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大菩薩 土室川金小屋沢

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日程:2023年11月4日(土曜日)~11月5日(日曜日)晴
メンバー:S木さん(L)、N中さん、W辺さん、A井さん、E 口(記)
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 塾の講習会で鬼怒川小湯沢・湯沢にて野湯を楽しむ予定であったが、体調不良2名あり、急遽友の会の山行に変更。S木リーダーが3時間たらずで3本も計画書を立て、今年最後の沢泊りとして、ゆったり行程で沢を楽しむ山行として金小屋沢が選ばれた。

さすが沢ヤ!

いかなる状況にも対応できるよう、引き出しがたくさんあることが大切なのだと知った。

■一日目:土室川へのアプローチ

 大月駅から小菅林道へ向かうが、林道は崩落していると知っていた。
林道ゲートまで到着し、ゲートは解放されているものの、まえに崩落写真が掲示してある。
それまでダートの林道あったため、安全を優先し、白糸の滝駐車場(トイレあり15台駐車可能)で駐車する。

そこから歩くこと50分。

なぜか整ったコンクリートの道で、一向に崩落場がなく、林道終点まで到着する。そこには右にモノレール格納庫があり、10台ほどの駐車スペースが設けられている。少し戻ったワイヤーロープ式防護柵の端の白い半円の柵の脇に、朽ちた登山道入口の標識がある。
山道はおおむね明瞭で、橋に向かっている。小菅川を渡ると、ワサビ田跡が広がり、石垣の山道を登っていく。一部崩落し沢と化しているが、大規模なわさび田跡である。いにしえの暮らしを感じつつ、カバノキの黄紅葉のなか歩いていると、食事当番の今年購入したばかりのグレゴリー60㍑が負傷、肩の部分のひもが切れた。細引きでどうにか補強され事なきを得る。

 山道は小さな葉なら陰影でわかるのだが、尾根付近は、ほおのきの落ち葉で道が隠されるので山道探しに難易度が上がる。榧ノ尾(カヤノオ)に12:05到着。牛ノ寝通り登山道はチワワが散歩しており、にぎやかである。榧ノ尾山ホンゴ尾根で、昼食をとり、アイゼンを装着し下降開始する。

ホンゴ尾根を望む

 トレランで鍛えたリーダーはカモシカのように下ってゆく。この時期にもかかわらず、蜂が警戒音を立てて寄ってくるので、暖かい時期は注意がいりそうだ。自然林から杉林を抜けると幅広の森林軌道跡まで50分。そこからすぐにテント場に到着する。人工的なのだろうか、広い平地がととのっており、薪にも事欠かず、優良物件である。

■夕食

 設営終え、薪集め。とにかく太い木を集めるよう教えられていたので、
直径30センチはあろうか丸太を20分かけて切り出すが、

太すぎては燃えないと一笑されベンチになった。

15時には優雅にアップルティータイム。宴の酒の時間を気にするW辺さんは16時半になったら、こぼれんばかりの笑顔になった。

 今日はメニューは『すげえ辛い鍋』!!

博士の実験室と称して、未開封の料理酒、未開封の鳥ガラスープ、未開封の味噌、鳥団子に、豚肉、未開封チューブのニンニク生姜と出てくるわ、でてくるわ。道理でザックが破損するわけである。

俺の美学といって、店でも出せそうな実においしいスープを作り上げたが、もっと辛くしたかったのに主婦の外野がうるさいと不満足げであった。
 N中さんが北関東でアンコウ鍋をつついてきたお土産にと、厚いさつま揚げをあぶってくれ、いかめしも持参された。
メインがでるまえからのボリュームに心配し、
他の差し入れは?と確認すると、
ステーキ焼き鳥ブロックベーコンと挙がり、
やたら、たん白質ばかりであった。

 このあと幾度となく、沢には肉ばかりでなく野菜系のつまみが必要だとご指南される。
アボカド・ツナわさびで、なるほど「野菜はうまい」と舌をつつむのであった。ちなみにA井さんはベーコンに表面カリリと焼き上げて上手である。ゆっくりと夜がふけてゆく・・・。

■二日目:金小屋沢入渓

 翌日、息も白い朝を迎えたが、チュモパおにぎりとニンニク生姜唐辛子が入った味噌汁は体を温めてくれ、ほっこりキャンプではなく、
そういえば…今日は沢登りに来ていたことを思い出す。

 さあ金小屋沢に挑戦だ。鹿の鳴き声に返答を繰りかえしながらテン場を去る。森林軌道跡は幅2m弱あり3か所崩落あるが歩きやすい。

 金小屋沢安平沢出合に到着すると、鉄の軌道レールが銀河鉄道999のように空中をよじれている。それをみて銀河鉄道ローカル線の旅、酒飲み『ダメーテルの呑み鉄』を教えてくれた。
 出合は1:7:3で沢3本入り、黒岩に澄んだ水がほとばしっている。入渓するとプチなめからゴルジュにはいり、突如6mひょんぐり滝が現れる。

■6mひょんぐり?滝

S木さんはいつも勇敢だ!!!

 立っているので念のため空身でクラック沿いをあがり、ハングぎみのバンドから水線へとあがってゆく。
 
もう一つ、水線脇を上がるルートもあるが、ガバだかかぶっており悪いとのこと。体が温まらないうちから、メンバーの一人が猛烈に頭から滝の水を浴びていた。
 
絶対に、あのルートはやめようと、後続メンバー同士、無言で目を合わせうなづいた。

荷揚げの際には、今年購入したばかりの、もう一台のグレゴリーに穴が開き、この山行で、二つのグレゴリー合わせて9万円相当が修理行きとなる(トホホ)。
 ゴルジュを抜けるとCo900の二俣。左俣には4+6mのトイ状の滝がかかる。水流のなかに足もあり、夏には挑戦したいが、秋は左岸まきとする。

Co900の二俣。左俣4+6mのトイ状の滝

右俣より、落石に気をつけつつ20m高まき、懸垂下降で沢床に戻る。

■なめ滝連続

V字の谷に4m級のナメ滝4つがかかり、たのしみながら上がってゆく。

ザ土室川支流
大きな滝も登れる

黒ナメに、黄紅葉がはらはらと降り落ち、彩られたころになるとCo990枝沢出合(3:1)である。静かな沢の風景と登攀の充実感で、沢登りはいいなと心が満たされる。

Co990枝沢出合で休憩
こんな風景を見ながら幸せにひたる

左沢遡行すると、ナメ滝のあと一応2条を呈している5m滝。右側は岩がもろくて、こまかいので、今日一番、難しい。

このあとつかんだ岩がはがれた

 滝をのぼるとすぐにCo1020奥の二俣(1:2)。右沢遡行すると5m滝4m滝、小滝群が続き、Co1100(1:1)は巨木のシオジが目印。左沢に進むと傾斜が急になり、トイをステミングで突破、5m滝、2mチョックストーン滝を通過すると両岸を岩壁ではばまれる。塾長より、もろい岩なので早めに右岸へ上がるようアドバイスがあったので脱渓となる。

■脱渓

 右岸尾根へは50度の急攀。四つん這いでないと登れず、ときどき指にクリのとげが刺さる。滑落したら即死を意識させられる傾斜で、土の中から顔を出す木の根を頼りに、必死に登る。

およそ280m。

 落石も仲間に当たれば怪我どころではすまないので精神的にまいる。自分が初心者だったら、一発で沢嫌いになる、そんな脱渓だが、2年間、塾で修行すると、ま、こういうのも楽しいかなと思えるようになった。

一時間、四つん這いで登る。尾根から見たら深い谷である。

 途中クマのひっかき跡がいくつかあり、熊との遭遇もあるゾーンであることを再認識させられる。

こんな爪でひっかかれたらどれだけ痛いだろう

 昼前には登山道に到着する。榧ノ尾を経由し、行きとは裏腹に紅葉と山並みを楽しみながら、軽快に下ってゆく。丁寧に作られた石垣はどんなに人力をつかい大変だったか思いをはせた。下山は早かったが、小菅の湯に立ち寄り、御嶽・中華渓竜では17時となり日が暮れて真っ暗だった。

 もうすぐ渓友塾ステップアップコースも終了し、これからは友の会、沢旅人になれる。
 来年は見たこともない渓流美に出会えるよう、急攀で息がきれないように、心肺機能を高めるトレーニングとまた先輩たちの沢の語りについてゆけるよう、この冬は沢の勉強をしたいと思う。


山行実行日:2023年11月4日(土)~11月5日(日)
メンバー:S木(L)、N中、W辺、A井、E口(記)
山域:大菩薩連嶺
山行形態:沢登り
コースタイム
1日目:大月駅~(車)~白糸の滝駐車場(10:00)~(徒歩)~日向沢登山道奥・林道小菅線終点(10:50)~(登山道)~牛ノ寝通り登山道(12:08)~榧ノ尾山ホンゴ尾根下降(12:35)~土室川Co850付近(13:30)
2日目:前泊地(7:30)~土室川森林軌道跡~金小屋沢安平沢出合(7:50)~~金小屋沢入渓、遡行~Co900二俣・左俣遡行(9:00)~Co990枝沢出合・左沢遡行(9:45)~Co1020奥の二俣・右沢遡行(10:00)~Co1100二又・左沢遡行(11:00)~牛ノ寝通り登山道(11:50)~林道終点(13:15)~白糸の滝駐車場
地形図:丹沢・七保



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