中華人民共和国渡航記#0 準備編

実際に中国渡航を試みている人に向けた実務的な内容なので、興味がないなら読み飛ばして欲しい。

ビザについて

 2024年5月現在、中国にビザなし(パスポートのみ)での入国は原則不可能である。しかし、中国経由で第三国(香港、澳門、台湾を含む)へ渡航する場合は条件を満たせば、事前のビザ調達なしに入国可能である。

24時間ビザ免除

 この施策では、24時間以内に第三国へ出国する航空券または乗船券、国際列車乗車券を持つ場合、24時間以内に限り入国可能であるというものである。この施策を利用する場合、中国国内の移動に関して特に制限はないものと思われる。出典は以下である。

72・144時間ビザ免除

 この施策では、72時間以内もしくは144時間以内に上記同様の出国手段をもつ場合に限り、一時的に入国可能な制度である。この施策が利用可能な地域、空港・港湾・駅は以下の通りである。

表の出典は下に示す。

 この制度は最長6日日間滞在可能であるが、最大のネックが移動に制限がかかる点である。例えば、72時間ビザ免除で滞在可能な黒竜江省の哈爾浜(ハルビン)に入国した場合は哈爾浜市内のみに滞在可能。144時間滞在可能な北京から入国した場合は北京市・天津市・河北省のみに滞在可能。同様に、大連から入国した場合は遼寧省のみに滞在可能といった具合に行動範囲が限られてしまう。

 また、日本からの直行便が運航されている国際空港であっても、この施策に対応していない場合がある点にも注意が必要である。例えば、著者は観光ビザを取得し、山東航空の関西空港⇒済南空港の便で中国に入国しているが、済南遥墻国際空港は現在この施策に対応していない。
出典は以下。


観光ビザを取得する意義

 ①144時間以内の滞在を予定する場合
 ②ビザ免除の施策に対応しない空港、港湾、駅から入国する場合
 ③一部を除く省・直轄市を跨いで移動する場合

 今回の渡航で著者は山東省の済南遥墻国際空港から入国し、省を跨ぎ山東省・遼寧省・吉林省・黒竜江省を訪れたため②と③に当たるので観光ビザを取得した。

 余談ではあるが、72・144時間ビザ免除省跨ぎの移動が当局にバレるかという点について言及しておくと、中国で列車に乗る場合は外国人はパスポートに乗車券が紐づけられるため、バレる可能性がある。また、バレた際のリスクの大きさを勘案すると滞在可能エリアを出ることはオススメ出来ない。

観光ビザの取得方法

 
観光ビザの取得申請は東京・名古屋・大阪にある中国ビザセンターもしくは領事館で行う必要がある。居住地に応じてどのビザセンターを利用するかは定められているので注意する必要がある。著者は大阪管轄の滋賀在住であるが、パスポート上の本籍地は三重であるため名古屋ビザセンターにて申請を行った。どこで申請すべきかは以下が詳しい。

ビザ申請準備

 東京・名古屋・大阪のビザセンターでは、オンライン上で申請書類を作成し、印刷して持参する方法で簡単に申請が可能である。現時点では申請に訪れるのに予約は不要。
 持参するものは、印刷した申請書類、パスポート、パスポートのコピー、ホテル・航空券の予約確認画面のコピーである。申請が受理されると名古屋の場合は1週間ほどでビザが受け取り可能となり、その際に8,000円ほど支払う必要がある。
 オンライン申請書類の作成は以下から。

ビザ申請注意点

 上述した通り全日程のホテルの予約が必要だが、日を跨ぐ航空機の乗り継ぎがある場合はその旨を窓口で申し出れば、その日のホテルの予約がなくても受理される。また現地で夜行列車に乗り日を跨ぐ予定の場合は予約キャンセル可能の宿を仮で予約し、ビザ受け取り後にキャンセルしてしまえばいい。
 格安(1,000円を切るような)宿では外国人の宿泊客を受け入れない場合もあるので、心配なら事前に宿に連絡をしておくとよい。また、よっぽどの地方や国境付近、軍事的な要所などは外国人が立ちれない未開放地区に設定されている場合があることも留意しておいて欲しい。

通信

 著者は楽天モバイルの海外ローミングを利用した。2ギガまでは無料で、以降は2ギガ毎に500円でローミング枠を増やすことが出来る。通信は速くはないが、十分使える。なんといっても、中国共産党のグレートファイアウォールによる通信制限の規制を受けないので、GoogleもTwitterも利用可能であるのが素晴らしい。
 現地で購入するSIMでは確実に制限の対象になるだろうから、VPNで回避する必要がある。eSIM利用の場合はどうなるか分からないので利用を考えている人はよく調べてから利用するほうがいいだろう。
海外ローミング、オススメです。


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