
 
新しい競技方式で拓庵が危惧する極端なシミュレーションを試みたい。

①一次予選リーグ / 5チームずつの総当たり
Aブロック         Bブロック
①アアア 4-0        ①あああ 2-2
②イイイ 3-1        ②いいい 2-2 
③ウウウ 2-2        ③ううう 2-2

④エエエ 1-3        ④えええ 2-2
⑤オオオ 0-4        ⑤おおお 2-2

※Bブロックの順位は〔DSC〕によって決まる?のか(※未確認である)

②ニ次予選リーグ / 6チームずつの総当たり
Aブロック         Bブロック
①アアア 2-0        ③あああ 0-2
②イイイ 1-1        ②いいい 1-1 
③ウウウ 0-2        ①ううう 2-0

※一次予選リーグが同じ場合は一次予選リーグの試合結果を持ち越すので,
1位で通過しても実質3位になってしまう可能性はありえる。
(※この点も未確認である。自分の理解が違っていて一次リーグの勝敗をそのまま持ち越すのかもしれない。が、それもブロックの差があり逆に不公平なのかもしれない。)

他のブロックとの対戦のみを行う。

Aブロック         Bブロック
①アアア 5-0(2-0)(3-0)     ⑤あああ 1-4(0-2)(1-2)
②イイイ 4-1(1-1)(3-0)     ④いいい 2-3(1-1)(1-2) 
⑥ウウウ 0-5(0-2)(0-3)     ③ううう 3-2(2-0)(1-2)

③プレーオフ(決勝トーナメント)
準決勝 二次予選リーグ2位と3位
    イイイ ✕ - ◯ ううう

決勝
    
アアア ✕ - ◯ ううう

ここで決勝に勝ち上がった2チームの一次予選リーグからの成績を比べてみたい。
2位 アアア 7-1  決勝以外は勝利している
1位 ううう 5-4  準決勝分の1試合多い+予選で4敗もしている

1-4.まとめ
前方式では予選1・2位通過チームには優勝するためにあった2回目のチャンスは無くなっている。はたしてこれでイチバン強いチームが選ばれるシステムになったのであろうか? おおいに疑問が残る。
ただしカンタンに反対できるものでもない。この競技方法を否定することは,『北京五輪予選で5-4のDSC差でギリギリ4位抜けしたロコ・ソラーレが準決勝で、予選8-1の1位だったスイスに勝利し銀メダルになった』ことの否定にもなるからだ。

2-1.強化推薦枠 3枠
ロコファンを自負している拓庵にとっては,ウレシイ枠である。どんなに強いチームでも負けるときは負ける。ちょっとした拍子で3位になってしまったとき,セカイの最高峰であるGSOCからの招待を断って地方予選からの参加せざるおえないのはバランスが悪い。
「世界ランクはカーリングの実力できまる」のだから,問題がないようにも思う。

ここで云うところの「カーリングの実力」とは単に「カーリングの上手さ」というものだけではない。間違いなくチームの「組織運営力」や「資金力」の差が影響してくる。
日々どのぐらい練習時間がとれるのか。コーチや運営スタッフをどのぐらいそろえるのか。どのぐらい合宿や海外遠征を計画できるのか。そしてそのための費用を捻出できるのか。チームの運営方針や,クラブチームにおいてはスポンサー企業様の開拓やそこからの資金の援助が大切になってくる。よくも悪くも,,セミプロ的なチームの枠になると考えている。

2-2.資金調達のための『クラファン」
そんな中、チームが個人に向けて支援を求める方法として『クラウド・ファンディング』が登場してきた。今後利用してくるチームが増えるかもしれない。大きなところでは,昨年度日本選手権に出場した女子チームから3チーム(+含男子)の募集があった。あるチームに集められた金額は他の2チームの金額の3倍強ほどある。「実力差」としてそんなに差はないだろうし,これはこれまでの「知名度や人気度」の差だろう。人気のあるチームに支援が傾くのはいたしかたないのだろうが,継続的に個人から集められる資金のキャパには限界がある。

(ここで「意地悪な記し方」をする。)
上記のチームは『日本カーリング協会』の公式YouTubeで,イチバンに出演していたのだから知名度は上がる。例えば『カーリング知ってる』ぐらいの人が応援しようとしたらどうしたって選びやすい。結果として『日本カーリング協会』は、特定のチームの資金集めに寄与した形になってしまったのではないだろうか。
カーリング界として『クラファン」は,十分なコンセンサスをまだ得られていないと思う。

2-3.拓庵的 まとめ
ロコ・ソラーレにしても最初はスポンサーも資金もなかった。その中でどうにか工夫しながらやってきて.いまやオホーツクの市町村を味方につけ男子チームまで作ってしまうほど「実力のあるチーム」になった。
『資金力』を得たのもその部分の努力した結果である。そうしたチームが選ばれやすい』という方向は間違いではない。それでも…思うことはある。
ある企業チームは現状休部状態になってしまった。
また別の企業は支援していたチームをから,若手への支援への変更を決めた。(この判断を拓庵は評価している。)
どこかの企業様が,クラブや有望なチームに,ぽんと1億円ほど支援していただけないだろうか。宣伝効果を考えると,他のスポーツと比べても費用対効果は悪くないものと主張したい。数千万円でも,プロ野球選手1人分である。

5.おまけ
拓庵の カーリング日本代表を決定する試合 のイチバンは
『ロコ・ソラーレ vs 北海道銀行フォルティウス 2021年.9月北京五輪代表決定戦 全5試合』である。
2連敗から3連勝したロコ・ソラーレ。第5試合さっちゃんに全782投目まで投げさせ、逆転での代表の可能性を残した北海道銀行フォルティウス。北京五輪をかけたこれらのゲームは間違いなく日本の最高峰だった。
同一チームと3日間に5試合! まではいかないまでも,毎年の日本代表を決める2チームにはこのレベルに近いゲームをさせて決定してもらいたいと思っている。どんなに強いチームでも負けるときは負ける、それが決勝でその「1つの負け」だけをもって日本代表になれないのは,この「北京五輪代表の決定方法」と比べ,バランスが悪い気がしてならない。

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日本カーリング協会の発表を基に 拓庵なりに考察してみた。
もし、訂正箇所があれば教えていただきたい。

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