【NovelJam2018秋】(42)Twitter広告チューニング・オブ・ジ・エンド

ここ数日、一日の上限を1,000円という「それは小学生のお小遣いかな」という金額に設定して1月の最終日まで駆け抜けようと思ったんですが、さきほど今回のTwitter広告作戦の予算、100,000円に達したので、無事終了となりました。

最終的に配信していたのは下記3つのパターンの広告です。

『あなたは砂場でマルボロを』の広告はとにかく「強かった」ので、ほんとうに強くて強く(なお語彙)、むしろ単価を下げないほうが良かったという気さえしています。

とはいえ広告は、文章や画像といったクリエイティブや、時間や配信先、配信ボリュームといった配信そのものに関わるチューニングだけでなく、コンバージョン改善をランディングページや購入動線の編集・実装をもってしていかないといけないのですが、それをできる状況にないため、仕方ないです。単に広告をバラまくという点ではここまでが限度かなと思います。

では、もし次にランディングページのチューンもできたとしたら? ということでさらに先の策を考えてもいいと思うのですが、パッとアクセスしてパッと買えるイージーさが一番良いので「Amazonのみでの販売」を手掛ける機会があったら、今回のことを糧に取り組んでみたいと思います。

というのも、「ランディングページに辿り着いた人に対し、購入判断を増加させる内容やデザインをそこに施す」って、基本的に作家の能力とは違う能力だと思いますので……そういうのに足を踏み入れるのは、もうちょっと後で、純広告という考えではなく他の販促とセットで取り組むものではないかな、という感覚があります。

っと、途中で一点、森田さん作成のキャッチコピーを使用するにあたり「配信先のチューニング」をしていたんですが、それについて語ります。

昨年12月に、上記のリンク先の記事がちょっと話題になりました。ジャンルの分け方なんざ作家が気にしてもしょうがない(読者の指向をみて、出版社やら書店やらが決めること)と思っているので、ぼくは森田さんの『あなたは砂場でマルボロを』が“恋愛ポエム本”にあたるのか等はまったく判断しなかったんですが、書店さんがこの作品を手に取ったときにたぶん並べるのはこれらの棚だな、というのは予想ができます。

なので、さきほどの記事に出ている本の作者さんたちや、その読者でフォロワーが多い人たちなどを、配信先に混ぜていきました。(Twitter広告は、配信先の属性を設定するときに、どういう人・フォロワーに近いところに投げ込むかというのを指定できます)

もともとの配信先は「本を買う人、本を読む人、本に関する情報を得ようとしている人」というのを念頭に置いて、「出版社(特にレーベル)のオフィシャルアカウント」や「小説の感想や評論をある程度ネットでしていて、それへのいいね!やフォロワーの多い人」というところをチョイスしてあったんですが、それを入れ替えていった感じです。

ただ、これを細かくいじり始めてもキリがない(マス広告として効果が何かよくわからない)ので、継続して配信先を検討・改善していくのはやめました。インスタグラムでおこなわれがちなブランディング手法同様、「インフルエンサーにお金を渡したほうが労力がかからなくて速い」って結論になるからです。

ということで、2週間に渡って配信したTwitter広告について、今回はNovelJamのグランプリ狙いの一環ではありましたが、セルフパブリッシングで自著を手軽に宣伝してみたい、という方へのまとめを書きます。

【心構え編】

(1)予算が少ない場合
配信結果や数値に一喜一憂しない。一喜一憂していいほどの予算をかけているわけではないので。統計をとるのに必要な母数が獲得できない弱者に、数字遊びはまだ早い。

(2)予算が多い場合
一喜一憂しない。粛々と「どの数値を改善するか」を定めて、それの調整に力を使う。明らかな懸念点があるわけではないのなら、あっちこっちに懸念がありそうに感じるが、それは妄想。マス広告はパラメーターが多いので、四方八方に気を奪われやすい。

(3)その他
「小説を読む」趣味の人間は大変少ないものと心得る。広告文章には、「本棚が無い家で育った人」を、いきなり読書家に変えるほどのパワーは無い。できることは、「小説を読む趣味があり」「電子書籍購入の素養・技術があり」「Twitterを見ている」という3点を満たす人に対して「お、こんなものがあるんだ」と思わせることである。あわよくば広告に貼られたアドレスをクリックしてくれるかもしれないし、その先のBCCKSというページで会員登録など幾つもの難関を乗り越えて買ってくれるかもしれない。

【配信先編】

自分の広告したいものが「何」かを見極める。今回は小説なので、配信先は前述したようなところを中心におこなった。途中で『あなたは砂場でマルボロを』のターゲットを追加したが、本当なら売りたいものに合わせて配信を一つずつ設定すべき。『マイ・スマート・ホーム』と『あなたは砂場でマルボロを』の客層は違う。配信先も違う。配信先として設定していく属性について、ジャンルは自分で決めない。似たもの、似た顧客がついているものが、世間では何と呼ばれているか、客観的な他者の実績を利用する。

【広告文章編】

小説内に「強い」セリフがある場合、それをそのまま使ってもよい。下手くそなコピーよりも何倍も効果がある。

広告コピーを作る場合、コピー1つに命をかけすぎない。いくつもパターンを作って、数値の良いものを残す。自分ができが良いと思ってもそれは心が見せている幻影。数字が出ないものに対して良し悪しを悩まない。悩むくらいなら全部配信する。インプレッション数、クリック率を参考にする。「インプレッションが悪くてクリック率が良い」のは、単に母数が少ないからそう見えるだけ。インプレッションとれないコピーは捨ててよい。

【広告画像編】

無いのはだめ。イラストや写真を会心の一撃用にと、コストをかけて作ってしまったりしない。広告使用(商用での使用)可能な素材などを選ぶ。たくさん選ぶ。トリミングについて、デザインのプロではないなら、多少バランスが悪くても「余計なものが写っていない」ほうを心がける。キャッチコピーとの組み合わせの掛け算で全部配信して良い。数値の良いものを残す。作家が思う雰囲気がいい写真と、実際にクリックされる写真は違う。

【チューニング編】

Twitterが設定画面で推奨してくる単価は高い。販売物(今回は小説)の単価を「広告費がかかっちゃったんで値上げします」とはできないから、安く済ませるためのチューニングをする。とにかく数値の悪いものを切っていき、残したものがどこで伸び止まるか(インプレッション、クリック率、結果となるクリック単価)を見る。管理画面で累計の平均が表示されるが、いろいろ変化させているので、今日、昨日、一週間、累計などの切り替えを適切にして見つめる。良い数値のものは母数が大きいのなら「昨日」だけ見てもよい。

予算管理をきちんとする。日ごとの上限金額を決める。全体の上限金額を決める。最初はどうしてもムダ金がかかる。良いコピー、良い画像で落ち着いてきたら日ごとの上限金額を結果金額で割れば、その広告を一日垂れ流して何クリック稼いでくるかがわかる。そこから広告対象となる商品(今回は小説)の売れている個数(冊数)と照らし合わせる。

……効果が悪いことがわかったら、だらだらと配信を続けず、潔く全ての配信を止める。

というわけで、数回にわたってTwitter広告の効果を実数値を挙げながら解説しましたが、たぶんこれは「何も持たぬ者」がお金をかけて配信しようとした場合の最低限できること、みたいな感じです。お金を使うより、何かを持つほうが大変なんで。

例えば、自身がテレビによく出るような有名人だったら、その有名度合いにフリーライドすれば売れるわけです。「持って」るわけです。

数千人の社員を擁する会社の社長なら、業務命令でも何でも、社員全員に買わせればいいんです。これも「持って」るわけです。

もちろん、持つまでにかかったコスト、持っている状態を維持するためのコストは大変に高いはずなので、そんなものを本一冊売るための広告費用に転換してしまっていいのかは別の問題だと思います。

ですが、お金に名前や使途が書いてあるわけじゃないんですから、誰にどんな手段で伝え、どんな手段で買ってもらおうが、自由だ。まあ、お金があっても、Twitter社に広告費用をチュウチュウ吸われるので、まったく損だとは思う。

10万円を消費している二週間強で、BCCKSに限ってですが、『マイ・スマート・ホーム』は0冊、『あなたは砂場でマルボロを』は4冊売れました。『あなたは~』は、期間中に個展が開かれたので、そちらの効果のほうが大きかったんではないかと思います。いやぁ、10万円あったら、いろいろできたんじゃないでしょうか……

ということで、ここまでの話を読んで、個人で広告を出すというのをやってみたり、思いとどまったり、10万円を広告を溶かしたつもりになって豪遊してみたりしてほしいと思います。

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