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今度の都知事選(2024)には出馬しませんが、ご報告があります

20,738票をお預かりしてから4年

 いよいよ、という感じで2024年7月7日(公示日6月20日)の東京都知事選に向けて、ちらほらと出馬宣言などがニュースになってきました。今週から(2024/5/20から)立候補者向けの申請書類配付が始まっているということもあり、現職が三選を目指すのか等、世間の興味も日に日に増していくのだろうなと思います。

 また、選挙制度について、さきの東京15区補選における選挙妨害およびその当事者への家宅捜索と逮捕があったことから、前首相への銃撃事件や元首相への襲撃事件の記憶も新しく、民主主義が脅かされていると感じる昨今です。

 都知事選への影響は多かれ少なかれあると思っていて、ニュースになると「こういうやり方もあるのか」と安易に選挙・演説妨害を模倣する者も出てくるでしょうから、粛々と対応が進むことを祈ります。

 2020年に私が都知事選挙に立候補した際、街頭演説中に、どのような演説であっても妨げられることも脅かされることもないこの国を誇りに思いました。覚えていらっしゃる方も多いと思うのですが、その頃香港では大規模な政治的弾圧があり、国際的に大きなニュースとなっていたのです。

 民主主義国家において、人がそれぞれ自身の暮らしや仕事や家族や、様々なことを胸に抱いて票を投じ、それが民意として政治行政に反映されるというのは、ほんとうに尊いことなのです。

 選挙活動の最終日に「選挙における私の戦いは一旦ここまでで、明日(投票日)は皆さんの戦いです」と申し上げました。明日そして将来にわたっての生活を担う選挙が、どうか安全のもと遂行されるよう、祈るばかりです。

 さて、2020年の東京都知事選。その時に私へ投じてくださった、預けてくださった20,738票を胸に、それからの4年間、自分なりにどうやって行政に活かせるかを考えて活動してまいりました。

 今回は、その票をお返しするイメージで、報告をさせていただきます。

 具体的には、選挙後に書いた下記に基づいていて、『「政策」に強くなる!』『「売名」に強くなる!』『「追風」に強くなる!』の三本柱をどう実現してきたか・していくか、という話です。

自治体顧問としての3年半

戦いに敗れて野に下り…

 2020年の東京都知事選で熾烈な戦いの末、現職に敗れた私は野に下り、隣の神奈川県で拾われ、仕官することになりました。と書くとなんだか戦国時代に浪人が落ち延びた話のようですが、実際それに近い形だと思います。

 先程リンクした選挙後の総括記事でも触れていますが、自身の弱点としてそもそも自治体行政や政策への理解度や経験値がどうしようもなく足りない、という自覚がありました。

 選挙時はそれなりに東京都の現行政策やビジョンを勉強して選挙公約などに反映させたのですが、長く行政に関わった人から見ればそれは紛れもなく「付け焼き刃」だったことでしょう。

 そこで、自分なりに行政の現場での武者修行が必要だと考えたのですが、都知事選に敗れた身でそのまま都庁で公務員として就職などという道はないので、なるべく規模の近い自治体で、かつ自身の強みが活かせる状況に身を置くことはできないかと模索しました。

 都知事選に出ていたことから、私が地方自治体に興味を持ち、行政に従事したいという考えが周囲に伝わっておりまして、知人のツテを辿ったところ、神奈川県のDXを手伝わないかという話を頂戴しました。

 そして2020年の秋から、県のデジタル戦略本部室 顧問としてDX推進アドバイザーに就任し、非常勤で務めております。
 また、兼務として2022年度から「ともいきメタバース研究会」の委員を、2023年度には政策局総合政策課の政策研究センターにて特任研究員を、2024年度は肩書の名称は未定ですが、eスポーツ分野も手掛けております。

 タイミングが大変に良かったと言えます。2020年はコロナ禍にあって日本中の地方自治体でDX(デジタル・トランスフォーメーション)が急務となっており、いわゆるデジタル人材が必要とされている状況でした。この波に、うまく乗ることができたということになります。

 都知事選時のキャッチフレーズに「ITに強い! 運営に強い! 逆境に強い!」というのを使っていたのですが、一見行政から遠そうな業種であるゲーム開発・運営・マーケティング・カスタマーサポート等の民間ITサービス関連知識を、県政へと活かす機会が与えられたということになります。

 自分は「洒落臭いことを泥臭く」をモットーにやっていますが、一見チャラチャラしたIT分野も、その本質を見極めて、地域住民・地方行政に資するツールとして用いることは十分に可能なのです。

 また、デジタルという分野は、縦割り行政と呼ばれる自治体にありがちな状況であっても、部局に関係なく必要となるものであり、まさに新時代のインフラと言えます。

 このため、現場においては必要に応じて横串を刺して取り組まれることになりますので、幅広く地方行政の知識と経験を得たい私にとって、うってつけの仕事でもあります。

 幸いにも自分の会社は共同経営ですので、代表と現場のメンバーにほとんど任せてしまって私はメンター的な業務や必要に応じての交通整理のみにし、事業全般にはコミットできないので役員報酬を減らしました。作家業も含めて三足のわらじと、耳にする分には良い感じではありますが、非常勤顧問の仕事を含めても収入は三分の一くらいになりました(汗)。自己投資や人的ネットワークを広げるという観点で、動きづらさを感じています。

自治体顧問としての実績など

 就任と同時期に庁内で横断的な「未来へ繋ぐDXチーム」が組成され、最初の半年ほどはこちらのスタートアップにかかりきりでした。DXチームではまず足元からということで、庁内の課題解決や、ソリューション導入時の導入やテスト、意識向上のための庁内セミナー運営等を進めました。

 途中で何をどう打ち出していくべきなのか、逡巡することもありましたが、若手職員の皆さんに助けられ、DXチームで立ち上げたプロジェクトは課題内容に応じて所管課に移していき、一定の成果を挙げました。

 一般的なデジタル分野では、県のWebや、アプリのUI/UXチューニングを数多くしました。代表的なものとして、2022年初頭の県Webの大幅リニューアルがあり、これは令和5年全国広報コンクールで入選しました。

 また、新型コロナ対策の一環として産業振興に関わる「かながわPay」アプリや、県民の健康に関わる「MY ME-BYO」アプリについて、UIをサービスデザイン視点でチューニングいたしました。

 公式YouTubeチャンネルの改善やSNS広報やチラシの情報デザイン等についても関わらせていただき、その内容を元に品質向上やKPI底上げの効果を出しております。

 その他、県民の目に触れない箇所でも、文書管理システムの操作画面であったり、様々な行政サービスフローのチェックや最適化であったり、インシデント対応でのアドバイスほか、インターン生の指導であったり、県内ベンチャー企業への助言なども幅広くいたしました。

 とりわけ新技術を用いた取り組みについて、関わりました「メタバース」「Web3」「生成AI」に関連するプロジェクトがそれぞれ局長表彰を受け(2023年度)、現在は新たに「eスポーツ」が加わり、行政課題の解決のためにこれらをどのように扱っていくかにも取り組んでおります。

 兼務しておりました政策研究センターの特任研究員としては、主に「メタバース」「Web3」が地方行政へどのように活用できるかとともに、チームメンバーと議論を重ね、調査研究や民間や先進的な取組をしている自治体への取材をもとに「かながわ政策研究フォーラム」で発表いたしました。

 並べて、「かながわ政策研究ジャーナル17号」を同内容で上梓し、もう一つの特集記事である「障害者の意思決定支援」分野では、以前痛ましい事件のあった津久井やまゆり園を訪問させていただき、福祉業務の実際を目にしただけでなく、県の推進する「ともに生きる(かながわ憲章)」の理念を得ることができたと思っています。

 また、デジタルというと机上の仕事が多いようにも見えますが、先述したやまゆり園だけでなく、例えば公文書館、水産技術センター、温泉地学研究所をはじめ、県の関連施設に実際に足を運ぶ機会をいただき、DXに取り組ませていただいております。

 そのほか県以外にも「行政デジタル改革共創会議(デッカイギ)」の設営に会期中関わらせていただいており、他の自治体とのデジタルを軸とした交流ということで、デジタル庁のデジタル改革共創プラットフォームにも参加させていただいております。

 いずれにしても、私一人ではなし得なかったことで、関わる県庁職員の皆さんの思慮深さと実行力に助けられていることがほとんどです。

 率直な感想を言えば、4年近くかかりつつも、行政DXが進んでガラッと社会が変わってしまうことはなく少しずつグラデーションのように進んでいき気付いたら実施されているものなのだな、という理解とともに、このペースで果たして良いのかというもどかしさとの半々の気持ちではあります。

 民間企業の経験としてはいわゆる「フッ軽」だったわけですが、地方行政というのは地域住民の命を預かっている仕事と言えますので、ピーキーのチューニングでギリギリを攻めるみたいなことはできません。

 四角四面の手続きが多く「今決めて今からやる」というスピード感は、私のいる位置からでは一切期待できません。もちろん、大局的なことは議会に諮るものでもありますから、知事であろうが「今のいまいま」みたいなオーダーは難しいものでしょう。

 しかし、求める未来像が共有できれば、そこに到達するための知恵と労力を惜しまず、時間をかけてでも到達するというのが、地方行政に関わる人々の姿でもあります。

 自分の仕事はあくまで、そこに民間的・IT的な視点で一石を投じつつ、専門家・有識者としてのフォローアップをしていくという役割です。決裁権も無ければ実働において十人力、二十人力というような離れ業を披露するわけでもありませんが、引き続き、地方行政のあるべき姿、県民目線の重要性、あるいは「ここで地域住民のためにどういう判断を下すべきか」という感覚値も含めて、鍛えていきたいと思います。

まだまだ修行は続きます

 この三年半で痛感していることは、やはり「人でなければできないことを人がするために、それ以外のことはデジタル化し、ワークフローを思い切って変えていく」ということの重要性です。

 デジタル機器やソリューション導入よりも、生活習慣・商習慣、大小さまざまなしきたり、先ほども書いたような四角四面の手続き論、それに関わる人間の意識を変容させることが一番難しい。

「なぜ現在そうなっているのか」を紐解くにあたり、積年の知恵や苦肉の策を理解し、どうほぐし、どう変革させていくのか。これを成功させるには、やはりビジョンなりグランドデザインをもって未来を見ていなければなりません。

 自分の特性を地方行政に活かすこと、地方自治体における行政経験を積むこと、これらについては"都知事になれなかった者"のキャリアとして、それなりに為してきてはいるのですが、ここまで書いておいてなんですが、いかんせん「東京都ではない」というところは、申し訳ないと思いつつ、致し方ありません。GovTech東京にも応募したのですが、非常勤のパートタイムでは難しいということでしたので、これはまたいつかタイミングが来たらと思っております。

 ということで、冒頭でリンクを貼りました選挙戦の総括に書きました『「政策」に強くなる!』という点については、デジタル分野という生来の強みを生かしたことで、なんとかしがみつけております。修行は続くというわけです。

 若干の不安は、民間でも先端に立って経験を蓄積していないとDXへのフィードバック内容が古くなってしまうというところではありますね。Web3、メタバース、生成AI、eスポーツ(オンラインゲーム)などは元々知識・体験どちらもアドバンテージがあり、また、多少の懸念や包み隠さず言えば胡散臭さがある時分から興味を持って自己投資をしてきたからこそで、今後登場してくる新技術のキャッチアップは欠かさずにおきたいと思います。

 そういう点では、今はあまり自由になるお金があまり無いので今ひとつパッとしないため、次に書くようなフェーズに入るかなと思っています。

今後は知名度を上げる仕事も積極的に

 2024年度、25年度は、これらに加えて知名度を上げる仕事も積極的にしていきたいと思っています。『「売名」に強くなる!』と書いていたその部分になります。これまではどちらかというとあまり目立たないように息を潜めてやっておりましたが、メディア露出を増やしたいと思います。

 まずは活動報告から。

執筆・作家業

 2020年からの執筆・作家業のまとめです。

 小説について。2021年初頭から小学館の月刊『DIME』誌にて小説『TOKYO2040』を連載させていただいております。この4月から媒体がWebに移りまして、物語は佳境に入ったところであります。3年以上もの連載経験は初めてではありますが、毎話に最新のITトピックとその将来像を混ぜ込んでなお、縦軸のストーリーも紡いでいくというチャレンジを続けさせていただいており、読者の皆さんと編集部に感謝いたしております。

 今年は並行して長編二本に挑戦中です。コンスタントにキーを叩き続けるというのは難しく、精神にムラが発生してしまうのですが、なんとか克服したいところ。少し変わったAI活用をして執筆に役立ていますので、これはまた機会をみて経緯を公開できればと思います。

 小説以外の連載については、ゲームなどカルチャーな記事は、親しみやすいように別名義で書いておりますが、不定期で「推さ日記」(推し.info)と「それって,ブロックチェーン使わなくてもいいんじゃないですか?」(4Gamer.net)を書かせていただいております。自身のスケジュール管理の杜撰さから不定期が過ぎるので、もう少し定期的に書いていきたいと思っています。

 出版について。2020年秋に小説『きみに恋の夢を見せたら起きるよ』(インプレスR&D・刊)を、2022年春にビジネス書『NFTゲーム・ブロックチェーンゲームの法制』(商事法務・刊)を、2023年春にビジネス書『日本が世界で勝つための シンID戦略』(小学館・刊)を、2024年春に自治体刊行物『かながわ政策研究ジャーナル17号』(神奈川県・刊)を、それぞれ出させていただいておりますほか、『インターネット白書』『ファミ通ゲーム白書』に毎年寄稿させていただいております。

 単著・共著を問わず、毎年1冊以上は出していきたいのですが、紙の原材料高騰などもあり、今後は電子出版のみという場合もあり得ると思いますが、元々電子書籍&POD(Print on Demand、注文を受けてから印刷される方式)でデビューしたので特に違和感はありません。必要な人に必要なスタイルで届けばよいと思っています。

ブログやYouTube等のオウンドメディア、SNS

 知名度アップといえば、現代的なインフルエンサーとしての振る舞いが求められると思うのですが、これを主戦場にするのは避けてきました。

 社会問題のジャンルでいわゆる「SNSウケ」をイージーにやろうとするなら、簡単に言えば敵を作る発言を繰り返しながら同志を得ていくのが最適解になるわけですが、実績を得る期間では不要な行動なので謹んできたというのが近いです。

 ですが、ポートフォリオの一つとして「一定の社会的性向を持つ意見のある人」であることをわかりやすく示す必要がそろそろ出てくると思いますので、炎上目当てではない形で、再開していきたいと思います。

ブランディングのためにわかりやすいラベル/レコードを持つ

 知名度を上げるにあたって「相手にとってわかりやすく判断コストの低いラベル/レコードを持つ」というのは重要です。簡単な例で言うと、東大卒業や大学教授や元議員などが履歴書に書いてあれば、個別判断はさておき、ある程度ハードルが下がるみたいなところがあるじゃないですか。ラベルに一定の信用があるので、相手にとって与信コストが低いという話です。

 今の私は、自身を説明するのに、例えばここまでの6,500字を読ませてもせいぜいわかるのって「自治体で働いていることもあり危険人物ではなさそうだ」ということくらいです。「それで、あなたは何者なんです? あなたを誰かに紹介するときに何と言えば通ります? 一言で感心を引けるキーワードあります?」というアンサーにはなっていません。これは従来から課題であり、自身が「説明商品(=説明が必要な商品)」であることを通説に感じていて、これは与信コストが高いということになります。

 例えば、創作で「坂本龍馬」という存在を出したいとします。歴史で語られるポイントの要所要所に顔を出すような物語を書きたいとして、西郷隆盛に、勝海舟に、それぞれ会うために自身の説明をくどくどとして自己紹介をしてアポを取るシーンなんかをいちいち書いていたら、どうも歯切れが悪い。パッと聞いて「ほう、おもしれーヤツ! 会ってみるか!」とならなければ、物語は進まない。それが、北辰一刀流を極めることなのか、亀山社中の事業を成功させることなのか、あるいはそれらを足がかりにして得る新たな実績なのかはわかりませんが、いずれにしても説明商品のままではいけないということです。

営業用資料

 知名度を上げるということは、ブランディングも同時にやらなければならないということなので、こちらも何らかの形で成していきたいと思います。

 ……作家であるなら何らかの賞を獲っておくのが良いのだと思いますので、活動のうちに賞の主催や選考委員が「今こいつに賞をやっとかないと見識を疑われ沽券に関わる」くらいの状態になっておきたいと思います。

(賞は獲りに行く努力をするものではなく、賞を与えたくなる状態にもって行く努力をするものなので)


ファンの拡大をしない(しなかった)理由

 最後の『「追風」に強くなる!』ですが、さきほどリンクした記事に、下記のように書いています。

『「追風」に強くなる!』ですが、これはこの先、共に戦ってくれる人々が多く現れたときに今回のように敢えての孤高は選ばない、ということです。

(復刻)【東京都知事選挙2020】沢しおん:選挙戦総括|沢しおん
https://note.com/sawasion2020/n/n12cdcd091f09

 このスタンスは今も変わっていませんが、これは知名度を上げた時に、私の振る舞いを変える多くの選択肢が現れるものであって、そこで間違った選択をしない、ということが重要なのだろうなと感じています。

 選択をするということは、振る舞いが変わるということです。そして振る舞いが変わるということは、それ以前の振る舞いを好んでいた支援者からそっぽを向かれるということになります。逆説的に、阿るわけではないとはいえ、支援者によって支援を受ける者の姿も変わるということでもあります。

 簡単に言うと、それをやっている場合でもないよね、という話です。これは引き続き、

焦らずに「そのタイミング」まで待ちたいと思います。

同上

 ……ということですが、知名度が上がったらもう「その時」なのだろうなと思います。

これまでの4年間ありがとうございました

 これをもちまして、報告とさせていただき、私の預かっておりました20,748票をお返しいたします。都知事にならなかった時点で、すでに消極的に返していたと言うこともできますが、カッコつけさせてください。

 今度の都知事選だけでなく、地方議会選挙や衆参選挙への出馬予定も、つもりも、一切ありません。ですが、私の手の届く範囲でやれるだけのことをやれればそれでよいとも思っておりませんので、よりレバレッジの効く形での社会貢献をしていきたい、その形を求める故に、自分の姿を変え、高みに上っていくことには貪欲でありたいと考えています。

 引き続きご注目いただければ幸いです。


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